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Fate/10 Bravery

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森宮郊外の森を歩く二人の男の姿が見える。一人はブリーフケースを持ち歩く典型的な現代の青年のような格好をしているが、目付きは殺気に満ちており、妙な行動をすれば殺されてしまいそうなほどの威圧感を放っている。

対して、その隣にいる方は青年に輪をかけて奇妙な出で立ちであり、戦国武将が着るような鎧に西洋のマントを羽織り、肩にマスケット銃を携えている。

戦国武将の方が口を開き、青年の方に話しかける。

「…おい小僧。貴様の願いはよくわかった。余にももう目に入れても痛くないほど美しくて可愛い妹はいたから気持ちはよくわかるが…」

「すまないが、気持ちを分かってくれるなら黙っててくれアーチャー。戦闘をおおっぴらにできるのは、夜の間のみなんだ。」

「しかし、のう…はぁ。」

戦国武将…アーチャーが頭を抱えてため息をつく。生前優れた指揮官として名を馳せた彼は、この青年の無謀な軽率さというのか、そういうのが心配でたまらない。行動力は評価できるところであるのだが。

「なぁ小僧。気づいておろうな。この森…何か居るぞ?」

「ああ。これは魔術師の雰囲気だな。だからお前を実体化させていたんだ。」

しかし、青年…天城も、完全に策もなく、この森の中を、殺気まで出して闊歩していたわけではない。魔術を使った占い(正確さと方法で言うならばサーチというべきか)により、敵のマスターがいることを確認し、尚且つ殺気を全開にして歩くことにより、相手をおびき出そうと考えたのだ。

万が一敵が出てきても、こちらのサーヴァントは曲がりなりにも日本史を少しでも学んだものなら誰もが知っている大英雄、織田信長である。しかもアーチャーのクラスとして現界しているので、殲滅力は抜群だ。

いざとなれば、アーチャーの火力で押し切る。しかし、これから起きる戦闘において、それは甘いと言わざるを得なかった。


Archer VS ???

「来るぞ!」

突然、二人の周りの雰囲気が一変した。アーチャーはマスケットを構え、天城もブリーフケースを置き、構えを取る。サーヴァント戦となればアーチャーに全てを任せるしかないが、サポート、そしてマスターの沈黙ならばできる。天城の魔術礼装は、ことにそういうのに向いているのだ。

しかし、敵マスターもサーヴァントも姿を見せることはなく、刻一刻と時間はすぎる。天城が一瞬だけ警戒を解いたその時!

「グラォゥ!!」

「!?」

360度全方向から、狼のような黒い獣が飛びかかってきた!

「使い魔か!?」

指先からレーザーのように光を放ち、黒い獣を次々と撃墜し、アーチャーはマスケットを用いて、飛び込んでくる獣を迎撃し、ミンチに仕立てる。

死体が30を超え、夜の影に溶けた頃、次に現れたのは、少年のような体格の金髪の男だった。右手に鎌のような不思議な形状の武器、左手には美しい盾を備えたその少年は、澄んだ瞳で、アーチャーを見つめた。

「随分と手荒い訪問者ですね。ここから先にはマスターの館があるので、お引き取りいただけませんか?」

そう言うと、その少年は少し首をかしげる。ここで相手が真っ当な常識人であるのならば、この仕草にやられて引き返すのであろうが…

「小僧、気が変わった。この余を甘くみるようなあの餓鬼には折檻が必要と見たわ。」

「あぁわかった。マスターって、確かに言ったしな。宝具使うときは念話で教えてくれよ。」

そういうと、即座にアーチャーはマスケットを発砲する。続けて、4、5発。金髪の少年はそれらを巧みに回避、もしくは左手の盾で受け流し、すぐさま右手の鎌剣で切りかかる。

「ふん、その程度、この余が防げぬと…!」

すぐさま、アーチャーは一閃目を回避し、二撃目を撃たれる前にマスケットで迎撃を試みる。銃口を合わせ、引き金を引いた次の瞬間、

「Thorns, um die Prinzessin zu schutzen, die Burg schlieslich werden auch versuchen verschlingen!!(
姫を守る茨は、遂には城をも喰らい尽くす!!)」

木の上から伸びた茨が、発砲寸前のアーチャーの銃口を無理やり上に引きずりあげ、打ち出された銃弾は、少年を抉らず、上方の木々を撃ち抜いた。

「ぬぅ!?」

「隙あり!」

茨で縛られたアーチャーに、鎌剣が迫る。腕を固定された中で、アーチャーが高らかに叫んだ!

「王の軍勢(ウォー・オブ・ナガシノ)!」

呼び声に呼応し、無数の銃声が夜を震わせ、茨を撃ち抜き、銃弾の雨がディフェンサーを襲う。歩みを止めて盾で防御するディフェンダー。連続するマズルファイアの中、光の中に、テンプレのような魔女の格好をした女が映った。

「小僧!見えたか?」

「ああ、見えた!」

アーチャーに言葉を返し、天城は足元のブリーフケースを蹴り開けた。中に収められた十二個の水晶が浮かび、集まって大きなダイアモンド状の塊となる。それを小脇に抱え、先ほど見えた人影の方向に駆ける。背後では無数の銃声と、それを弾く金属音が聞こえる。

先ほどの人影が見えた。大きな帽子の下には、大きな煌めく瞳と、少し狂気を孕んだ笑みが見える。片手にはこれまたテンプレな魔女の持っていそうな杖を握り、その先端は駆け寄る天城に向けられている。

「うおぉぉおおお!」

方向と共に、水晶の塊を上へ放る。ゆっくりと上昇したそれは、最高点に達したと同時に止まり、もとの12の水晶へ拡散した!

作品名:Fate/10 Bravery 作家名:AsllaPiscu