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Fate/Zero ~MAKAISENKI~

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「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争においては、ライダーのクラスを得て限界した」

「な、何を考えてやがりますか、この馬鹿はぁ!!」

皆が呆然としている中で、戦車から罵声が聞こえた。
見ると、少年と言っても差し支えないような背格好の男がライダーのマントを掴んでいる。
彼はウェイバー・ベルベット、ライダーのマスターである。
ライダーはそれを鬱陶しいと思ったのか、デコピンでウェイバーを黙らせる。
哀れ、ウェイバー

「うぬらとは聖杯を求めて相争う巡り合わせだが、まずは問うておくことがある。うぬら、一つ我が軍門にくだり聖杯を余に譲る気はないか!」

「さすれば余は貴様らを朋友として遇し、世界を征する快悦を共に!分かち合う所存でおる」

先程のやり取りを気にするでもなく、ライダーはセイバーとランサーを誘った。
世界を征するとは真名を容易く晒すあたり、この男は本気で語っているらしい。
すると、その言葉に呆れたようにランサーが答えた

「その提案には承諾しかねる、俺が聖杯を捧げるのは、今生にて誓いを交わした新たなる君主ただ一人だけ…断じて貴様ではないぞ!ライダー!」

「そもそも、そんな戯言を述べ立てる為に、貴様は私とランサーの勝負を邪魔だてしたというのか、騎士として許しがたい侮辱だ!」

セイバーもランサーに続き睨み付けながらライダーの提案を断った。

「待遇は応相談だが?」

「「くどい!!」」

尚も引き下がらぬライダーにその一言を持って切り捨てた。
ライダーの顔はものすごく残念そうだ。

「重ねて言うならば、私もひとりの王としてブリテン国を預かる身だ。いかな大王といえども、臣下に下るわけには行かぬ!」

「ほう!ブリテンの王とな!こりゃあ、驚いた!なにしおう騎士王がこんな小娘だったとは!」

「その小娘の一太刀を浴びてみるか?征服王!」

小娘扱いされた事に怒ったのか、セイバーがライダーに剣を向ける。
その様子を見たライダーは本当に…本当に残念そうにため息を吐いた。

「はぁ、こりゃあ交渉決裂かぁ、勿体無いなぁ、残念だなぁ」

「ライダー!!」

こちらはかなりの情報を晒したのに、こちらは殆ど得る物がなかった事にウェイバーの悲鳴が倉庫街に響き渡った。

「だいたい、お前は…!!」

『そうかよりによって貴様か』

ライダーに文句を言い続けるウェイバーにランサーのマスター、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトが声を掛けた。
実はウェイバーはケイネスに届けられた召喚に使うはずだった、聖遺物であるイスカンダルのマントの切れ端を盗み出したのである。
ウェイバーは自分の論文を破り捨てたケイネスに憤慨し、これを盗み出してしまったのだ。
そして、プライドの高いケイネスがこれを許すはずもなく…

『いったい、何を血迷って私の聖遺物を盗み出したのかと思えば…まさか、君自らが聖杯戦争に参加する腹だったとはね。ウェイバー・ベルベット君』

『君については私自らが課外授業を受け持ってあげようではないか。魔術師同士が殺しあうという本当の意味、その恐怖と苦痛を余すところなく教えてあげるよ。光栄に思いたまえ』

その声にウェイバーは怯え、頭を抱え込んでしまっている。
それに見かねたのかライダーがウェイバーの背中に手を置き、ケイネスへ叫んだ。

「おう、魔術師よ!察するに貴様は、この坊主に成り代わって余のマスターとなる腹だったらしいな!」

「だとしたら、片腹痛いのぉ。余のマスター足るべき男は、余と共に戦場を馳せる勇者でなければならん!姿を晒す度胸さえない臆病者など、役者不足も甚だしいぞ!ふははははははは!!」

ライダーの言葉にケイネスは苦虫を潰したような顔になり、悔しがっている。

「おい、こら!他にも居るだろうが!闇に紛れて覗き見しておる連中は!」

「どういうことだ、ライダー」

「セイバー、それにランサーよ。うぬらの真っ向切っての競い合い誠に見事であった!あれほどに清澄な剣戟を響かせては、惹かれて出てきた英霊が、よもや余一人と言う事はあるまいて」

セイバーの問いにサムズアップをしながらライダーは答えた。
戦いに対するライダーの賛辞にランサーは嬉しそうだ。

「聖杯に招かれし英霊は、今!ここに集うがいい!なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの侮辱を免れぬものと知れ!」

その声に答えるかのように街燈の上に黄金の光が集った。
その中から姿を現したのは…

「あいつは!」

「アサシンを倒したサーヴァント!」

ケイネスの言うとおりそれは遠坂邸においてアサシンを無数の剣で貫いた黄金のサーヴァントであった。
この場にいるセイバー、ランサー、ライダーとすでに倒されたと思われるアサシンを除けば、残るクラスはアーチャー、バーサーカー、キャスターだ。
アサシンを倒すのに剣を使ってたところを見るにキャスターではない。
理性を失っている様でもないからバーサーカーでもない。
ならば残るはアーチャーという事になる。
悪趣味な金ピカの鎧を身に纏い、不愉快そうに自分以外を見下している。

「俺を差し置いて王を称する不埒者が、一夜に二匹も沸くとはな」

「難癖つけられたところでなあ、イスカンダルたる余は、世に知れ渡る征服王に他ならんのだが」

「たわけ、真の王たる英雄は天上天下に我(オレ)ただ一人。あとは有象無象の雑種に過ぎん」

その憮然とした態度はまさに暴君。
聞く者が聞けばその言葉に怒り出す者もいるだろうに、それを全く気にも留めないらしい。

「そこまで言うなら、まずは名乗りを上げたらどうだ。貴様も王たるものならば、まさか己の威名を憚りはすまい」

どうもライダーはこれに乗じてアーチャーの正体を知ろうという魂胆らしい。

「問いを投げるか?雑種風情が?王たるこの我(オレ)に向けて!?」

その程度の事に怒りの声を上げるあたり、アーチャーは度量がかなり狭いらしい。

「我が拝謁の栄に浴してなお、この面貌を知らぬと申すなら、こんな蒙昧は生かしておく価値すらない!!」

アーチャーの叫びと共に背後の空間が揺らぎ二本の武器が出てくる。
膨大な魔力を放出しているあたり、どちらも宝具なのだろう。

「なるほど、あれでアサシンを殺ったのか」

武器が出てきたのを見て、全員が臨戦体制をとる。
そしてその武器がライダーに向けられ…

ガシャ……ガシャ……

音がした。
金属が擦れ合う鋭い音。
背後から近づいてくるその音に皆が一様に振り返る。
だが、セイバーとランサーの戦いにより街燈は殆ど折れていて、視線の先には暗闇しかない。
徐々に音が近付いて来て、影が見えるようになってきた。

ゾクッ


悪寒が走った。
言いようも知れない本能的な恐怖が湧き上がってくる。



ドクン…



緊張が走る。
動けない。今まで、これほどの悪寒を感じた事があるだろうか。



ドクン…



近付いてくる。
一歩一歩、まるで地獄からの使者の如く



ドクン…
作品名:Fate/Zero ~MAKAISENKI~ 作家名:魔戒