風香の七日間戦争
風香と小岩井は一旦みんなのところに戻った。
そして風香が恵那とみうらを預り、小岩井とジャンボがよつばを探す。
風香は落ち込んでいる。
「お姉ちゃん……」
「私のせいで……よつばちゃんがいなくなっちゃった」
「風香ねーちゃん、よつばはすぐ帰ってくるよ」
しかし風香はよつばが心配でたまらなかった。
本当にこのまま戻ってこなかったら。
風香は最悪の事態を考え、体が震えてくるのであった。
そのころ小岩井とジャンボはよつばを探し続けていたが、まだ見つからずにいた。
かなり離れた場所まで来ているが、何の手掛かりもなかった。
「まずいな。そろそろ夕方だ」
「こういうときGPSでもついてりゃなあ」
二人はこれ以上先を探すのをあきらめ、みんなのところに戻りつつよつばを探した。
「暗くなる前に連絡入れた方がいいかもしれないな。車に携帯忘れたんで取ってくるわ」
「ああ、俺も行く」
駐車場に行くと、隅の方でよつばが倒れていた。
小岩井が駆けよる。
「よつば! おい、よつば!」
「コイ! どうした!」
「……寝てる」
「なんじゃそりゃ」
小岩井がよつばを背負い、二人はみんなのところへ戻った。
「風香ちゃん、よつば見つかったよ。駐車場で寝てた」
「よつばちゃん……よかった……」
安心して気が緩んだのか、風香は小岩井の胸で泣き出した。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
一行はジャンボの車で帰って行った。
「そういえば風香お姉ちゃん、よつばちゃんのお父さんに抱きついて泣いてるから、びっくりしちゃった」
「風香ねーちゃん、積極的だよな」
「こ、こら! 二人とも!」
しかし顔が真っ赤なのであまり迫力がない。
「ふーかなんでなく? よつばはたのしかったぞ」
「おまえが黙ってどっか行ったから、風香ちゃんは泣いて心配したんだ。もう一人で勝手にどっか行くんじゃないぞ!」
「うん、わかった!」
「まったく返事だけはいいな」
先にみうらを送り届け、小岩井・綾瀬家に到着した。
「さよならー」
恵那は綾瀬家へ帰って行く。
「たっだいまー」
よつばたちも家に入る。
「じゃあ、俺はここで帰るわ」
「あ、ジャンボさんお茶でも」
「風香ちゃん、だいぶ板についてきたねぇ。でも明日仕事だから帰るよ。おやすみ」
「ジャンボおやすみー」
「おやすみなさーい」
そしてジャンボは小岩井を呼び止める。
「おい、コイ。風香ちゃん、ありゃマジにおまえのことを」
「ああ」
「ああじゃねえだろ。どうするつもりだ」
「どうするも何も答えは決まってる」
「あきらめさせるなら、それはそれでやり方がいくらでもあるだろ。このままだと風香ちゃんがかわいそうじゃねえか」
「考えとくよ」
「ああ、それじゃな」
ジャンボは帰って行った。
「さて、晩飯の支度何もしてないし、出前でも取ろう」
「ひのでやのうどん!」
「そうするか。風香ちゃんもうどんでいい?」
「うん、食べてみたい」
しばらくして出前が来たので、うどんを食べながら三人で話す。
「ここのうどんおいしいですね」
「うん、日の出屋は結構有名だね」
「よつばもうどんすきー」
食べ終わり、小岩井とよつばの後に風香は風呂に入った。
日焼けで首筋や腕、脚がヒリヒリする。
日焼け止めは塗ったものの、長時間ひなたにいたので焼けてしまったようだ。
風呂から出ると、よつばは疲れたのか既に布団で寝ていた。
その横で小岩井も寝てしまっている。
風香は小岩井に毛布をかけてやり、自分の部屋に上がった。
窓を開けベランダに出て風に当たり、ほてった体を冷ます。
「今日はいろいろあったなぁ。でもよつばちゃんが見つかってほんとによかった」
風香は今日の出来事を思い出しながら、星空を眺めていた。