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夜恋病棟・END

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祭が終わり、控え室に戻ったアーサーだったがフランシスが見当たらない。
机に置き手紙があり、読んでみるとどうやら仕事で呼び出されたらしい。
衣装の片付けはしっかりね、と最後に書かれていた。
そんなことぐらい分かってらぁ、と独り言を吐き、マントと衣装を脱いだ。
アーサーの羽はそれは立派な物で先端が足元に付きそうだ。
頭の輪も一段と輝き、魔力の強さも表している。

ここまで来たのだ。
やっと、ここまで。
随分な時間と努力がいった。
だから、何としても失敗は許されないのだ。


普段着に着替えると突然アーサーの脳内から声が響いた。

――アーサー?


「…耀っ!!」

突然の声、それは耀からだった。
声を潜めて耀の名を呼ぶが、その声は届かない。
魔力を消費して遠くに居る相手と話をする、テレパシーみたいなもので会話しないと。

アーサーも意識を集中し、魔力を高めて声の主に返事をする。



―耀か?

―よかった、通じたあるな。

―時間も体力も持たない、用件は何だ?

―我は、禁じられた法でアーサーと一緒になりたいある。今でも、アーサーを愛しているある。

―…俺もだ。

―アーサーは、その法を犯していいあるか?大天使にまでなって。

―耀と一つになるために、大天使になったんだ。

―そう…だったあるか。

―俺は本日の夜、やる。

―分かった、我も夜に。

―でも、わかってるか?

―法を破った後あるか?承知の上ある。

―じゃあ、お互い上手く行くように。

―…また、後で。




ふ、と耀の声が止むと同時に後ろからアーサー?と名を呼ばれた。
振り返ると、そこにはフランシスが扉に手を付きこちらを見ていた。

「何黙って項垂れてたの。」
「いやぁ、祭で疲れて…。」

煙草、と箱を取ったアーサーの手が震えていたのをフランシスは見逃さなかった。







「誰と話していたのですか?」

いきなり背後から声を掛けられて肩が飛び上がった。
ゆっくりと振り返る。

「き、菊…」
「随分魔力を消費しましたね、瞳孔が開いてますよ。」

魔力を消費すると自然と瞳孔が開いてしまうのは悪魔の特徴。
これは隠しようがない。
ハーデス城の人影が少ない場所に来たのに、この神は。

「ストーカーある。」

それだけ残すと耀は菊を置いて部屋を出ていった。

「…耀さんは渡しませんよ?」

誰もいない暗い部屋で独り、菊は笑った。

作品名:夜恋病棟・END 作家名:菊 光耀