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写真

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守護者のみんなも毎度毎度雲雀さんにはヒヤヒヤしてるけど、骸の事になると更にヒヤヒヤ感が増す。

「いやいや!霧の守護者は骸とクロームの2人ですから!」
「………」
この場にいるみんなも雲雀さんから少し殺気みたいなものを感じ取ったらしい。
「………。」

「…じゃあ…撮り…ま…しょうか?」

「………。」

…どうやらOKらしい。

今日の雲雀さんはよっぽど何か良いことがあったのか、それとも写真撮るのが好きなのかはよく分からないけど、いつもみたいに暴れなかった。

…まぁ、どっちにしろ止める手前が省けて良かったけど…。

「じゃ、まずクロームから撮ろうか。」
俺はみんなを手招きして、写真師さんがいる方へ向かった。


「じゃ、みんな、撮るよ。クローム笑って。」

「は、はい!」
クロームは更に頬を赤くして、無邪気に笑った。

「写真師さん、お願いします。」
俺は優しそうな写真師さんに言った。

「はい。ではいきますよ…。…3、2、1…」









写真師さんはシャッターを押した後、カメラの後ろから顔をのぞかせた。

「雲の守護者さん、嵐の守護者さん、次は笑ってくださいね。」

「え!?2人とも笑ってないの?」

「…何故僕が君の命令聞かなきゃいけないわけ?」
「いや…ちょっと緊張したっつーか…。……あの…すみません…。」
獄寺君はともかく、雲雀さんは次も絶対笑わないと思う。

「…じゃあボス、骸様に変わるね。」

「う…うん。」

クロームがどんどん霧に包まれていく。
…そして、完全に見えなくなった。

「…クフフ…」
…それにしてもこの笑い声、なんとかならないのか?


「お呼びですか?ボンゴレ。」
霧が晴れて来て、輪郭がはっきりしてくる。
…っていうか、もっと心構えする時間が欲しかった。

「や…やあ、久しぶりだね。骸。」

「どうも。……あの男がいるのは気に食わないですが。」
骸は雲雀さんに目だけ向けた。
…出て来ていきなりど真ん中ストレートかよ。

「と、とにかく守護者の集合写真だから!撮るよ!」
俺は喧嘩が始まる前に、急いで骸をカメラの射程範囲内に入れた。

「クロームもここに入るから、今8人で撮ってるって意識してね。」
俺は『8人』で写真が撮りたかったんだ。

「ランボ、お兄さん、笑ってる?」
「おう。」
「はい。」

「山本もいつも通りね。」
「OK。」

「雲雀さん笑って下さい!」
「……。」

「獄寺君肩の力抜いて!」
「はい!」

「骸!カッコつけなくていいから、笑え!」
「クフフ…カッコつけ…?心外ですね。」

「よし、じゃあお願いします。」


































その時、みんながどんな表情をしていたかなんて、一番前にいた俺には分からなかった。
でも、確かにこの時俺達は幸せをかみしめていたと思う。
この時間が、この幸せの流れが、ずっと続くように…そう願って、写真を撮ったんだ。














***












俺はいつものように雲雀さんと修行するため、トレーニングルームに来た。
ミルフィオーレの日本支部に乗り込む計画はもう明日に迫っている。
俺はトレーニングルームに入ったんだけど、そこには珍しく俺より先に雲雀さんがいた。

「……。」
雲雀さんは俺が入って来たのに気が付いていないらしい。

「雲雀さん」
俺は静かに名前を呼んだ。

「!」
雲雀さんはピクッと動いて、ゆっくり振り返える。
「…ど…どうも…。」
俺は雲雀さんが何か手に持っているのに気が付いた。
…あれは…写真?
集合写真みたいだったけど、よく見えない。
…群れるのが嫌いな雲雀さんが、何でそんな写真を持ってるのかな…。

「さぁ…始めようか。」
雲雀さんはその写真をスーツの裏ポケットにしまった。

「…は、はい…。」
俺は少し気になったけど、そんなことを聞く暇もなく、雲雀さんはトンファーを構えていた。






***






「はぁ…疲れた…」
やっと雲雀さんとの修行が終わって、俺は広間に入った。

<シュー…>

扉がスゥっと閉まる。



「あ…」

「!…おう、沢田。」
お兄さんだ。

…あれ…?

お兄さんも何か写真を持っている。
雲雀さんのと同じ、集合写真みたいだった。
…ただ、雲雀さんと同じ写真かは分からなかったけど。

「どうしたんですか?こんな所で。」

「あぁ、少し感慨にふけっていた所…とでも言っておくかな。」
お兄さんはサッと写真をポケットにしまう。

「…?あの…その写真…何ですか?」
俺は聞いていい事なのか分からなかったけど、やっぱり気になった。

「あぁ、さっきのか。これは俺達の…宝物、だな。」
お兄さんは写真を入れたポケットを見つめた。

「俺達の…宝物?写真が?」
俺にはよく分からなかった。俺達って誰だろう?

「いや、宝物というのは写真自体の事ではない。」

「どういう意味ですか?」

「…この写真に写っている時間…だな。俺達はその宝物を写真、という形に残したんだ。」

「…はあ。」
俺の頭が悪いからなんだと思うけど、お兄さんの説明ではよく意味が分からなかった。

「…では俺は少し部屋で休むとするか。」
お兄さんはゆっくり立ち上がった。

「え…」

「じゃあな、沢田。お前も明日に備えてもう体をあまり動かさないことだ。」
そう言って、お兄さんは扉に向かう。


「ちょ…ちょっと待って下さい!」
俺は思わず呼び止めてしまった。

「…なんだ?」

「あの…雲雀さんもそれに似た写真持ってたんです…。同じ写真なんですか?」

本当はそんな事より、その写真の方が見たかった。
それにまだ意味もよく分からない。

…でも、何となくだけど、中身までは聞いちゃいけないような気がした。

「あぁ…雲雀も持っていたか。……きっとそれも俺のと同じやつだ。」


「そうなんですか…」

何で、お兄さんと雲雀さんが同じ写真を持っているんだろう?

…俺達…の中に雲雀さんも入ってるのか?

「聞きたいことはそれだけか?」

「あ…はい!……明日、頑張りましょうね。」
「おう。じゃあな。」



お兄さんは部屋から出て行った。








***








「………。」
俺は部屋に戻るために、廊下を歩いていた。

…あの写真、何が写ってるんだろう?
…時間って、何だろう?

「何で…かな。」

何でだろう。
…何故か、あの写真が気になった。
普通ならここまで気にはならないはずだ。


「?……あれ…この部屋…」
俺はある扉の前で足を止めた。

この廊下は広間から部屋に行く時に時々通る。
いつもはなんとも思っていなかったのに、何故か今この扉が目に付いた。

でも、何で俺がただの扉の前で止まったのかというと、その扉だけ他の扉と色が違ったからだ。
茶色い、木製の扉。


「………。」



「ツナ」
「………。」
「おいツナ」
「………。」

「ボーっと突っ立ってんじゃねぇ。ダメツナ!」

「え」

…俺がその声に気付いた時にはもう遅かった。



「いっだぁぁ!!」
俺の背中に激痛が走る。
作品名:写真 作家名:青華