DRRR BLOOD!!
池袋入り
志貴は電車から降りて定期を改札に通す。
来良学園へ留学する祭の下準備は大変だった。
まず、定期を買わなきゃいけなかったし引越しのための準備も手間取った。
志貴はあまり私物を持ちたがらないので荷物は少なかった。
が、引越し業者が運ぶ時に七ツ夜を見つけられるとまずいので今は着ている私服のポケットに入っている。
制服は三咲のもので構わないらしい。
地図を頼りに行くと、一見のアパートにたどり着いた。
―――予算ケチったな。
それがすぐわかるくらいぼろかった。
家賃は学校側が負担するらしいから大方予想はついていた。
不意に後ろに気配を感じた。
振り返ると、そこには一人の青年がいた。
黒いフード付きのコートを身に纏っており、眉目秀麗を具現化したような美青年と言う言葉が似合った。
案の定、男は志貴に用があるようだった。
「ちょっと、いいかな?」
志貴は駆け出した。
その男がやばい事は感じ取れた。
おそらく人間だろう。
しかし、どこか普通ではない感じがして、得体が知れない。
志貴は近くの路地裏に逃げ込んだ。
だが、運悪くそこは行き止まりだった。
「あんまり土地勘無いうちは下手に狭いところ行かない方がいいよ。
それに君のアパートはあっちでしょ?
それから、俺は怪しい奴じゃないんだけど」
男はゆっくりと歩いてきた。
志貴はポケットに手を入れ、いつでも七ツ夜を取り出せるようにした。
「ああ、自己紹介が遅れたね。
俺は折原臨也《おりはらいざや》。新宿の情報屋なんだけど」
「何の用だ?」
「まあまあ、もう少しゆっくり話そうよ。
僕は別に直死の魔眼に興味はないから」
志貴はその言葉を聞いた途端身震いした。
―――何で知っているんだ?
折原臨也は心を読んだように言葉を続けた。
「だって俺情報屋だもん。
でも驚いたね、帝人君と同じアパートだなんて」
志貴は眼鏡を外して、七ツ夜を取り出して刃を出す。
「だから、何の用だ」
「ふうん、蒼いんだ。君の目」折原臨也は余裕だった。
「何の用だって訊いている」志貴はいい加減苛立ってきた。
「まあ、今日はこれを渡す予定だけだよ」
折原臨也は一機のノートパソコンを取り出し、志貴に渡した。
志貴は一応受け取ったが、状況は読み込めなかった。
「とりあえず、そこのアパートに竜ヶ峰って子がいるからその子に色々訊いてみるといいよ」
折原臨也はそう言うと懐からナイフの刃だけを取り出し、志貴に投げてきた。
志貴は刃を視た。
そして、七ツ夜で線を斬り、それを殺した。
そのまま折原臨也も殺そうとしたが、既に姿はなかった。
作品名:DRRR BLOOD!! 作家名:蔦野海夜