緋弾とニートと愚昧な武偵
第一章 今、物語のページが開く
第一話 始まりの銃撃(The opening in shooting )
一人の人間(ドット)に意味はない、他人を集めることのできる意味あるものでなければ他人(ドット)を集めて一つの 絵(おもいで) を作ることができない、僕、藤島鳴海は自分がその資質を持っているとは思わない。
けど、エンジェルフィックス事件以来、僕は.......。
「「「「「「「兄貴!!、お疲れさんス!!」」」」」」
武偵として、懐かれてはいけない人たちに懐かれました。
僕は極々普通な一般の高校生だった、武偵になった以上これは過去形であろう。わけあって、ストリートギャングの平坂組、組員にこの藤島鳴海は兄貴と呼ばれています。
「兄貴、武偵高までお供します。」
その野太い声に僕は振り向く、平坂組の代紋である蝶の刺繍の黒T-シャツを着た、平坂組一の屈強な男、通称 岩男(いわお)が僕に話しかけてきた、僕としてはただ、四代目から話があるといわれたから着たのだが、
「いや、いいですよわざわざ送って貰うのも悪いですよ」
やんわりと断りながら僕は平坂組をまとめている四代目、雛村壮一郎へと挨拶に行った。
四代目がいる事務所の部屋に入る
中にいたのは当然平坂組の組長こと四代目と何故ここにいるのかイマイチわからない少佐だった
「表の馬鹿共が騒いでたが、お前が原因か園芸部?」
白い髪に鋭い目つきの青年、彼こそがこの組の組長通称四代目だ、相変わらず名前では呼んでくれません。
僕は目を少佐のほうにやる、この人は僕の知っている人のなかでは最も違法行為を繰り返してる、できれば僕はこの人に手錠は掛けたくないのだが何もやらかしてくれないことを祈るだけだが、
「藤島中将どうした、そんな手榴弾を自陣に投げ込まれたような顔をして?」
いや、その手に持っている物が原因なんですが、少佐が持っていたのはガムテープでぐるぐる巻きになった妙に歪な三角形の物だった。まぁもしかしなくても拳銃です、はい。
「しょ、少佐!なんてもんを持ってんですか!?」
フッフッフと不敵な笑みを見せ、聞いた事実に唖然とする、なんとこの人、武偵大に転化していたと言う、都内でもレベルの高い大学に通っていたにも関わらず、わざわざ馬鹿の巣窟である武偵大に行くこともないだろうに...。
それ(けんじゅう)をゴミのように僕のほうに投げてきたもんだから思わず腰を引いて受け取ってしまう、ちょっと、アンタ暴発したらどうすんの?
「中将、武偵という戦場に駆けていく、貴君にこの向井均からの餞別をやろう」
できれば永久に使いたくないです、と断りたいが武偵になった以上使わなくてはいけないだろうと半ばあきらめムードでガムテープを解いた、手元に残ったのは鏡のような銀色をあしらった拳銃とは思えない大きさの物だった
「それはかの有名なIMI社が誇る、世界最強弾薬を撃ちだせる向井特製デザートイーグルだ、まぁ撃ってもいいが腕の骨折くらいは覚悟してもらうが....。」
前言撤回、絶対に使わないようにしよう。武偵としてドンパチやるたび腕折ってたんじゃ治療費がまずいことになる。
それもこの人が作ったものなら余計な仕様があるに決まっている、実は少佐は銃火器類(こういうもの)に関しての知識、技術は天才の域なので、僕は信頼しているが同時に軽蔑もしている。
「おい、園芸部。話がある面貸せ...」
僕達二人の危険な会話に介入してきたのはこの事務所の主、四代目は頭を押さえて呆れたような目で見ている、そんな目で見ないでくださいこっちも参ってるんです。
四代目は少佐を追い出し、事務所の部屋は僕と四代目の二人きりになった、正直気まずい、この人はしゃべってみれば良い人なのはわかっているのだが、如何せんこの人とは最初の事件以来顔を合わしていないので何を話そうか困っている。
「園芸部、アリスとなんかあったのか?」
そんな沈黙を破ったのは四代目だった、アリスとなんかあった?、あったというとあった、先日助手としての縁を切られたんだった。しかし、このことを言うべきだろうか?別に言っても問題なかろうが何となく言わないほうがいい気がする。
「何でも、ない、です....。」
その態度を見て多少四代目は怪訝な顔をしたが、すぐまたいつもの顔をしてこう言い放った。
「話したくなきゃ話さなくても良い。俺から言うことは唯一つだ。園芸部、あいつを泣かすなよ」
???、何のことだがわからない、アリスが泣く? あいつは僕のことはどうにも思ってないだろう。
どうしてそんなことになる?
ダメだ、何のことかわからない、でも取りあえず答えておこう、嘘でもいいから。
「わかりました、では失礼します...。」
僕は逃げるようにして事務所の部屋から出て行く、その質問の意味が解らなかったから、僕を引き止めることなく四代目は僕を部屋から出してくれた、なにか呆れているような目で見送りながら。
(今の時点で泣かせてるのを気づいていないのか、あいつは?)
7:00分頃のことだった、このときの僕は武偵という仕事がどれほど危険な職業なのかをこの一時間後に知ることとなる、とある二人の男女と出会うことで。
ところ変わってここは、東京武偵高等学校探偵科の男子寮
散らかった部屋に脱ぎ捨てた制服のある、普通の男子学生ではありがちなそんな部屋、いやソファーの傍らのテーブルにあるベレッタM92Fと9mmパラベラム弾が転がっている辺りは武偵高生ならではだろう。
7:00なっても眠りこけている黒髪のボサボサ頭の少年、名を遠山キンジという、とある事情でこの少年は脱武偵願望を抱いているのだ、おっと、彼が起き出したのでここからは彼に任せよう。
季節は春、俺、遠山キンジは来年から普通校編入を考えていた、俺はこの武偵のような狂った奴らの巣窟から逃げたくて仕様がなかった、とにかく普通になりたかった。
「ピン、ポ〜ン♪」
寮の玄関のインターホンが鳴る、いつものようにあの世話焼きが来たか、と俺は多少寝ぼけた頭で玄関の扉を開ける。
ガチャ
「おはよう!、キンちゃん」
黒い長髪に白いリボン、顔つきは清楚なお嬢さん、そして武偵高指定の防弾セーラー服を着た
俺の幼馴染の星伽白雪(ほとぎしらゆき)だ、あと白雪さん、高二にもなってちゃん付けはやめてください恥ずかしいです。
「その言い方はよせ、俺は遠山キンジだ キンちゃんじゃない」
俺はちょっときつめな言葉によって静止を促す、こんなとこほかの連中に見られたら血祭りも良いとこだからな。
「でも私キンちゃんことを考えてたから キンちゃんのことを見たらつい、は、また私、キンちゃんってご、ごめんねキンちゃ、ふぁ...」
ため息と共に俺は思う、こいつの中ではどうあっても俺のことは『キンちゃん』以外に呼ぶ気はないと、まぁ俺としては言われて嫌な気分じゃない、寧ろコイツのように何の気兼ねなく話してくれる存在が居て素直に嬉しいと思う、一年前の俺はそんな存在を求めていたからな取りあえず玄関では難だから白雪を部屋の中にあがらせる。
作品名:緋弾とニートと愚昧な武偵 作家名:札守