魔法少女リリカルウィッチーズvol.3
先行するのはセイバーズ航空部隊のうち、芳佳達ウィッチだった。他の隊長陣を乗せたヘリはとてもではないがストライカーをつけたウィッチを追い越せないために先に行ってもらっている。
「ネウロイを確認!真っ直ぐこちらへ向かってくる。各員、戦闘体勢に入れ」
美緒がそう指示を出すと、ウィッチ隊は坂本班とバルクホルン班に分かれてネウロイの迎撃に当たる。
「宮藤とリーネは後方から援護射撃、ペリーヌとエイラは私についてこい」
それぞれに指示を出すと美緒はネウロイよりも高い位置を取って接近していく。ペリーヌ、エイラもそれに続く。ちなみにエイラは前日休みをもらっていたが、サーニャは夜勤明けで休んでいるため本作戦には参加していない。
横を遠く見ればバルクホルン隊も高高度を維持しながらネウロイに接敵していた。
「今だ、全機降下!」
美緒の合図でペリーヌとエイラも急降下をしてネウロイの真上から奇襲をかける。バルクホルン班も同様に降下して奇襲をかける。上空から奇襲を受けた小型ネウロイは、反撃の暇も無く殲滅された。
「ネウロイの撃墜を確認。バルクホルン、そちらはどうだ?」
「こちらも第一陣は全て撃墜した。引き続きネウロイの迎撃を行いつつ街を目指す」
通信を交わすと両班は行軍する。
「まだベルカ自治領からそんなに離れてないんだけどな…」
エイラが先程現れたネウロイの数を思い出しながら呟く。
「思ったよりもネウロイはベルカ自治領付近まで進軍してきていたようだ。自然の要害を嫌う奴らは、山や川に阻まれて自治領まで進軍は出来なかったようだがな」
「ただ、今の位置でこの規模となると…」
「激戦は避けられそうにありませんわね」
「そうだな」
坂本班は進軍を続ける。
「第二陣を発見。これより攻撃に移る」
バルクホルン班は再び高高度を陣取って接近する。が、
「トゥルーデ、危ない!」
エーリカがネウロイの放った光線をシールドで防ぐ。
「済まない、ハルトマン」
「気にしなくていーよ」
「二度続けては成功しないか…。なら…!」
シャーロットが先行する。
「出過ぎるな、大尉!」
「私がネウロイを撹乱する!その間に三人で撃墜してくれ!」
そう言うとシャーロットはネウロイの一団に突っ込んでいく。光線を回避しつつネウロイの注意を自分へと向けさせる。
「各機、ネウロイを一機残らず墜とせ!」
三人はネウロイに向けて一斉に引き金を引く。
ウィッチ隊がネウロイと交戦する一方、元・六課の隊長陣が追い付いて出撃態勢に入っていた。
「スターズ1、出ます!」
「スターズ2、出るぞ!」
「ライトニング1、出撃します!」
「ライトニング2、出る!」
隊長陣はヘリから飛び立つと変身を完了し、前線で戦うウィッチ隊の所へ向かう。
「こちらスターズ1。ウィッチ隊、応答願います」
「坂本だ。追い付いたか」
「これより私達もネウロイの迎撃に参加します」
「了解だ。そちらの判断で独自に動いてもらって構わない。目的地は一緒だからな」
「了解です」
なのはは一度通信を切る。
「皆、ミッション内容を再確認。まず敵航空戦力を撃破して地上部隊の突破を助けます」
「で、制空権を確保して…」
「地上部隊を援護、だね」
なのは、ヴィータ、フェイトが作戦内容を再確認する。と同時にネウロイが接近してくる。
「…来たようだ」
「それじゃあ、レディー…GO!」
四人はネウロイの撃破に向かう。
「いよいよ、なのはさん達も戦い始めたみたいだね」
「そうですね」
空戦を見ながら行軍していたスバルとエリオが言葉を交わす。
「フェイトさん達、大丈夫かな…?」
「大丈夫だよ、キャロ。何たって、あんなに強くて頼りになるエース達が戦ってくれてるんだから」
「スバルの言う通りよ。それより、街に着いたら私達が戦力の中核になるわ。気を引き締めてかからないとね。隊長達に迷惑をかける訳にはいかないし」
「だね」
「陣形を再確認しておくわよ。まず、先頭は突破力に優れたスバル。他に突破力が高い管理局員もつけるわ。」
「りょーかい!」
「エリオは前線部隊の援護ね。前線から一歩引いた位置で、確実な援護をお願い。」
「了解です!」
「キャロはフリードと一緒にネウロイに対して範囲攻撃を仕掛けて。状況に応じてブーストによる強化も行ってね」
「はい!」
『そして私は、前線部隊の指揮と援護射撃ね』
意気込むティアナの所へ通信が入る。
「ティアナ、制空権を確保したってなのはちゃんから連絡があった。地上部隊を街へ突入させてええよ」
「了解です。皆、今通信が入りました。制空権の確保に成功、これから市街地の攻略に入ります!」
ティアナの言葉で地上部隊は一斉に街へ突入を開始した。
「こちら坂本。制空権を確保した。これより地上部隊の援護に回る」
「了解よ、少佐」
坂本班、バルクホルン班、六課隊長陣は地上部隊の上空に就く。
「しかし、ここから見ても大きいな」
「あんなおっきいネウロイ、私達の世界でも出てないよねー?」
「確かにな」
遠目に要塞型ネウロイを見据えるシャーロットと、ルッキーニは言葉を交わす。
その間にも地上部隊はスバルを筆頭に敵陸戦型ネウロイを撃破して進軍していく。
「ディバイィィィィン……バスター!!」
ネウロイの光線を掻い潜り、至近距離でスバルはチャージした魔力をガジェット型ネウロイに叩きつける。その一撃でネウロイは粉砕する。
「よし、次!」
「ストラーダ!」
[Yes,sir]
デューゼンフォルムとなったストラーダの推進機構を利用し、エリオは苦戦する武装局員の支援に当たる。ストラーダの推進力で一気に接敵、ストラーダを地面に突き刺して周囲へ電撃を放つことでガジェット型ネウロイを一挙に殲滅してみせた。
「ありがとうございます!」
「いえ。それよりも、次の敵を!」
「我が求めるは戒める物、捕らえる物。我が言の葉に答えよ、鋼鉄の縛鎖。錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」
キャロが詠唱を終えると、地面から鋼鉄の鎖が出現してガジェット型ネウロイの一団の動きを止める。
「フリード、ブラストレイ!」
キャロの言葉に呼応し、フリードは口から灼熱の炎を吐く。ネウロイはそれに焼かれていく。が、何体かは生き残る。
すると残ったネウロイがキャロに攻撃をかけようとする。だが、それより早くネウロイは魔法弾に撃ち抜かれた。
「援護は任せて!」
「ティアナさん…はい、お願いします!」
やがてセイバーズの面々はネウロイの軍勢を押し返して街の中心近くまで進んでいった。
しかし、ここで問題があった。
「くっ、高射砲か!」
「これじゃあ近づけないよ~!」
「地上部隊へ。高射砲を破壊して航空部隊の支援が受けられるようにしてください」
美緒やエーリカの声を聞いてミーナが地上部隊に指示を送る。
「了解。スバル、エリオ、キャロ。私達で一気に高射砲を叩くわ!」
「オッケー!」
「ライトニング3、了解!」
「ライトニング4、了解です!」
フォワード四人組はそれぞれ3基ある高射砲へと向かう。
スバルとエリオは単身で、キャロとティアナは二人で、それぞれ場所に就く。
作品名:魔法少女リリカルウィッチーズvol.3 作家名:Dakuto