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Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~

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「まぁ…話はこんくらいかしらね。私も早速G元素に関して取り掛からないといけないから。あ、そうそう。今貴方たち二人が来ている服は後でこっちに持ってきてね。解析して複製出来るならしないといけないだろうし。後貴方たちの機体について言っておきたい事があったら社に言いなさい。それじゃあ」

 早口にそう言い残すと香月は奥の部屋に入って言ってしまう。

 何時もどおりにその場に残された俺達二人と社。

「それじゃあ部屋の方に案内します」

 既に案内人と化している社の言葉に素直に頷き、後を付いていく。

 …ACに関して言っておきたい構造か。ジェネレーターやブースターの事も言っておいた方がいいだろう。燃費の方向性や出力の問題。機動性を重視したスタイルなど。

 背後、側面、そしてメイン。この三つのブースターの出力関係だけは言っておいた方がいいかもしれない。否言っておかなければならないだろう。

 香月は社に言えと言ったが、これに関しては紙に記述して詳細をしっかりと記しておく方がいいだろう。

 そして何より重要な構造、兵装。アサルトアーマー。コジマ粒子がないこの世界ではどうなるか分からないが、この仕組みに関しても記述しておこう。

 …結局社に言える事は何もないな。

「私物覚えはいい方です」

「え?」

 そう振り返りながら呟いた社。その場に一旦立ち止まると俺達二人の方をゆっくりと振り向いた。

「お前…人の心が読めるのか?」

 今のタイミング。そうとしか思えない。俺達二人からしたら少し馬鹿馬鹿しい話ではあるが、俺達の知らない世界なんだ。有り得ない話じゃないだろう。

「はい」

 そして案の定社から返ってきた返事は肯定。社は今人の心を読むことが出来ると認めた。

 …と行ったところで俺にとってはどうでもいい話だが。

「気持ち悪いとは思わないんですか?」

 今のも俺の心を読み取ったのだろうか。そう不安げな赴きでそう訪ねてきた。

「別に何とも思わないさ。やましい事を考えている訳じゃないんだからな。それに人に監視されてるのは慣れてる事だ」

「私もなんとも思わないですよ。霞がその能力を悪用していない事は分かりますから」

 俺達二人の言葉に社は何も言い返そうとはせずに、只俺達の部屋に向けているその歩みを止めずにいる。

 最初は俺達の返答が気に食わなかったのかと思ったのだが、髪の合間から見える小さな耳が赤く染まっているに気付き、照れているんだろうと考えた。

 シルビアもそれに気付いたようで互いに内を言うわけでもなく、自然と顔を見合わせるとお互いに小さく笑みを零した。

 人の心を読めると言う事がどれ程苦しいものなのかは俺には実感が湧かない。それは当然の事だが、俺達は心が読める以前に人の醜い部分は嫌と言う程見てきている。不幸自慢をする訳ではないが、あんな醜い人の心を社は読み取ってしまっていると言う事なのだろう。

 そんな環境の中で自分を見失わずにいる、と言う事は素直に凄い事だと思う。

「私は凄くなんてありません」

 また心を読んだのだろう。呟くようにそう言った。

「社が自分をどう思っているかは分からないが、俺はお前の事を褒めたんだ。そこだけは素直に受け取って欲しいんだがな」

「…はい」

 社との短いやり取りが終わった所で、シルビアが俺の方をじっと睨んでいる…事に気がついた。睨んでるのかは分からないが、少しだけ不機嫌なのは分かった。

「どうした?」

「ライナは小さい子供が好きなんですか?」

「…お前は何を言い出すんだ」

 シルビアの言葉には呆れるしかない。今の場面を見てどう捉えれば子供が好きと言う事になるのだろうか。さらに今シルビアが言った子供が好き、と言うのは世間一般で言う子供好きと言う意味ではないだろう。シルビアの瞳がそう訴えている。

 確かに子供は好きか?と聞かれたら頷くだろう。しかしそれは…何と言ったらいいのか分からないが、そう言う対象ではないことを理解してもらいたい。

「いえ…何となく思っただけです」

 まるで諦めたかのようにため息を零すシルビア。此奴は俺の事をなんだと思っているのだろうか。

「部屋につきましたよ」

 俺達の会話は聞こえていた筈なのだが、まるで聞こえていなかったと言わんばかりに此方に話しかける社。

「有難う」

「いえ、それでは今来ている服を脱いで中にある服に着替えておいて下さい。ACに関する事で私に言いたい事はありますか?」

「いや、話したら長くなるだろうから紙の方に記述して後で持っていく事にした」

「分かりました。それでは」

 来た道を戻っていく社の後ろ姿を少しだけ眺めてから自分の部屋に入っていく。今回はシルビアも自分の部屋に入っていった。

 部屋の中身は軍艦の中と殆ど一緒だ。

 違う部分と言えば先程社の言った変わりの着衣がある、と言う事ぐらいだろう。

 今来ているのはAC専用のスーツだからな。普段着としてはとてもではないが着れない。流石に見えが悪いのだ。

 部屋を見渡してノートと筆記用具がある事を確認してから、ハンガーに掛けてある軍服に手を伸ばす。大きさはいつの間に測ったのだろうか、見た目は俺の体のサイズと一致している。

 軍艦であったときに俺の見た目だけでサイズを図っていたのだろうか。

 …まぁ、そんな事はどうでもいい話だ。着れるのならば何も問題はない。

 手にもった軍服に異常がないことを確認してから今来ているスーツを脱ぎ、裾に腕を通す。見た目通りサイズの誤差はさほどなく、中々着心地がよい。

 来ていたスーツを綺麗に畳み、これからどうするかを思案する。

 今からACの構造に関する記述を行なってもよいのだが、横浜基地に来てからまだ昼食を食べていない。さらには朝食も食べていない。何が言いたいのかと言えば腹が減っているんだ。

 幸い社や香月といるときに音がなることはなかったが…それは時間の問題だろう。

「まずは飯、だな」

 とは口に出して言ったものの…俺は飯を食べる場所を知らない。人に聞くにも社も何処かに行ってしまったし、香月は今俺達の機体の事で忙しいだろう。シルビアに聞くとしてもシルビアが場所を知るわけがない。

 ヴァルキリー中隊の皆に聞くのが一番早いのかもしれないが…皆の部屋も分からなければ何処にいるかなんて検討もつかない。

 どうしようか…。

 と、真剣に飯について考えている中、誰かが俺の部屋の前に来たらしく、コンコンと扉を叩く音が聞こえた。

「誰だ?」

 俺の部屋を知っていると言う事は…社か?

 また何か言い忘れて戻ってきたとか。あいつしっかりしているのか何処か抜けているのか分からないからな。

「宗像だよ。開けてもらえるか?」

 俺の予想は外れ、逆に想定していなかった人物が俺の部屋を訪れた。とは言え此方としても都合がいい。宗像ならば飯を食う場所を知っているだろう。

「ちょっとまってくれ」

 ベッドから腰を上げ扉の前まで行き扉を開く。

「中々似合ってるじゃないか」
作品名:Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~ 作家名:灰音