二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

たとえばこんな間桐の話

INDEX|9ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

「桜の養子の件……間桐なら桜の為になるって……大丈夫だって……幸せになるって……話も通ってるって……言ってたわよね時臣ィィ……!!」
「その包丁は一体!?待つんだ葵!!落ち着くんだ!!それを向ける相手が違うよ葵!!」
「大丈夫、愛しているわ時臣……その魔術師としての在り方も否定はしないわ……でも一度死んできて?」
「葵ぃぃぃ!!?」
 他の面子を一瞬にして部外者にしつつ、修羅場が出来上がった。
「………ゆえつゆえつ」
 そして綺礼がほくほくだった。常の無表情が僅かに緩み、微笑の形を作っている。
「綺礼綺礼、どうだった?」
 隣に来てこっそり聞いてくる雁夜に、
「私が間桐邸に誘導する必要も無く、挑発と、罠と考えつつも突撃した。素敵に無敵だった」
「楽しかったみたいで何よりだ」
 微笑う雁夜に、綺礼も同じく笑みを返す。少々歪んだ笑みではあったが。
「愉悦、見つかったか?」
「師の暴走とうっかりなドジっ子っぷりを生涯の楽しみとして生きていこうと思う」
 無駄にきらきらした良い笑顔だった。誰だお前、とちょっぴり突っ込みたくなりつつも。
「それは良かった!!覚醒したなぁ、綺礼!!」
 雁夜は素直に喜んだ。
 精神破綻者、言峰綺礼。
 方向は違うものの、精神的にぶっ壊れてるのはこちらも同じ。雁夜から仲間認定を受け、皆で一緒に開き直ろーぜ!!と誘われた時は戸惑ったものだが。
「落ち着くんだ葵ィィ!!うばっ!?」
 葵に追い詰められていた時臣が足を縺れさせてすっ転んだ。
 思わずサムズアップする綺礼。勿論笑顔。
「……不憫な……」
「まぁ、間桐なんかに娘渡したツケだね」
 その光景に眉根を寄せて呟くケイネスと、同情の欠片も無く溜息を吐く切嗣。
「しかしアッサリ捕まったなー。流石遠坂ってか」
「まぁ、俺達の動向を監視する類の蟲共は事実上無力化されてたし、時臣が殴り込んで来るとは思わなかったろうしなー」
 ドサクサで手にした蟲爺の本体の入った瓶を振る鶴野と、苦笑しながらそう言う雁夜。
「うわははははは!!時臣ぃ!!貴様もなかなかに我を楽しませられるではないか!!」
「……なんという修羅場……」
「王……」
「……主、我々も避難しませんか……」
 爆笑する英雄王と、目の前の修羅場に死んだ目をするセイバー、それを気遣いつつもオロオロするランスロット、ランサーに至ってはこの場から逃げたいとケイネスに訴えていた。
 修羅場の発生により、途中で葵とセイバーを除く女性陣と子供達は他の部屋に避難させているのだ。
 正直この場にいる面子もそろそろ修羅場を止めたい所だが、葵さんがノリノリである。
 どうしたものか、とその様子を眺める面々だが、こちらもノリノリだった傍観者の綺礼が動いた。
「師よ。私の後ろに」
 時臣を庇う様に、葵の前に。
「あら、神父さん」
「そろそろ宜しいのではないかと思います」
「……そう?」
 綺礼の言葉に、おっとりと首を傾げる。
「はい。十分です」
 十分に満足し、堪能しました!!主に私が!!とその微笑が語っている。
「……そう。そうね、今の状態だと何も把握してなくて理解もしてないものね。ちゃんと話し合ってあげなくちゃいけないし……」
 先程までの迫力を伴った笑顔から一転、にっこりと、ほんわかとした笑みを浮かべて。
「こんな感じでどうかしら、雁夜君!!」
「葵さん素敵ぃ!!流石俺の初恋の人!!」
「うふふ、ありがとう♪」
「葵ィィィ!!?」
「あれ、雁夜そうだったのか」
「うん。まぁ、他に親しい女の人いなかったし。うちの事も教えてくれて、今でも感謝してる」
 初恋を拗らすなんてしている程暇では無かった。冬木に葵に会う為に帰って来ていたのだって、勿論大事な人だからというのもあったが、家の事を少なからず教えてくれるのが葵だけだったからだ。時臣には嫌われてるし、魔術師だからと自分も嫌ってたし。
「まぁ、今は桜ちゃん一筋だけどな!!」
「雁夜ァァァ!!?」
「おお、雁夜漢だな!!よーし式は派手にやんぞー!!」
「まぁまぁ♪嬉しいわー、その時は皆さんも是非出席して下さいね!!」
「うわあああなんなんだこれはァァァ!!!」
「ゆえつゆえつ」
「ふはははは!!実に良いぞ時臣ぃ!!」
 雁夜の発言、鶴野のはしゃいだ叫び、葵の楽しそうな笑み。目の前のそんな光景に何だか時臣が気絶でもしそうな感じだったが、その様子に愉悦を感じているらしい神父とやっぱり爆笑している英雄王を除き。
「十年後か……。まぁ良いだろう。時間があれば、だがな」
「……イリヤは嫁にはやらない、やらないよ……」
「何の話ですか切嗣……アイリスフィールは喜んで出席したがるのだろうな……」
「十年後……主とソラウ様はどんな家庭を築いておられるのか……」
「カリヤとサクラの式……素晴らしいものになるでしょうね……私も出来る事ならば是非その場に……」
 一同はそれぞれに、時臣の存在など意識の外に放り投げ、来るべき未来へ向けて意識を飛ばすのだった。




 ──その後。
 聖杯戦争が有耶無耶の内に無くなったり、聖杯調査する為の人員が集められた挙句に穢れが確認されて聖杯解体の為に動き出す面々がいたり、サーヴァント達が何のバグか受肉したりと色々ありつつ。
 更には時計塔の上層部が襲撃されたとか魔術協会が潰されたとかアインツベルンの城が爆破されたとか、そんな物騒な話が噂程度に飛び交いつつ。
 そして。


「切嗣!!今日から此処に住むの?」
「ああ、そうだよ、イリヤ。……きっと面倒事が多大にあるだろうけど、退屈はしないさ」
「ふふっ。きっと楽しい事がいっぱいあるわ。ね、セイバー」
「ええ、アイリスフィール。美味しい物も沢山あります」
「……マダム。私まで来ては……」
「あら、いいじゃない。皆でいる方が、楽しいわ」


「やれやれ……。実に想定外だ」
「まぁ、悪い事ではないと思うわよ?ケイネス。ディルと居られるのもとても幸運だわ」
「……ソラウ様。お戯れはそれ位に」
「あら、本心よ?」
「私はここで嫉妬に駆られて君を押し倒せば良いのだろうか」
「野蛮な真似はいけないわ、ケイネス。まずは唇を奪う所から始めてちょうだい」
(主達が幸せで生きるのが楽しいです!!そして私は空気を読んで部屋を出ます!!頑張って下さい主!!)


「ウェイバーちゃん、今日は何時頃帰ってこられるの?」
「夕食までには戻るよ、おばあちゃん」
「気を付けて行っておいで」
「余がついております故、心配する事などありませんぞ!!さて、行くか坊主!!」
「頭撫でんなばかぁぁ!!髪ぐっしゃぐしゃになんだろー!!」


 それぞれに、それなりに。
 楽しそうに、幸せそうに。
 騒がしくも仲良くやりつつ。
 冬木に移住する外国人が増えたとかなんとか。



 因みに居所が掴めていなかったキャスター陣営は、子供を物色中に凛を見付け、手を出そうとしてしまった為に。
 色々あって優雅が簡単にログアウトする様になってしまい、同時に赤い魔王と化す様にもなってしまった時臣にフルボッコにされ。
 しかし聖杯関連で滅ぼすのはマズイという事で生け捕りにされ、現在は教会の監視下に置かれている。



 そんな遠坂家は、今。