二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

雪割草

INDEX|9ページ/206ページ|

次のページ前のページ
 

「まぁいい。…早いとこ、力加減に馴れろよ。それにしても痛いな…」

「すみません…」

 それから何度となく兄と組み合い、力の入れ具合は解るようになってきた。
すると平太郎はホッとした様子で早苗に言った。

「少しは慣れみたいだな。…でもお前、力がえらく強い。怪力じゃないか?」

 貶されたと思った早苗はムッとした。

「可愛い妹に向かって怪力とはなんですか!」

 平太郎はその言葉を笑った。

「ハハハハハ! 今はどこからみたって弟だぞ。…そうだ、汗かいたろ? 風呂入ってこい」

 早苗は怒るのも忘れ、大好きな風呂と初めての休憩の魅力に心を奪われた。

「やった、休憩だ…」

 しかし、兄は甘くは無かった。

「そのあと剣術の補習だ。お前ボロボロだからな」

「はい…」

 少しがっかりした早苗だったが、風呂の魅力が彼女の心を占めていた。
ウキウキしはじめた彼女に、平太郎が心配そうに声をかけた。

「一人で入れるか?」

「へ?」

「…厠よりキツイかもしれんが、大丈夫か?」

 先ほど自身の身体の変化に驚き泣いた事を思い出し、一瞬鳥肌を立てた。
しかし、彼女は気丈に言った。

「大丈夫です!」

 その声を聞いた平太郎は、安堵の表情を浮かべ妹に笑顔を向けた。

「ゆっくり入って疲れをとって来い」

 早苗は、風呂場へと向かった。

作品名:雪割草 作家名:喜世