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ギャグマンガ日和をいい話にしてみた

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もう芭蕉を宿に泊めてから何年経つのだろう。
芭蕉の病状は一向に良くならず、むしろ、少しずつ悪化して行った。

「芭蕉さんはもう長くありません」
医者から言われたこの一言は今でも耳に残る。
大阪に来て長いので、街の名所は大体一人で行けた。
松尾芭蕉の余命を知ってしまったからだろうか、僕はある日の事を思い出した。
僕が、病気になった日のことだ。


「どうしたの曽良君!」

僕は腹に走る激痛に思わず顔を歪め、うずくまった。
ここは山道だ。
町までは遠い。
「とにかく、早く病院に行かないと、
 立てる?」
「はい、平気で・・・ウッ!?」
やはり無理だった。
この腹の虫は相当意地が悪いらしい。
「わかった!
 私が町まで行って医者を呼んでくる」
「何言ってるんですか芭蕉さん。
 町までどのくらいあるか分りませんよ。
 それに、迷子とかになったらどうするんですか?」
「大丈夫だ!それに今は曽良君の命の方が大切だ。
 あ、これ良かったら持ってて」
渡されたのは、食糧にするための握り飯と、マーフィー君だった。
「・・・お握りだけ貰っときます」
「ええっ!?お守り的な物だと思って持っててよ!」
芭蕉はギャーギャーわめいている。
「・・・わかりましたから早く医者を呼んできてください」
「はっ!そうだったとうっ!!!!」
芭蕉はそのまますっ飛んで行った。

(まったく、しょうもない)
僕はこのとき不安があった。
彼は本当に医者を呼んで来てくれるのか?
僕は散々彼を虐めてきた。
このまま置いて行かれてもおかしくはない。
自分が今抱いてるマーフィー君は彼の宝物だ。
僕はこの人形の目と口を縫いつけたことがある。
彼は大泣きした後、僕に水泳対決を申し込み、自ら川に飛び込んだ。
あの時はさすがにかなり心配した。
少なからず自分に責任を感じていた。
後日、彼を助けてくれた娘さんにはお礼の手紙と金を送っておいた。
彼は来ないだろう。
そう信じ込んでいた。自分への報いだ。そう思って。
僕は周りにあるたくさんの草木、落ち葉等を見て俳句を考える事にした。
しばらく考え込んだ後、
自分の傍に在った花を見て呟いた。

「卯の花に兼房見ゆる白毛(しらが)かな」

もう一つ考えた。
一つ目を考えてたら、いつの間にか二時間が経った。
もう一つは、
遠くを見て視界に入ったものを見て考え付いた。

「かさねとは八重撫子の名成べし」

呟いた直後、彼から貰った握り飯を頬ばった


彼は来た。
五時間は経過した後、医者を連れて。
なぜか足に蛇を、頭に鮫を、腕にベアートラップを付けていたが。
「遅いですよ。イテテ」
腹の痛みはまだ退いていなかった。
「芭蕉さん、色んな所に付いてる物は取らなかったんですか?」
「だって曽良君が心配だったんだもん」
僕は呆れた。しかし、微笑んだ。
僕は病気の治療のため、旅の途中で出会い、入門した立花北枝に代わりを頼んだ。
その後、旅の最終目的地、岐阜大垣で再会した。
「曽良君!治ったの!?」
「はい、たちの悪い病気でしたがなんとか」
その後しばらく宴会やら俳席やらで忙しかったが、また旅に出ることにした。
今度は、僕が芭蕉に何かしてやる番だ。