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ベン・トー~if story~ vol.2

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俺は先輩に正直に全てを話すことにした。
「俺が獲った訳じゃないんです、その弁当」
「どういうことだ?」
「佐藤が獲ってくれたんですけど…」
その時のことを思い出して話す。

「藤島、ほら。これを先輩に持ってってやってくれ」
「いいのか?お前が獲った弁当なのに」
「ああ。俺は別にもう一つ獲ったからいいんだ」
「わかった。じゃあお前が獲ってくれたって伝えておくよ」
「いや、藤島が獲ったってことにしろよ」
「何でだよ」
「だって、彼氏が獲ってくれたって方が先輩だって嬉しいだろ?」
「佐藤、お前…良いやつだな。ありがとう」
「気にするなって。じゃ、また学校でな」
「ああ」

「とまぁ、こんな感じです」
「そうか、佐藤が…」
「嘘をついてすいませんでした」
「いや、そんなところじゃないかと考えていたんだ。昨日まで犬ですらなかったお前が、月桂冠を獲ってくるなど奇跡に等しいからな」
「で、ですよね…はは…」
ククッと笑っている先輩に、俺は苦笑いしか返せなかった。
「しかし、佐藤は着々と力をつけているようだな」
「はい。あいつ、どんどん強くなってますよ」
「頼もしいことだ」

「……」
「……」
少しの沈黙が場を支配する。
「…藤島」
先輩が沈黙を破って口を開く。
「あ、はい?」
「お前もダメだったとはいえ、私のために戦ってくれたんだろう?」
「…はい。オルトロスの一撃ですぐにKOされましたけど…」
「それでも、毎日のように看病に来てくれたじゃないか」
「か、彼氏なんですから当たり前です。それに、先輩だって俺が入院中にお見舞いに来てくれたじゃないですか」
言いながら自分の顔が熱くなっていくのを感じて恥ずかしかった。
「それを言うなら、私だってお前の…その、彼女なんだ。それに、お前が帰った後は一人だったから少し心細かった。だから…お前が来てくれたのが、本当に嬉しかったぞ」
先輩も顔を赤らめつつそう言ってくる。やばい、可愛い…!
俺は先輩に近づく。
「藤島…?」
俺は堪らず先輩を抱き締めた。
「こ、こら、やめないか…!」
それでも俺は先輩を抱き締めたまま問いかける。
「嫌ですか…?」
「…っ」
先輩は黙っている。怒らせてしまっただろうか?
「先輩…?」
「嫌な訳が、あるものか…」
そう呟くと先輩も、俺を抱き締め返してくれた。

俺達はそのまま、しばらく抱き締めあっていた。

作品名:ベン・トー~if story~ vol.2 作家名:Dakuto