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雪割草

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って当り前だよなぁ。あいつ女だった。男のままで入るわけないか。
でも…。

「ごめん…格さん?ダメか?」

恐る恐るうかがうと、早苗は格之進に変わっていた。

「…イヤだぞお前と入るのは!」

「早苗じゃなくて、格之進と入りたい。ダメか?」

「女じゃなくて、俺の方か?」

「あぁ。お前とだ。」

期待して、返事を待った。

「…ちゃんと隠せよ!それに、見るなよ!」

「やった!いいんだな?」

喜び勇んで、湯に向かった。

「…なんでそんなにうれしい?」

「一緒に入りたかったんだ。俺、一人で入るの嫌いだからさ。」

「は?変なやつ。」

友達と一緒に入れて、助三郎はうれしくてたまらなかった。
風呂はやっぱり人と楽しく入るのがいい。
浮かれていたが、ふと格之進の脇腹が気になってそっと窺った。
そこにはいつか自分を庇って斬られた跡がはっきりと残っていた。

「…なぁ、それまだ痛むか?」

「ん?…見ないって言ったろ!」

格之進に怒られたので、視線をそらした。

「すまん…。でも、気になったから…。」

「…痛みはしない。傷は目立つけどな。」

「…すまん、俺のせいで。」

「…気にするな。早苗にはほとんど無いから。」

「本当に?」

「あぁ。」


ほっとして、助三郎はついつい格之進を見てしまった。

うわ…。
とうとう負けた…。

筋肉が無駄なくつき、締まった理想的な身体だった。
ここ最近、前よりも女にモテるわけがわかった気がした。
男が見ても格好良い。憧れる。
あまりにも、女の姿と差が大きいので、つい疑問に思った。

「…お前さ、本当に中身早苗だよな?」

「おい、今さらなんだ?」

「…すごく、その、なんだ?」

「わかってる。ゴツイよな。ちょっと鍛え過ぎた。」

「そんなことない。うらやましい…。」

「へ?うらやましい?」

「あぁ。やっぱり格さん、格好良い。早苗の弟だから良いが、赤の他人だったら、あいつがお前になびくんじゃないかなとさえ思う…。」

「心配か?」

「あぁ。」

「…早苗は、助さん以外イヤだって。」

「…本当に?」

「あぁ。大好きなのはお前だってさ。」



うれしくなった助三郎は決意した。

よし、俺もこれくらい祝言前までに鍛えよう!
早苗を喜ばせたい!


ふと、再び横の格之進を見て思った。
こいつ、俺よりずっと白いな…。
普段絶対に人前で脱がないからか?
まぁ、女の子だからな。早苗だからな。
こんなので女の子…
女の子…。
女…。
ん?
……え?
…………あれ?
………………ヤバい!?




早苗はいきなり助三郎の様子がおかしくなった事に驚いた。

「おい、鼻血出てるぞ!?大丈夫か?」

「気にするな、のぼせただけだ。出る!」

早苗も早々に風呂を切り上げた。


部屋に助三郎は見当たらず、新助が一人、茶をすすっていた。
男のことは、男に聞くべきと、思い切って質問してみた。

「ねぇ、新助さん。鼻血って出やすい?」

「え?そりゃ、殴ったら出ますよ。鼻のかみすぎとかでも…。」

「のぼせたら出るのかな?」

「風呂ですか?」

「うん…一緒に入った助さんがね、鼻血出したの。」

「あっ…早苗さん、怒らないでくださいね。助さんも男ですから多分興奮したんじゃ?」

「でも、早苗で入ってないわ…。」

「え?格さんでですか?じゃあなんでだ?おかしいな…。まさか?」

新助の変な考えとはよそに、早苗は違うことに気を取られていた。

「ねぇ、男の人って鼻血出るの?興奮すると?」

「はい。出る人は出ますね。…でも、我慢してる人じゃないですかね。助さん相当我慢してますもん。あの精神力はあっぱれだ。」

「我慢?なんの?」

相変わらずそっちはよく知らない早苗だった。

「あっ、いえ、気になれば由紀さんに聞いてください…。」

「そう?」

新助を残し、由紀を探しに言ったが、彼女は見当たらず、助三郎がどこからか戻って来た。

「あ、助三郎さま、鼻血止まった?」

「あぁ…なんとか…。」

「ねぇ、興奮したの?」

「えっ?いやっ、違う!格さんだったろ?大丈夫だとおもう。」

「何が?」

わけのわからない弁明に疑問が湧いた。

「…早苗、俺はお前のことを『女』として『将来の妻』として大好きだ。
格之進は『男』の『友達』として大好きだ。わかってくれるか?」

「ねぇ、何が言いたいの?」

「格之進は好きだが俺は決して男色じゃない。格之進をそういう相手にしたくない…。」

「心配なの?男色かそうじゃないか?」

たしかに、夫が男色なのはちょっと抵抗がある。
格之進の時に襲われたくない。

「…お前をガッカリさせたくないんだ。それに、格之進に嫌われたくない。」

優しい許嫁がうれしかったが、早苗は、ふと彼をからかいたくなった。
しょっちゅう自分がからかわれ、痛い目を見る。お返しをすることにした。
あとで起こられても、『確認のため』という大義名分がこっちにはある。

「確かめて見る?男色かそうじゃないか。」

「そんなことできるのか?」

「ちょっと手荒くなるかもしれないけどいい?」

「何するんだ?」

「こうするの!」


そう言うと、早苗は助三郎に飛びついて押し倒した。


作品名:雪割草 作家名:喜世