Muv-Luv MSigloo 1 日本帝国秘録
『模擬戦、開始!』
大きなブザー音とともに戦いの火蓋が落とされる。
ザクの中隊は隊列を崩さぬようにしつつ、前進してくる。
一方、ドムは隠れることのできる岩影でひっそりと息を潜めていた。
「いっちょ仕掛けて見ますか・・・」
と、鷲谷中尉はドムを動かす。
「おらっ!どきやがれっ!死神様のお通りだッ!!!」
熱核ホバーで移動するドム。
そのスピードは通常歩行しかできないザクとは比較できないほどだ。
「なっ!?」
驚くザク中隊。
その驚いている瞬間を逃さなかったのは鷲谷中尉。
走行しながらヒートサーベルを引き抜くと、すれ違い様に切っていく。その間、数秒。
『4番、5番、7番機、大破。』
一気に三機を落とす、その姿はまさに死神。
「くっ!撃て!弾幕を張りつつ、包囲だ!」
残ったザク四機で包囲作戦を取るが、時すでに遅し。
一瞬のスキを見つけてJ型二機を大破させる。
残ったザクは隊長機とC型が一機。
「砲撃もできるんだぜ!ドムはよ!」
切り返しざまにジャイアント・バズを構えC型に放ち、見事命中。
残り、一機。
「こんなはずでは・・・!」
隊長機にのる衛士は焦りつつも、弾幕を張りつつ接近する。
しかし、弾幕などもろともしない装甲をもつドム。
「落ちろよ!落ちろよぉっ!」
遂に追い詰められた。
「よぉ。辞世の句は読めたかい?」
ヒートサーベルを構え、今にも切りかかろうとするドム。
しかしー
「まだ終わりたくないんでねっ!」
まさに窮鼠猫を噛む。
隊長機は携行しているマシンガンを乱射する。
だが相手は
「残念でした♪」
重装甲に定評のあるドム。
そのままヒートサーベルを降り下ろす。
『1番機、大破。模擬戦終了!」
結果はドムが勝った。
・・・・・デュバル少佐、見てますか?
ツイマッドはジオニックに勝てるんです。
ヅダの時の雪辱、晴らしましたよ。
その頃、別室でこの様子を見ていた巌谷中佐と唯依。
「ほぉ・・・やはりマイ技術特佐はいい機体を作る・・・」
「すごい・・・・・」
「みたか?唯依、あれを作るのがマイ技術特佐の仕事だ」
「うん!とてもカッコいい!」
ドムを見る唯依の目は輝いていた。
そして彼女は志した。
「(絶対マイ技術特佐の下で働くんだから!)」
しかしはしゃぐ彼女を見る巌谷中佐は別のことを考えていた。
「(しかし、斯衛の奴等は認めんだろうな。奴等には・・・武御雷があるから)」
日本帝国内で唯一MSに反感を抱いている斯衛軍のことを考えていた。
1996.5.1 MS-09、量産開始
作品名:Muv-Luv MSigloo 1 日本帝国秘録 作家名:mkmk0829