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緋弾とニートと愚昧な武偵

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「わからないから聞いてんだよ、俺はただのEランク武偵だ、押入りストーカーに付き纏われる事はして...............ないと思う」

 よく考えると一つだけ心当たりがあった、体育倉庫に墜落したときこいつ 俺が強猥したと思い込んでやがるんだ....................よっし、訴えるってんならバッチコイ!! 勝ち目は全くないが。

だが当の本人は、何処吹く風?といった風にしている、切り替えの早いほうなのか? で下のコンビニから買ってきたらしい、ももまん六個目にかぶりつきながら、このときの俺からしたら巫山戯んじゃねぇと叫びたくなるくらいとんでもないことを言いやがった

「強襲科(アサルト)に戻ってあたしのパーティーに入りなさい、それで一緒に武偵活動をするの」

・・・・・・・・・・・・ぼやくつもりじゃないが言わせてくれねぇか?・・・・・・・・冗談じゃねぇ。

「あのな、俺は強襲科(アサルト)がいやで武偵高で一番まともな探偵科(インケスタ)に転科したんだぞ.....それに俺は来年から武偵を辞めるつもりなんだからな..........強襲科(アサルト)に戻るなんてムリだ」

「あたしには嫌いな言葉が三つあるわ」
「聞けや、人の話(-∀ー#)」
「ムリ、疲れた、面倒くさい この三つは人の無限の可能性を押しとどめてしまう良くない言葉、あたしの前では二度と使わないこと、良いわね?」

 こいつの第一印象を一言で表すなら「傍若無人」いや武人と称すべきか、ヒステリアモードのときの俺でも受身が精一杯だったからな、まぁこう言っちまえば弱い犬ほどよく吠えるという表現がピッタリ来るのが悲しいことだが。

「キンジはそうね.......あたしと一緒にフロントが良いわ」

『フロント』という言葉に俺は思わずゾッとする、フロントとは武偵用語で言う、フロントマン、つまりは陣営の先陣を切る、負傷率NO.1の配置だ。
「おい、待て そもそも何で俺なんだよ?」

「太陽は何故昇る? 月は何故輝く? キンジはまるで子供みたい、武偵なら情報を集めて自分で推理しなさいよね」

 いきなり話が飛んだな、というか子供みたいなお前にだけは言われたくない、と咽喉まで出かかったが昨日それで殺されかけたんで黙っておこう。
 しかし、これではっきりした、こいつとは会話のキャッチボールが成り立たない、ピッチングマシンの如く、自分の要求をズバズバと投げつけてくるだけだ 心なしか藤島は苦笑いしながら気の毒そうに俺のほうを見てくる........もし、そう思うなら 助けてください。

「鳴海、アンタも例外じゃないわ あたしのパーティーに入りなさい」

・・・・・・・・・はぁ? 今 こいつ何つった?いきなり襲い掛かった相手をスカウトか? 当の藤島のほうはさっきの苦笑い時とはまるで違う顔でアリアを睨んでいる おい、怖いからやめろ。

「それはできないよ、僕が......力を貸すのは......大切な人のためだけだよ、だから 帰ってくれ」

 良いぞ、藤島もっと言え!! 今のお前なら こいつを追い出すことのできる材料が揃ってるから俺達の要求は正当性があるぞ!!

「・・・・まぁ そのうちに出てくわ」
「・・・・・あのね、そのうちって何時だよ?」

ああ ダメだ 藤島はもう怒りというより呆れの感が出始めている、これは説得はできなさそうだな。

「アリア、これは最終警告だ 今すぐ出て行かないと危ないぞ」
「い・や・よ 何が何でもアンタ達にはあたしのドレイになってなってもらうから、覚悟しなさい!!」
*
「キンジ、どうする?」
 夕食後、俺達は散歩代わりに寮の下のコンビニの雑誌コーナー(アレな本は無い所)で立ち読みしながら今後の対策について話し合っていた。正直あんな暴力娘と一緒にいるなんて居た堪れないのにもほどがある、藤島のほうはメオが心配な様だったが、俺達があのまま居続けたとしても何の進展も無いのは目に見えているので俺の提案である、外で時間をつぶすことに乗ってくれた。
「取りあえずは.......何故俺達なのか? ってことを調べる必要があるな」

 俺は手に持っている漫画雑誌のページから目を離さないでページをめくりながら人事みたいに独り言のように言うしかできなかった 武偵同士の戦いは昨今の戦争同様、まずは情報戦が物を言う、如何に相手の弱点を見つけ、自分の情報を漏らさないかによって比喩なしで生死が決まるって言っても過言ではない。

「・・・・・一人、情報収集の腕利きに心当たりが要るけど、任せてみる?」
 俺の思考が止まったのを察してくれた藤島からこの場においては最もな意見を言ってきた、クラスの連中からはネクラと囁かれている俺でも情報収集については幾つかツテがあるんだが............金のほうに問題があるんだよ、今月も厳しくてなぁ。

「・・・・・・・当然有料なんだろ?」
「その辺は..........僕に任せてくれる?」

 一瞬言葉が詰まったようだったが何とかしてくれるらしい、本来なら、人の好意に甘えてはいけないのであろうが俺は何故かこのときは素直に素の俺のまま............誰かを頼ることができたんだ。

「ありがとな、俺の味方でいてくれて」
「気にしないで、僕ができるのはこのくらいだけなんだ」
*
「ただいま」

 藤島はごく自然に、俺は泥棒のように静かに寮の部屋に入る、浴室からは水を流す音がかすかに聞こえてくるが、多分メオが風呂にでもはいっているんだろう。........この状況に僅か二日で俺が慣れたのは軽く謎だが。

 対する藤島は玄関を見て少し目を見開いたとたん 土足で入り込むような勢いで寮の部屋に突入して奥にあるリビング、四つに部屋分けされた個室、寝室を確認し小走りで玄関に戻って来た。

 藤島は肩で息をしながら絞り出すような声で

「メオが.......ハァハァ.........いない」

 藤島が鬼気迫るような声で言い始めたとき俺は自然と藤島が何故この部屋に来たのかを悟った、恐らくメオは藤島の依頼者である人物のVIPであり、藤島はその護衛かなんかであったのだろう、それも表沙汰になると厄介な奴だ、そして........護衛場所はそれまで俺一人だったこの一室に配属されるよう何らかの手段をとったのだろう...........社交性のない俺がその理由を聞くことも漏洩もしないと見越して。

「なぁ、藤島 メオについて話してくれねぇか?........ホントのこと」
「ゴメン、今は話せない....... ちょっと外に出てくるよ」
「・・・・・・・そうか、明日までには戻れよ」

 藤島は返事をしたのかわからないままに武偵高の防弾制服に拳銃とスタンナックル?を装備して夜の街に繰り出していった。
キンジside end

その後、二日余り経った渋谷の某所

 ボロ雑巾みたいにフラフラになりながら、周りからはなんというか、雰囲気が悪い意味で違う建物に近づく人影がその建物に入っていった。
作品名:緋弾とニートと愚昧な武偵 作家名:札守