ギャグマンガ日和をいい話にしてみた
「遣隋使、ですか?また?」
小野妹子はとある朝廷のお偉いさんから呼び出しを受けていた。
話があると言われたからである。
「そう。裴世清さんの帰国のお供と返書を兼ねて」
僕が前に遣隋使として隋に行ったのは一年ほど前だ。
遣隋使に同じ人を使うのは知っていたが、いざ言われると驚くものだ。
太子は知っているのだろうか?
「あの、太子はまた付いて来るんですか?」
前回太子は朝廷から厄介払いされて遣隋使の旅に参加させられた。
おかげでこっちはかなり迷惑だったが。
今回も一緒に行動を共にするのは正直言って嫌だ。
「ああ。あの方は行かないよ。
ていうか行かせない。
あいつが行くとろくな事がない」
かなり安心した。
しかも話によると、高向玄理、南淵請安、旻《みん》といった頼れる仲間も付いているという。
前回行ったときの皇帝はどうやら宇宙人だったようだ。
聞いたときは驚いた。
塩が弱点だったらしい。つまり、あの時は太子に助けられた。
結構屈辱的だった。
しかし、太子に感謝しなければならないのは事実だ。
まあ、遣隋使に行くことは知らせてもいいだろう。
こっちも本物の煬帝にあってみたいし行く事はもう決めた。
「おお来たか妹子っ!
早速だが腐女子、間違えた麩菓子かって来い」
僕の上司、聖徳太子はかなりのアホウだ。
今の間違いはボケではなく天然だ。
このボケがあるとなんだか和む。
シリアスな話も話しやすくなる。
「アホか!
こっちはかなり真剣な話をしに来たんですよ!」
「なんだ、言ってみろ」
僕は二回目の遣隋使の話を太子に全て打ち明けた。
「そうかそうか。
じゃあ私も一緒に・・・」
「それだけは止めてください」
「何でだよっ!」
「あなたが行くとかなり面倒な事になるんですよ。
一年前だってかなりカオスな事してくれたじゃないですか」
「ナンだよあの時私が塩持ってなかったら二人とも死んでたかもだぞ」
それ言われると何とも言えない。
「とにかく来ないで下さいね」
出発当日。
港には二艘の巨大で立派な船があった。
磯の香りが漂う。
「何で来ちゃうんですか。
頼むから見送りって言って下さい」
「だって皇帝に会いたいし。
天皇の許可も取ってきたよ。
大喜びされたぞ」
それは厄介払いできるから喜ばれたんですよ。
僕はやれやれといって笑った。
「しょうがないなあ。
偽名使ってくださいよ。
ウンコ大好きウンコ丸でいいですよね?」
「いいわけないだろ!!!!!!!」
こんなほのぼのした日が僕は意外と好きだった。
旻さんの都合で出発は太子の乗る船の出発したあとの二時間後となった。
「じゃあ、先行ってるぞ妹子」
二時間後、旻さんが到着した。
それと同時に大変な知らせも飛び込んできた。
「どうしたの調子丸君!?」
いつになく慌てた様子の調子丸君に僕は不安を覚えた。
「大変です!
太子達の乗った船が、嵐に巻き込まれています!」
作品名:ギャグマンガ日和をいい話にしてみた 作家名:蔦野海夜