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Fate/Zero ~MAKAISENKI~

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「契約」







光から現れた闇色の騎士は雁夜に問うた。


「お前が俺を召喚したのか?」

雁夜と臓硯は驚いた。
当然だ。理性を奪うバーサーカーのクラスとして召喚したはずのサーヴァントが言語機能を持っているのだから。

「そうだ、俺が…」

そこまで言って雁夜は気絶した。
召喚に魔力を使いすぎたのだろう、それを見て臓硯は雁夜をあざ笑った。

「ふん、気絶するとは情けない。しかし、バーサーカーが理性を持っているとはのぉ、それともイレギュラークラスで召喚されたのか。カカカッ」

興味深げに騎士―――バーサーカーをその野心の篭った目で見る。
その視線に嫌悪感を隠すこともなくバーサーカーは答えた。

「俺はバーサーカーに違いない。いや、そんな事はどうでもいい貴様、この男に何をした」

怒気を込めた声に怯む事なく臓硯は答える。

「カカカッ、その愚か者は間桐を捨てた。にも関わらずのこのこ戻ってきたのだ。地獄の苦しみを与えるのは当然のことであろう?」

バーサーカーは気づいた。この男は自分以外の事などどうでもいいのだと、自らの野望を成就させる為ならどんな犠牲も厭わないのだと。
それにこの男からは人間の気配がしない、もはやバーサーカーが動かない理由は無かった。

「そうか…ならば」

ふと一瞬の間に臓硯の懐に入り込む。
ほんの数刻の間に目前まで迫られた臓硯は驚愕の表情を浮かべたまま…

「死ね」

漆黒の剣に切り伏せられた。


だが…


『カカカッ、サーヴァント風情がわしを殺せたとでも思うたか!』

「何!」

切り伏せたはずの臓硯の言葉が響いた。
ふと臓硯の亡骸のあるはずの場所を見ると、そこには吐き気を催す程の無数の蟲が蠢いていた。

「…ッ!!蟲で自分の姿を象っていたのか!」

『カカカッ!!その通り。しかし、よもや貴様のようなサーヴァントが召喚されるとはの。わしの野望の成就の為には貴様は邪魔じゃ。
何、雁夜には別のサーヴァントを召喚させればよい。ここで死んでもらおうかの!!』

臓硯の言葉と共に無数の蟲がバーサーカ目掛けて飛び掛ってくる。
それに対しバーサーカーは…
何もしなかった。

それを見て臓硯はほくそ笑んだ。
サーヴァントといえど、ここは自分の力を遺憾なく発揮できる工房の中、怖れることは無いと、自分が勝者だとそう思っていた。
だが、それは間違っていた。

『ギイイイアアアアア!!!』

バーサーカーを襲った分身体である蟲から感じられる激痛に臓硯は叫び声をあげた。
本来なら感覚を繋げはしないのだが、この時ばかりはこのバーサーカーを蹂躙する感覚を感じるために繋げていたのだ。
―――馬鹿な、何が起こった。目の前のバーサーカーが何かしたのか。いや、奴は身動ぎ一つしていない。ならば、何が…

『貴様ァ…一体何をしたのじゃ!!』

怒声を上げバーサーカーに問い掛ける。
バーサーカーをそれを鼻で笑い

「何もしてはいない、貴様が勝手に自滅した…それだけだ」

『何じゃと!!』

臓硯は疑問に思う。
―自滅?そんな馬鹿な、自分が自滅する要素など何処にもない。
一体どういうことだと。
それを感じ取ったのかバーサーカーがその答えを口にする。

「俺が纏っているこの鎧はサーヴァントもしくは魔導力を操る者以外が触れれば、即座にその身が裂かれる事になる。迂闊だったな魔術師」

――まずい
臓硯はそう思わずには、いられなかった。
自分は物量に任せ、蟲に攻撃させることしかできない。
このサーヴァントとは自分は相性が悪いと

間桐の魔術の性質は「吸収」相手の血肉を蟲に食わせ己のものとする魔術だ。
だが、そもそも相手に触れることすらできないのでは話にならない。
自分が不利だと感じ取り蟲を囮にし、本体が逃げようとする…

「貴様が本体か」

一瞬にして本体の目の前にバーサーカーが回り込んでいた。
バーサーカーの異常な洞察力は逃げようとしていた1体の蟲を確実に捕らえていたのだ。

『ま、待ってくれ。お前の望むものを与えよう!だから…』

「貴様は有無を言わさず人間を殺してきたのだろう。その報いを…ここで受けろ」

命乞いも空しく、500年生き続けた間桐…いやマキリ・ゾォルケンの命は終わりを告げた。

「さて、この男を運ばなくてはな…」

地下室の蟲を魔導火で粗方焼き払い、倒れている自らのマスター、雁夜を見てそう呟いた。
鎧送還の意を示し、一瞬にして鎧が天に昇るように解かれていく。
重厚そうな鎧の中から出てきたのはまだ20代半ば程の青年だった。
雁夜を担ぎ地下室を出て行こうとしたが…

「桜…ちゃん……」

「何?」

ふと雁夜が呟いた言葉が気になった。
まるで、その子を助けようとしているかのように聞こえたのだ。

「桜ちゃん…だと?その子はどこにいる?」

雁夜は気絶しているので答えるわけがないと思っていたが、僅かな望みを抱き問いかけてみる。
答えは…返ってきた。

「蟲…倉…」

「蟲倉だと!?」

まずい、そう思わずにはいられなかった。
ここにいる蟲の殆どはさっきの男が使役していたに違いない。
そして、その制御下を離れたのだとしたら…!

「クッ!!」

雁夜を1度降ろし自分の直勘に従い走り出す。
奇跡的にその勘は当たった。
まさしく「蟲倉」いうべき場所に辿り着いたのだ。
懐から異様な装飾が施してあるライターを取り出し、火を灯し蟲へかざす。
魔導火に何か嫌な物を感じていたのか蟲が火から離れていく。
それを利用し奥へ進んでいくと……見つけた。
まだ幼い少女が横たわっていた。

「ッ!!」

すぐに駆け寄り様子を見る。
体中傷だらけだがまだ生きていた。
その事に安堵した。
だが、深くはないが、如何せん傷の数が多い。
すぐ、治療しなければならないだろう。
そっと、少女を抱きかかえ蟲倉から脱出した。





―――――――――――――――――――――――――――

「グッ!?」

あれから数時間、雁夜はようやく目を覚ました。
召喚の魔力大量消費の影響か体中が痛い。
誰かが運んだのだろうか、雁夜はベッドに寝ていた。
あれからどうなったのだろうか、臓硯は、桜は。

「目が覚めたか」

「ッ!?」

ふと、声を掛けられた。
目を向けると、黒いコートを羽織った整った顔立ちの見慣れぬ男がベッドの横に腰掛けていた。
当然雁夜は警戒し、声を上げた。

「お前は誰だ!?」

「…?ああ、この姿で会うのは初めてか」

どこか納得した様に頷くと、男は腰を上げた。

「俺はお前が召喚したバーサーカーだ」

「バーサーカーだって!?」

雁夜は驚いた。
あの鎧の男が…この男!?
雁夜はまさか自分と同じぐらいの青年だとは思わなかったのだ。

「待て。なんでバーサーカーなのに喋れるんだ?」

雁夜の疑問は当然だ。
バーサーカーは本来、喋れるはずはないのだから。
作品名:Fate/Zero ~MAKAISENKI~ 作家名:魔戒