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Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~

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Episode6.甲19号目標制圧作戦



「今回ヴァルキリー中隊に任せられる作戦はライナとシルビアが乗る新型機の護衛だ」

 場所はミーティングルーム。

 前回香月とACについて話し合い、そして凄之皇の構造がACに流用出来ると判断されたあの日から一週間の時が流れた。

 俺とシルビアは社にBETAと言う存在の事を学び、そして世界の状況を知った。

 月面からやってきたBETAと言う地球外生命体。人間を生命体として捉えていないBETAの存在。

 その力がいかに巨大なものか、その存在にいったい何人の人間が殺されてきたのか、その全ての歴史を社から学んできた。

 そして実感出来た俺達の役割の重要性、俺達の持っている可能性。ACがもたらす世界の希望。

 その全てをやっと確かな実感と共に感じる事が出来た。

「皆も知っていると思うけど、あ号標的を撃破した今でもBETAはより性能の高い機械を狙ってくる。故に今回製造された二つの新型機をBETAは狙ってくるだろう」

 宗像の言っている通り、俺達の新型機は遂に完成された。

 まだその姿を見てはいないが、今は細かな調整を行なっているとの事。

 この作戦は今から4日後に発動される為に搭乗訓練は出来るかもしれないが…香月曰く、もしかしたら作戦当日に初めての搭乗になるかもしれない。

 機体そのものは完成されていても、まだ搭乗出来る訳ではない、と言うことだ。

 そのことに対しては強い不安を持ってしまうが…機体の操作性は元となったACと変わっていないと言っていたので、少しだけ安心出来る。

 只ACの起動の際に行うML型抗重力機構の操作が難しいと言っていた。

 その操作シミュレーションはあと少しで出来ると言っていたので、完成出来次第そちらの訓練を行うつもりだ。

「そして今回は私達ヴァルキリー中隊単独での甲19号目標制圧が目標とされている」

 宗像の言葉に場の雰囲気は一気に変わる。

 それは当然だろう。ここにいる14人だけで20万ものBETAがいる甲19号目標を制圧しろと言われているのだから。

「今回標的とされる甲19号目標はフェイズ3まで進行が進んでいる。BETAの予測数はおよそ20万だ」

 しかし、何も20万のBETAを相手にする必要はない。

 HIVEの制圧。それはBETAの殲滅を示しているのではなく、HIVEの一番奥に存在する頭脳級、と呼ばれる存在を確保する事だ。

 最も…俺達の機体を動かす為にはG元素と呼ばれるエネルギーが必要でもあり、そのエネルギーを確保するためにはHIVE内のBETAをある程度殲滅しなければいけないのだが。

 そのある程度も全体の数を見れば小さなものだが、それはそれは外の部隊の誘導がいかに成功するかによって変わってくる。

 外の部隊の誘導が成功すれば内部に存在するBETAの数は一気に減ってくるだろう。

「外の部隊が誘導してくれている間に私達の部隊はHIVE内の潜入。シミュレーターによって出された最短ルートを直進する。続いて頭脳級を確保した所で外に待機している部隊も侵入。そして頭脳級から外に繋がる道を確保。その間私達は頭脳級の守備に回る事になる。ML機関が作動している間はHIVE内に存在するBETAは恐らく全てこちらに向かってくる事になる。そこが正念場になるだろう。そして外の部隊が道を確保すれば私達の勝利だ」

 道が確保出来るまでの間の頭脳級の守備。口で言えば簡単だが、その内容は悲惨なものだ。

 頭脳級が存在するホールには退路と呼べる場所はなく、四方八方からBETAが次々と湧き出してくる。

 それは宗像の言うとおり俺とシルビアのACに積まれたML機関が原因となっている。

「作戦実行は四日後。それまでに私達はHIVE突入を想定したシミュレーションを重複して行なっていく。いいな?」

「「「了解」」」

 皆も最初はHIVEに単独突入と言う事に酷く戸惑っていたが、俺達の新型、ひいては香月が制作した新型と聞いて決意が決まったのであろう。

 香月が制作した凄之皇は結果を残している。HIVE地上に高くそびえるモニュメントを一撃で粉砕し、そしてオリジナルHIVEをも攻略した。

 そんな結果を残した凄之皇を制作した人物、香月が再び制作した新型機と言われればそれに関わっていない人間は安心出来るだろう。

「それでは解散。シミュレーション訓練は明日から開始する」

 解散の号令がかかったと同時にミーティングルームを覆っていた重苦しい空気はなくなり、緊張していた皆の表情もほぐれた。

 俺にはそんな皆の臨機応変な態度が一番凄いと思う。俺が知っている軍人ならば、今回のような重役を任された場合、大抵の軍人は慌てる。

 だが、このヴァルキリー中隊の皆は慌てるどころか常に冷静でいる。充分尊敬に値する素晴らしさだと俺は思う。

「ライナ、お前達には期待してるからな」

 先程まで壇上に上がっていた宗像が俺の側まで寄ってくる。

 宗像が俺とシルビアの方に寄ってきた事によって他の皆も俺とシルビアを囲むように集まってきた。

 それぞれが宗像と同じような言葉を俺達に投げかけてから部屋を出ていく。

 皆が部屋から出ていった後、皆とすれ違う形で社が部屋の中に入ってき。

「お疲れ様です」

「あぁ、有難う。それでどうしたんだ?」

 社の勉強会は既に終わっているはず。となれば香月が俺達の事を読んでいるのかもしれない。

「副司令が二人を呼んでいます。ついてきてください」

 案の定香月が読んでいるとの事なので、部屋を出ていった社の後に俺達もついていく。

 香月の話と言うのはML機関の操作に関しての事だろう。そして俺達の新型機についての説明がある筈。

 …。

 やるしかない。俺達がやらなければ4日後の作戦は恐らく失敗するであろう。

 4日後の作戦成功の鍵となるのは間違いなく俺とシルビアの手に委ねられている。そしてヴァルキリー中隊の皆の命も実質俺とシルビアが握っているようなもの。

 その事柄がより俺の決意を強く固めてくれる。

「中で副司令が待っています」

「?社は入らないのか?」

「私はシミュレーションの調整をしないといけないんです」

 社から知識を学んでいる時に分かったことだが、結構、嫌、かなり頭が言いことが判明した。

 香月の側に何時もいる、と言う事も強いかもしれないが、元々頭はいいほうなのだろう。

「そうか、案内有難うな」

「いえ、それじゃあ」

 来た道を引き返し、ハンガーの方に向かう社を見届けてから香月の部屋の中に入る。

「あら、やっと来たのね。まちくたびれちゃったわよ」

 こっちがミーティングを行なっていると分かっているだろうに。

「ま、冗談は置いといて、早速本題に入るけど、貴方たちには新型機の武装の確認をしておいて欲しくてね」

 武装。つまりは俺達がこの世界に来た際に使用した兵器のことだ。

 あの時つかっていた武装はライフル一丁にマシンガン一丁。そして両腕側面に装備された月光が二つ。背面に装備された多弾倉ミサイル二つ。
作品名:Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~ 作家名:灰音