DRRR BLOOD!!
チャットルーム
―――チャットルームには誰もいません―――
―――チャットルームには誰もいません―――
―――チャットルームには誰もいません―――
―――無月夜さんが入室されました―――
(えっと、誰もいませんか?)
(田中太郎さんて人から招待されたんですけど)
―――甘楽さんが入室されました―――
《どーも☆甘楽でーす♪》
《おや、新人さんがいますね》
(よろしくお願いします。むげつやといいます。)
《私は管理人の甘楽といいます》
(あ、タイミング悪かったですね)
《なんという速度の早さ・・・》
(それより、太郎さんまだかな)
―――田中太郎さんが入室されました―――
【無月夜さん、遅れてすいません】
【甘楽さんもあんまり弄らないで】
《弄ってませんよ失敬な!ぷんぷん!》
内緒モード
【えっと、一応言っとくけど臨也さんが甘楽さんだから】
(何!?ていうか便利だなこのモード)
内緒モード
(先日はどーも)
《おや、気付いちゃった?まあ帝人君から聞いたんだろうけど》
(どこまで知ってるんだお前は?)
《んー、君の恋人の吸血鬼も君の妹の事も大方把握してるよ》
《あと、先輩もなにやら物騒な組織に入ってるようだね。あの一件はロアって言ったっけ?》
(殺すぞ)
《ちょ、それシャレじゃないからw》
(ていうか、ネカマw)
《いやああああああああああ!無月夜さんが内緒モードでセクハラしてくるううう》
(ええっ!何故そうなる?)
【気にしたら負けです。甘楽さんもくだらない被害妄想やめてください】
《太郎さん、女性には優しくしなきゃダメですよ!》
―――セットンさんが入室されました―――
[ばんわ~]
[甘楽さん、少しは自重してください]
《なんですかそれ!?》
♂♀
志貴は布団の中で目を覚ました。
近くの時計に目を通すと七時ごろだった。
いつもは高いベッドで寝ているが、意外と布団でもいけるものだ。
―――約束は十時だったな。
志貴は大方の準備は済ますことにした。
準備しながら昨日の事を思い出す。
あのあと結局正臣の約束を断れなかった。
アルクェイドが不満を漏らさなければいいがと心配したが、意外と今回は大人しかった。
同棲すると聞いて機嫌がいいのかもしれない。
秋葉はそんな乗り気ではなかったが、瀬尾さんや月姫さんも連れてくるらしい。
シエル先輩は快く引き受けてくれたが、アルクェイドという単語を聞いた途端何か不吉なオーラが漂い始めた。
琥珀と翡翠はおそらく秋葉に引っ付いてくる。
―――琥珀さんと翡翠さんの普段着見たいな。
志貴はそんな事を考えていた。
そして、しばらくした後帝人と共にアパートを出た。
♂♀
遠野秋葉は早めに屋敷を出て少し早めに池袋の町を歩いていた。
隣には瀬尾あきらという後輩と月姫蒼香というボーイッシュな友人もいる。
「いやー、やっぱ池袋って凄いところですね先輩!」
「はしゃぎすぎだっての」
「いいじゃないですか~。
こんなとこに来る機会なんて殆ど無いんですよ」
「まあ、たしかに今回は兄さんに感謝しませんとね」
「とっとと金出せっつってんだよ!」
いきなり響いてきた声に瀬尾は驚いた。
秋葉と蒼香は声のした路地裏を覗いた。
「早くしろ!」
「うぜえんだよお前!」
目に入ってきた光景は大人しげ巨乳メガネっ娘が感じの悪い女子三人にカツアゲされてる場面だった。
「いまどきあんなのいるのかよ、昭和の脳みそだな」
蒼香が呆れながら出した言葉は正論だ。
秋葉も瀬尾も同じことを感じた。
「さっさと出せっつってんだよ園原!」
園原?
秋葉はその言葉に聞き覚えがあった。
昨日、義兄と電話で話した際聞いた単語だ。
園原杏里。
大人しげで気弱な女子だと言っていた。
まさか・・・。
「・・・瀬尾さん、ちょっとこれ持っててください」
秋葉は後輩に自分のバッグを託した。
瀬尾は戸惑っている。
「ちょっとすみません」
「ああっ!?」
「んだよコラ!」
「邪魔すんな!」
秋葉が近づいた瞬間昭和の脳みそを持った女子高生三人が突っかかってきた。
しかし、これは想定の範囲だったので秋葉は受け流す。
「園原さん、大丈夫ですか?」
女子高生を無視して杏里に声をかける。
女子高生はまた暴言を吐いてきたが、秋葉の耳には入っていなかった。
「あ、はい、ありがとうございます」
杏里は案外ノリが良く、初対面の秋葉にあわせていた。
「こういう連中は無視するのが一番です。
さ、行きますよ」
秋葉は杏里の手を掴むと引っ張ろうとした。
「オイ、シカトすんな貧乳が!」
秋葉はピタッと静止する。
蒼香は、やらかしたなあいつら、という顔をした。
瀬尾は、先輩ダメです!、という顔をしている。
なぜなら、今この瞬間一人の女子高生のせいで他の二人の女子高生の死亡フラグも立ってしまったのだから。
「なんですっってええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!」
それから先はまさに神業だった。
まず高速で一番近い女子にヤクザキックをかまし、〇.五秒後にアッパーを使って二人目を倒し、最後の一人は回し蹴りで腰を攻撃した。
三人は声を上げることなく倒れたかと思えばすぐにそれぞれ負傷した箇所を押さえて立ち上がり、一目散に逃げ出した。
遠野秋葉に貧乳という言葉はNGだ。
♂♀
志貴と帝人は待ち合わせ場所に割と早く着いた。
流石に誰も待っていないだろうと思っていたが、帝人は志貴の表情が変わったのを見て誰かいるんだな程度のことは感じた。
志貴の視線は待ち合わせ場所にいる腕時計を見ながら不満そうにしている外人女性に注がれていた。
ブロンドのショートカットに赤い目。
顔は幼いつくりをしており、絶世の美女と言うのに相応しかった。
ただ、格好は白い長袖のカットソーに紫のロングスカートと地味だった。
しかし、その地味な格好がかえってバストを強調しているようにも見える。
すると一人のカラーギャング風の男が女性に近づいた。
ナンパしているようだが、女性からは相手にされない。
離れすぎているので会話は聞こえないが、男は諦める気はなさそうだ。
男はついに女性の腕を強引に掴んだ。
「ヤバイ!」
志貴は叫んで女性の方に走り出した。
冷や汗が浮かんでいる。
それに吊られて帝人も慌てて志貴を追いかけたが、
「触んないでよ!!!」
女性は腕を掴んだ男を力任せに文字通りブン投げた。
男は人々を超えて軽く十メートル向こうに飛んで行った。
女性はまったく疲れた様子が無い。
ふと、女性は志貴に気が付いたようだ。
「シキ~~~~~!」
女性は志貴のほうに駆け出し、抱きついた。
アルクェイド・ブリュンスタッドは人間ではない。
俗に『吸血鬼』と呼ばれる種族の姫的存在だ。
吸血鬼にはそもそも二種類あり、祖となる真祖と真祖に血を吸われた人間である死徒がある。
彼女は真祖の方であり、ロアと言う因縁のある死徒を追って小さな島国にやってきた。
そこで殺人衝動に飲み込まれた志貴に殺され、生き返りはしたものの以前のような力を使えない状況になったが志貴やシエルなどの助けを得てロアの討伐に成功する。
作品名:DRRR BLOOD!! 作家名:蔦野海夜