緋弾とニートと愚昧な武偵
第一章 今、物語のページが開く
第四話 それぞれの心境 (Their feelings)
キンジside
もしも神様がいると仮定する、そして聞けるのなら俺は聞きたい『神様よ、俺を苛めて楽しいか?』
ヒステリア サヴァン シンドローム(Hysteria Savant Syndrome)
通称『ヒステリアモード』と俺は呼んでいる、これは遠山家の祖であり、かつて東京が江戸と呼ばれていた時の名奉行 遠山金四郎(とおやまきんしろう)、俺の家が代々引き継いでいる遺伝形質だ。これが発動すると常人の30倍ほどの反射神経や思考の鋭敏化などをさせてくれる、ここまでなら、良いこと尽くめなのだが欠点がある。
それはこれの発動条件が『性的興奮』である、雄という生き物は異性を守ろうとするとき子孫を残そうとする本能ために多かれ少なかれパワーアップする、ヒステリアモードはこれが異常に発達した物だ、初代遠山は人前で刺青を入れた肌を晒すことでこのモードになり映画やテレビでのあの名奉行ッぷりをしていたわけだ。
しかし、俺の場合は彼とは違い異性との接触が鍵なのだ、そして俺はやたらキザになり女の子の願いをほいほい聞いてしまう。これを中学のころバレて女子達に独善的な英雄扱いされていたのは口外禁止の黒歴史だ。
場面を元に戻そう、俺は例の事件のせいで大遅刻をしてしまったことを誰にも言わず、自分の新しい教室に向かい教室の引き戸を開ける、
ガラッ....
「すみません、事情があって遅れ....。」
ガラッ、パタン ←(扉を閉めた音)
・・・・・・・・朝からあんなことがあって・・・疲れているんだ、うん、そうに違いない! よし!帰ろう!!
ガラッ
「あ、あの、遠山君? HRはもう始まってるんですが...どうしましたか?」
「アァ!?(゜Д゜#)」
「ヒッ!、あの..... 席についてください.....。」
つい、状況を飲み込めず脅すようなことを言って萎縮してしまった、この先生は俺の所属する探偵科(インケスタ)の教師 高天原(たかまがはら)ゆとり先生 武偵高では珍しい、常識人でありその人柄とルックスで男女生徒問わず人気がある......。 そんな先生にメンチ切ってしまった俺は....。
(((テメェ〜、ゆとり先生、脅してんじゃね〜よ( ゜Д゜)ゴルァ!!)))
視線による、銃撃を受けていた、いや 武偵高なのだからきっと比喩じゃすまないだろうな。orz
しかし、俺がもっと気にしたのは、教壇の上にいる、桃色の悪魔と今朝のあの生徒である。
(あいつと同じクラスかよ、はーぁ。)
キンジside end
アリアside
あたしは、さっき会ったこいつ、藤島鳴海と一緒にいる、あいつは出血していた量が意外にも多かったのであたしはこいつと自転車の回収を武偵高に連絡した。あたしには治す技術が無いから....。
すぐに救護科(アンビュラス)の連中が来たけれど・・・あたしは同行することにしたわ、曲がりなりにも何もしていない仲間に銃を向けて脅した形になってしまったから.....。悪いとは思ってるわ、あいつ(キンジのこと)の件もあって頭に血が上ってたこともあるし。
こいつが救護科のベットに担ぎ込まれた、・・・・・ちょっといたずら気分で寝ているこいつを弄ってみる
プニ
まず頬をつねってみる、無防備な人を弄くるのは、・・・正直 楽しい・・・。
「・・・『小さな武偵さん』か.... ・・・小さいとか言うなっ....。」
あたしは少しつねる力を強くしてみる、さっきムカついた台詞があったから。
「ん?、んっ........」
起きたようなので、弄るのはやめよ、あたしは部屋を出て行く、けど
「あの、待ってください」
呼び止められたので、つい 足を止めてしまう、ホント、あいつといい こいつといい 何なんだろ?
アリアside end
鳴海side
視界が暗い、あそこで倒れてしまったのか僕は?
・・・・痛い.......。当たり前か 掠ったとはいえ銃弾が体を抉ったんだから....。手の感覚が無い、撃ったのもがアレだからね、でも我ながら無茶をした、見ず知らずの転入先の生徒を助けようとしたり、お節介で当たるかどうかわからない弾をぶっ放したり....。ホント、何やってるんだろ?....。
こんな打算的だから、アリスにも愛想、尽かされたんだな.....。元々、彼女は愛想は悪いし、もしこんな風に寝ていたら、部屋....叩き出されるだろうな。 ん、顔に変な感覚があるけど、つねられてる?
僕は、一気に起きるとは行かずまず声を出して、顔をつねってるであろう人物に話しかけようとする
「あの、待ってください」
僕は目を開ける、痛みのせいか視界がまだぼやけるが起き上がって、その姿を見る...... 正直、見なければ良かった、視界に映りこんだのは、自転車に乗ったあの人を助け、さっき僕に銃を向けてきた子だ、何のことで銃を突きつけられたかは知らないから、動けない体のはずなのにベットの角に退避してしまう、もちろんそんなことがあっても先入観で物事を見てはいけないとは思ってるけどやはり怖い、
「・・・アンタ、生きてたの?、良かった、じゃあまたね」
彼女は「用は済んだでしょ」みたいな流れでさっさと病室から出て行く、
「あの、どうして君がここに?」
僕は聞かなくてもいいことを聞いてしまう、普通に考えればあのとき意識がなくなったとき、自分では動けなかったはずだ なのにこの病院みたいな施設に自分がいるのは目の前の彼女が救急かなんかに連絡してくれたのだろう。
「アンタはあたしと会った時、気絶したの、あのままじゃ後味悪いでしょ?、だからあんたをここに連れてきた」
対する僕は彼女の簡潔な答えに多少ポカンとしながらも聞いている、それと同じくして彼女の容姿とかを思わず見入ってしまった、ピンク色のツインテール、小柄な体躯に自信のある口調、あのときは確かにビビッたけど、今はそうでもない.....。 そうか、似てるんだ アリスに だから面識は無いはずなのに普通に話しかけられるんだ。
「あの・・・さっきはゴメン、いきなり銃を向けたりして......。」ペコリ(_ _*)
目の前の彼女は罰が悪そうな顔をして、さっきの口調とは違い 今度はやけに静かになった。別に気にしてないわけでもないけど、何と言うか意外だ、こういうタイプはよく言えば「我がはっきりしている」悪く言えば「他人の迷惑を顧みない節がある」という先入観で見ていた。それなのに銃を突きつけたことを謝罪してきて正直 面を食らってしまった。
「・・・アンタ、授業あるけど、どうするの?、ここで休んでる?」
作品名:緋弾とニートと愚昧な武偵 作家名:札守