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こらぼでほすと 厳命1

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 もちろん、アスランも記憶にある。こっちも壮絶だ。キラと本気で戦って相撃ちしたからだ。これは死んだな、と、思ったら、どっこい生きていたから驚いた。カガリに救助された時には、なぜ、キラだけが死ぬんだ? と、内心で嘆いたほどだ。
 『吉祥富貴』の面々は、そういう目に一度や二度は遭っているから、その恐怖を知っている。だからこそ、気をつけていたのだ。
「まあ、二度目でも慣れるものではないが。・・・・とりあえず、結果を待つしかない。ハイネ、そろそろプラントに向かう時の警護の打ち合わせしておいてくれ。 」
「わかってる。通信室に行く。・・・なんかあったらコールよろしく。」
「ああ、了解した。」
 再生槽に入っている限り、悪化することはない。深刻な部位が壊れるなら、そのまま冷凍保存することになっている。とりあえず、現状の悪化した部分について治療するまでは、このままだ。アスランもキラの応援に戻る。あまり長期間の冷凍処理は脳に影響がある。だから、ぎりぎりまではママニールに、普通に暮らしてもらうつもりをしていた。
「思うようにはいかないな。」
「アスラン、そんなに落ち込まないで? 大丈夫だよ。」
 キラが、アスランの呟きに声をかけてくる。キラも、当初の予定通りだから、と、自分を納得させた。まずは、ヴェーダのシステムの改良や連邦に隠蔽する部分の工作を終えなければ、前には進めない。それが終われば、もし必要ならキラも組織のドックへヘルプに向かう。ダブルオーを早く完成させて、ママの細胞異常を治療してしまえば、この騒ぎは終結する。
「わかってる。・・・作業の流れは? 」
「まあ、こんなとこ? この通りに、ティエリアたちと作業すれば、効率的だと思う。」
 さっとパネルを展開して、アスランにも作業の予定を見せる。まずは、ヴェーダとラボのマザーとのリンクとセキュリティーシステムのドッキングだ。そこから、調整して、それが終わってからヴェーダ本体の深層部分にプロテクトをかける。連邦には、深層へのアクセスができないように、深層があることを知られないために入念に隠す。
「・・・了解。俺は、ママニールがダウンしているのは苦手なんだ。」
「僕も。でも、再生槽なら何も考えずに寝ていられるから、少し気分的には楽かな? 僕らがヴェーダから戻る時に出迎えて欲しいけど。」
「どうだろう? 一度、再生槽からは出されるはずだから、顔は見られるんじゃないか? 」
「そうだね。もう、ほんと、ママったら・・・ラクスに言って監禁してもらおう。」
「年末か・・・・それより早く治療が出来るといいな? キラ。」
「できるじゃなくて、させる。」
「はいはい、ハイネに、そっちの予定も知らせておくよ。」
 キラは、すでに組織へ出張るつもり満々だ。こうなると誰も止められない。アスランも止めるつもりはない。さっさとダブルオーを完成させてもらわなければ、こちらも気が気でないからだ。



 リジェネのほうには、ティエリアから知らされた。いつもの夜のリンクの時だ。ティエリアは覚悟はしていたから、かなり冷静に、今の状態だけを淡々と説明してくれる。
「それって・・・僕が失敗したってこと? 」
「違う。そうじゃない。・・・・そろそろ限界が来てたんだ。きみが気に病む必要はない。」
 ティエリアは、ニールのカルテを確保していた。だから、現状も理解しているし、リジェネが悪いとも思っていない。よく保ったと思うほどだ。
「ママは? 」
「今は再生槽に入っている。一時的に、悪化している部分を治して、もし、それでもマズイなら、そのまま冷凍保存か生命維持装置にかける。」
「でも、ママは・・・僕・・・普通に見送ってくれて・・・」
「あの人は、自分の体調を隠すのが上手い。きみでは見分けはつかないだろう。きみを心配させたくなかったから、普段通りに送り出したんだ。」
 誰も気付いていなかった。台風が近付いていたので、多少、顔色が悪いのも、その所為だと思われていたからだ。そんな状態だから、リジェネでは見分けがつかなくてもしょうがない。たぶん、ティエリアも騙されただろう。だから、リジェネを責めることはしない。それに気付けた人間は、純粋種イノベーターだけだ。よくよく考えたら、ニールの体調を監視している青いトリィは稼動させていなかった。たぶん、ニールがこっそりと隠したのだ。
「一度は目を覚ますんだよね? 」
「ああ、その予定だ。」
「なら、ティエリア。僕のヴェーダとのリンクを切ってくれない? それなら、本宅でもラボでも出入りできる。」
「なに? 」
 リジェネの提案に、ティエリアが目を見開いた。今までリンクしていたものを断ち切るのは、かなり辛いことだ。ティエリアは、ヴェーダとのリンクが断ち切られて、しばらくは混乱した。リジェネは、今までリンクを外れたことはないはずだ。切れたら、混乱するのは目に見えている。
「僕が、傍に居れば少しはマシなんだろ? それなら、できることをやりたい。僕の姿で、ママが安定するなら・・・リンクしなくても大丈夫だ。」
 そして、怒鳴りたいとも思う。辛いなら、辛いと言ってくれ、と、怒鳴りたい。少しは、自分を大切にしてくれ、とも言いたい。ただホテルに移動するだけなのに見送る必要なんてなかったはずだ。それに、体調が思わしくないなら、リジェネの世話なんて焼かなくていい。それなのに、いつも通りに世話してくれていたのを思い出したら、切なくなった。心を自分に傾けてくれることは嬉しいが、そこまでしてくれなくていい、と、思う。切々と、その辺りをティエリアに話したら、相手も苦笑して頷いた。
「・・・・いいだろう。存分に叱っておいてくれ。あの人の悪い癖だ。・・・だが、リンクはニールが再生槽から出された段階でいいだろう。それまでは、このままにしておく。キラにも連絡しておくから、あちらから連絡してくれるように頼んでおく。」
「・・・うん・・・・」
「きみが、そこまでしてくれることには感謝する。」
「感謝はいらない。これは、僕の意思だ。」
「そうか、だが、俺は感謝している。俺のおかんを大切に考えてくれるのは嬉しい。」
 これといって組織のことに力を貸してくれるわけではないが、日常を与えてくれるニールの存在は、ティエリアにも大切なものだ。それを守りたいと言ってくれる相方に感謝はしたい。いつか、本当の寿命がくるまでは、そのまま日常を与えて欲しい。
「感謝はいらないよ、ティエリア。僕にとっても大切なママだ。」
「きみは参加しなくていい。」
「そうはいかない。僕は、きみの兄なんだから。」
 こういう結果になるだろうと、ハレルヤも言っていた。まあ、そうなのだ。今まで持ち得なかった愛情を傾けられたら、誰だって、その存在は大切なものになる。人類を家畜か何かと考えているイノベイドだって、そうなるのだから、ニールの力は偉大だと、しみじみとティエリアも感心する。
「優先順位は最下層だと思え。あの人は、俺たちマイスターのおかんだ。・・・・刹那には、俺から告げておく。」
「ふん、そんなの傍に居るほうが優先されちゃうんだよ? ティエリア。」
作品名:こらぼでほすと 厳命1 作家名:篠義