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少年純情物語中沢くん

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「中沢くん、今日も行くの?」
「うん」
そうだ、デートに誘うんだ。一人で行かせてもらおう。
「あの……」
「悪いけど、今日はさやかちゃんと二人だけにしてもらえないかな?」
「え? いいけど」
「ありがとう。行こう、さやかちゃん」
まどかとさやかは二人揃って教室を出ていった。
大事な話でもあるのかな? まあいい、放課後会いにいくことにしよう。

放課後。マミはいつも通りの笑顔で迎えてくれる。
何度見ても最高の笑顔だ。
しかし、今回は大事な話をしに来たんだ。見とれている場合じゃない。
「あの先輩、土日の予定、空いていますか?」
「うーん……土曜日なら空いてるわよ」
「でしたら……先輩、俺と遊びに行きませんか?」
「えっ?」
「先輩、いつも大変なお仕事しているから、せめて息抜きにと思って……」
「うふふ。いいわよ。ありがとう中沢さん」
「い、いいんですか? 俺なんかで……」
いきなり承諾してくれたことに、慌てふためく。
「もちろんよ。さて、どこに行きましょうか」
マミの笑顔に見とれ、だんだん緊張する中沢。
「ゆ……遊園地なんかどうです? ほら、定番というか……」
「うーん……」
しばらく考えるマミ。ちょっと普通すぎたかな?
でもすぐに、「いいわ。それで決まりね」と返してくれた。
「ありがとうございます、先輩!」
つ、ついに、憧れの先輩とデートできるんだ……!
「ついでに、トランプやりませんか?」
「でも、二人だけよ」
「スピードなんかどうです?」
「いいわね。始めましょう」
中沢黒、マミ赤で始まったゲーム。
中沢が一枚札を場に乗せると、マミは二枚三枚とどんどん乗せていく。
残り札の差はどんどん広がり、マミは圧勝した。
「ははは。すごいですね」
驚きというより、その鮮やかな手つきにすっかり見とれてしまった中沢であった。
「ありがとうございました。それではまた明日」
「楽しみにしてるわ」
一礼して、中沢は教室を出
(ついにデートが実現したんだ……やっほーい!)
帰宅中、頭の中はデートでいっぱいだった。

(ぷはー……先輩最高だー……)
土曜日。目が覚めた。枕元の時計を見る。八時三十分。
「や……やべぇ!」
慌ててパジャマを脱ぎ捨て、タンスを開ける。
「うわー、何着てくか決めてねぇ!」
しかしすぐ冷静になる。
「そうだ、先輩は優しい人だ。失礼ないよう普段通りでよし!」
いつもの私服を着て、急ぎ階段を降りる。
「母ちゃん、おはよう!」
挨拶済ませ、テーブルに用意された朝食を口へ放り込む。
「むぐぐ……」
朝食を口に含んだままズボンのポケットをチェック。
「ふぁんくぁつよしゅ、とぅえっしゅよしゅ、すぁぃふよしゅ……」
カバンを肩に掛け玄関に向かう。
腕時計を見た。八時四十五分。
(あと十五分、超ギリギリだ!)
口に含んだ朝食を胃袋に入れ、表に飛び出す。
「じゃ、行ってきます!」
「しっかりね。気をつけなさいよ……」
息子を見送る母親の表情は、明らかに不安そのものだった。

自転車に飛び乗り、駅前へ走る。交差点直前で右を見ると、トラックが急接近!
ププー!
クラクションを鳴らされ、慌てて急ブレーキ。無言で走り去るトラック。
「はぁ……」
すぐ気を取り直し、ダッシュ再開。
大通りをひたすら走り、やっと駅前に着いた。
時間は……九時ギリギリ。何とか間に合ったか……
先輩を探そうと、周りを見回す。しかし見当たらない。
「あれ、まだ来てないのかな?」
しばらく待つことにした。

五分くらい経って、マミがこちらに走ってきた。
「ごめんなさい。服、選ぶのに時間かかっちゃって……」
「せ、先輩……?」
その服装は、周囲の若い女性と比べてもかなり目立っていた。
レースがびっしりの、黄色いドレス。
ひらひらしたミニスカートからパニエを覗かせ、
白い靴下は膝上まで伸びていた。
が、何よりまっ先に目がいったのは……胸元!
(す、すげえ……)
もともとボリュームたっぷりの胸が、普段より強調されている。
(い、いかんジロジロ見ては……)
何とか冷静になろうとするが、どうしても目移りしてしまうのだった。
「どうしたの中沢さん? この服、やっぱり変?」
恥ずかしがりながら聞いてくるマミ。
「そ、そんなことないですよ。可愛くてとてもよく似合ってます!」
「あらそう。よかったわ」
普段より、余計可愛く見えるマミ。ああ、ついにこの日がやってきたのか……
二人並んで、駅のホームへ向かう。

やがて電車が来た。長椅子に二人並んで座る。
走行中、中沢はマミの横顔に目を配る。
(先輩の顔、改めて見ると、本当にキレイだな……)
そんなこと考えながら、正面を向く。
その時、向かいの窓に映った自分の顔見て愕然とした。
(しまった! ヘアセット忘れた!)
酷いとまでは言わなくても、細かな寝癖がたくさん見える。
(ああ、こんな顔で……)
しばらく落ち込んでいたが、今までのマミを思い出して立ち直る。
(先輩、全然気にしてないみたいだったな……仕方ない。このまま行こう)
やがて駅を降り、案内板の通りに遊園地へ向かう。

入場料、中高生千五百円。ここはぜひ先輩におごってあげようと……思ったところだった。
財布を見る。残額三千円。これじゃ帰りの電車も食事もできない。
中沢とマミは、それぞれ一人分ずつ払って入場した。
「先輩、どこから行きましょうか」
「ミラーハウスはどうかしら。割りと近くよ」
「いいねえ」
それから十五分ほど並んで入った。
「うわ、先輩がいっぱい!」
「本当ね」
「あ、チェックポイントありました。」
二人はポイントに向かい、置いてあったスタンプを台紙に押す。
「まずは一つと」
「この調子で行きましょう」
意気込んで歩き出したはよいが、三十分後……
「あ、あれ? ここさっきのとこじゃね?」
「どうしましょう……」
「くそ、せっかくスタンプ三つも押したのに……」
「困ってても仕方ありませんわ。頑張りましょ、中沢さん」
マミに励まされ歩き出し、さらに三十分してやっと脱出成功。
「やっと出られましたね」
「思ったより時間かかったわ」
係員にスタンプ台紙を渡し、景品置き場へ。
景品は、遊園地マスコットキャラのストラップだった。
中沢はウサギの男の子のストラップを、
マミはウサギの女の子のストラップをそれぞれ受け取った。

「次どこ行きましょうか?」
「えーと……」
中沢が周囲を見渡す。少ない行列の入り口が見えた。
「メリーゴーランドどうです? 人少ないからすぐ入れますよ」
「ええ。それで決まりね」
行列のほとんどは親子連れの小さな子供ばかりだったが、
中沢もマミもそんなことはどうでもよかった。
十分並んで馬に乗る二人。
ファンタジックな音楽が流れ、馬が回りだす。
中沢は、ちょうど前に乗ってるマミをずっと眺めていた。
白馬に乗った黄色いドレスの少女。
その可憐な姿に中沢は釘付けになっていた。
(先輩……マジ可愛い……似合いすぎだろ……)
カシャ!
中沢は、つい後ろ姿をカメラに収めてしまった。
やがて音楽が止み、馬も動きを止める。
「先輩、すっごく可愛かったですよ!」
「ありがとう。私も楽しかったわ」
「そろそろお昼にしませんか?」
「ええ。お腹も空いたわね」
作品名:少年純情物語中沢くん 作家名:おがぽん