Fate/10 Bravely 二巻
どうもバーサーカーとランサーが戦っていた近くでm、他のサーヴァントが戦っていたのはわかるが(バーサーカーが狂化しているせいで感覚が不明瞭なのだ)、そのためなのか?なんとも言えないが。
「…まぁどうでもいいか。」
一般市民が何人死のうが、それで聖杯戦争が滞らなければなんの問題もない。そう考え、ヨハンはバーサーカーの莫大な魔力消費を補うための魔法薬を作る作業に戻ることにした。
今晩も動くことになるのだ。それも、昨日のようなお遊びではない。あの身の程をわきまえない小娘に、思い知らせてやる必要がある。
Side:Caster
あぁ、朝日ってすばらしい。
新聞を読みつつタバコを蒸し、雨泉は「男」になって初めての朝を堪能していた。いやぁ、聖杯戦争ってのがなんなのか良く分かんないけど、とりあえず女性の英霊を呼び出せてよかった。こんなことなら次も女性の英霊にしよう、とか頭の隅でぽわぽわと考える。
そう考えながらパンをかじっていると、部屋に軽い足音が響く。横目で見ると、それはキャスターであった。既に服装はいつもの白ドレスに変わっており、少女のように伸びをしている。心なしか、昨日よりも血色が良くなったような。
「ふぅ…おぉ起きておったかチョウノスケ。いや、其方中々の逸材よな。あれほどの剛剣を今まで抜かなかったとは、もぅ…」
なんか勝手に顔を赤らめてらっしゃいますこのロリBBA。パンをかじりながら、雨泉は無言で新聞をひっくり返し、一面をキャスターに見せてみる。
「ん?これは…シンブンという奴か?どれ…ほぅ」
「そーなんだよ姐さん。俺らが昨日やったパーティがもう知れ渡ってんの。」
ふむ、とキャスターは腕を組む。
「まぁ、尻尾をつかまれるようなヘマは、今回はして居らんからな。我が血の拷問具で、肉片は一寸刻みにして土に撒いた故、ただの警察ごときには捉えられぬとは思うがのう。」
「でも、その…魔術師には見つかるおそれがあるって、昨日言ったよね。」
そう雨泉が指摘すると、キャスターの表情が変わる。
それは怒った表情でもなく、穴を突かれた時のハッとした表情でもなく、我が意を得たりという顔であった。
「それならば都合が良いわ。妾はキャスター。誰であろうが、我が居城『血塗られた白亜の城(クリード・フラド・チェイテ)』に踏み込もうなど…」
血に染まったような、紅い唇が歪む。
「当に蛮勇が成せる業であったと、思い知るであろう。」
Side:Lancer
「・・・しくじったのう。マスター。」
拠点にしているホテルで、ランサーとハルヒサは仲良くため息を吐いた。二人とも、仲良く二の腕に包帯をぐるぐると巻き、頬には同じような傷がついている。
「・・・なんなのであろうな。これは。私が治らないはともかく・・・ランサー、肉を持たない卿が治らないとは…」
ランサーは腕を掲げ、包帯の上から二の腕をさすってみる。確かに斬られ傷、それもかなり深手ではあるが、どこか違和感がある。
「これは、ただの傷ではない。恐らくは…呪いによるものか?」
「呪いだと?」
それにしては余りにもリアルというか、現実への干渉が大きすぎる。ハルヒサは怪訝そうな表情でランサーを見る。
「それはあまりにもナンセンスだろう。呪いだけでこんな深手になるものか?それにランサー、卿にはクラス特性で対魔力が備わってるのではないか?」
ランサーはバツが悪そうに頭を掻く。
「そりゃぁ、まぁ、確かにワシはランサーだが…まぁ、その、破戒僧だからなぁ。対魔力があるといっても魔力避けの護符よりちょいと強力な程度じゃ。それに、この呪いをかけたのがサーヴァントであれば何ら不思議はないわな。」
ハルヒサの表情が驚きに満ちる。
「サーヴァントだと?あの場所に、卿とバーサーカー以外のサーヴァントが?」
「…あぁ。微かではあるが、2組居合わせておったな。しかし、この威力の呪いとなると…キャスターか?」
「馬鹿な。キャスターがこんな早期に動きはせんだろう。」
「…そうよなぁ。」
会話の締めに、ランサーはハァとため息を吐く。至極残念そうなその響きが何を意味したのか、ハルヒサもすぐに理解し、ため息をつく。
「…なんにせよ、これが何とかなるまでは、我らが戦闘するのは、愚か以外のなにものでもないわな。」
作品名:Fate/10 Bravely 二巻 作家名:AsllaPiscu