Keep a silence 2
「まさかこんな風になるとはな」
「ん?」
帰りの車の中、助手席に座った鬼道がぽつりと漏らした。後部座席では風丸が寝息を立て、円堂がいびきをかいている。
「風丸のことだ」
「ああ……」
「普段生真面目すぎるからもしやとは思ったが……ある意味ではお約束だな」
「まあな」
豪炎寺は苦笑した。
生真面目すぎるから、酒の力がないとたがを外すことが出来ない。現代社会における定説のような話だが、風丸には当てはまっているのかもしれない。
「いやーしかし、凄かったね風丸の暴走」
「ありゃ、すさまじいってもんだろ……」
二次会の会場についた残留組は酒の席を再開させていた。だが先程の皆の友人の意外な一面を見てしまったせいで、皆程ほどに抑えを利かせて飲んでいる。一次会のようなどんちゃん騒ぎではなく、酒を交えての談笑の席と言った雰囲気だ。席も成り行きで先輩組と後輩組でテーブルが分かれたので、自動的に奥まった話が話題になる。
「あ〜……俺、風丸先輩とキスしちゃったぁ……」
後輩組テーブルで宍戸が急に妙に頬を染めて夢見心地で語りだした。
「な、なんか急にうらやましくなってきたような気がするっス……」
「こう言うのも何でやんすが、風丸先輩色っぽかったでやんすもんねぇ」
「宍戸、今度彼女にチクっちゃうぞー」
「そ、それだけは勘弁してよ少林!」
「あと、宮坂にだけは知られないようにしなよ……」
「うっ!」
「宮坂君に知られたら宍戸どうなるかわからないでやんすね」
「想像したくもない! やっべ〜……彼女よりこえぇよぉおお」
「やっぱうらやましくないっス……」
作品名:Keep a silence 2 作家名:アンクウ