Muv-Luv MSigloo 1 日本帝国秘録
第3話 蜃気楼の先に死神は立つ
YMS-06Cの驚異的な性能の前に戦術機用の生産ラインはほぼ全てMS用に変わった。
もちろん戦術機にかなりの資金を注ぎ込んだ一部の閣僚らは反対していたが、実質、性能にしろ、汎用性にしろ大幅に上回っているMSを排斥出来るわけもなく、渋々了承してくれた。
後日、自分が直に赴き謝罪したところ、許してくれたというのは別の話。
ところで戦術機と操縦がかなり異なるMSであるが、兵士がこのMSに慣れるにはかなり時間を要する。
そこでMS-06Cより更に安価で、生産しやすいMS-05"ザクⅠ"を教導用に生産した。
これが功を奏し、一年後にはほぼ全ての帝国軍兵がMS-06Cに乗り換えれるようになった。
又、今後の兵の育成のため、ソンネン少佐は衛士学校の教官に就任した。
ちなみにこういう決定をしているのは軍の高官である巌谷中佐である。
1995.12.10
国防省
自分は巌谷中佐に招集され、中佐の執務室前にいる。
・・・何の話なのだろう
「失礼します。オリヴァー・マイ技術特佐であります」
「うむ。入りたまえ」
「はっ」
入ると、資料に目を通している中佐がいた。
「中佐、ご用件とは・・・?」
「ああ、実はだな、指揮官用のMS-06と局地改修、そして新型の提案書を頂きたいと思ってね」
「はぁ、まぁ初めの二つは直ぐに用意できますが、新型とは・・・要望は何ですか?」
「うむ、それがだな・・・」
「?」
「・・・私の義娘の専用機をつくってほしい」
「ええっ!?」
「ダメか?」
これは驚いた。中佐の義娘の専用機をつくってほしいって?
一応、義娘のことは少し聞いたことがある。
日本の戦術機部門の第一人者だった、という篁氏の娘で、名を篁唯依というらしい。
「いえ、構わないのですが・・・仕様は本人の希望を取らせて頂いてもよろしいでしょうか?」
「うむ。では・・・明日にでも行くか?」
「え?どこにです?」
「私の家だ」
「ええっ!?」
結局、中佐の家に行くことになった。やれやれ・・・
作品名:Muv-Luv MSigloo 1 日本帝国秘録 作家名:mkmk0829