夜恋病棟・Ⅲ
「で、上手く行きすぎて問題が発生したって、どういう事だ?」
朝食を食べ終え、食器を洗え終わったアーサーが洗濯物を干していた耀に質問した。
耀は気まずそうに目を伏せた。
「…実は、家庭の事情で我とそいつは傍に居てはいけないあるよ。」
「…。」
「しかし、我はそいつが好きある。離れたくないある。」
耀の話を聞きながら、何故か苛々が募ってきた。
何故だ。
耀の悩みを聞いて、なんとかしなければならないのに。
凄く耳を塞ぎたくなる。
聞きたくない。
嫌だ、耀が他の誰かと仲良くやっているのが…嫌だ!!
「アーサー?」
「え?」
「具合悪いあるか?険しい顔して…。」
「いや、違う、これはだな…。」
嫉妬だ。
嫉妬している。
そいつに俺は嫉妬している。
馬鹿げてる。
俺が幸せになろうとしてどうするのだ。
俺の使命は耀を幸せにする事。
其を成し遂げなければ。
無理矢理笑顔を作る。
「平気だ、続けてくれ。」
「…我は、そいつを守りたいある…アーサー。」
「うん?何だ?」
「え、あ、いや、何でもないある…。」
紅茶を淹れて欲しいと言われ、しぶしぶアーサーは台所へと引っ込んだ。
耀は安息を吐く。
本人に伝えてどうするつもりなのだ。
菊からアーサーを守れるのは我しか居ない。
そして、我を守れるのも我しか居ないのだ。
もしアーサーにばれてしまったらどうしよう。
その時はその時か。
耀は青い空を見上げた。