図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点)
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店を出た後、小牧は毬絵を連れて「それじゃ、18時に駅前ね」と言って毬絵の手を取り歩いていった
柴崎も手塚を連れて「それじゃ堂上教官。また後で」と雑踏の中に消えて行った
残された堂上と郁は互いに顔を合わせ「映画・・・どんなのみたいですか?」と聞いてきた
堂上は携帯を操作し、現在公開中のリストを表示し、郁に見せた
「ラブストーリーものとアクションものだな。笠原はアクション映画の方がいいだろう?」
そう言うと、郁は少し驚いたような表情をして「何で分かるんですか?」と聞いてきた
堂上は頭をポリポリ掻きながら「まぁ〜なんだ、お前の上官だからな。趣向は大体分かってる」
そう伝えると、郁は「そっか・・そうですよね?」と答えながら「それじゃ行きましょうか?」と堂上に向かって伝え
二人は映画館に向かって行った
映画館に着くと、丁度タイミングよく次回公演に間に合った
映画の内容はほとんど覚えていない
傍らに座る郁を見ながら、時折「危ない!」やら「きゃっ!」などと声を上げるのが可愛くて仕方ない
コートを握りしめながら、クライマックスシーンを見つめていた
「面白かったですね?」
映画が終わり、待ち合わせの時間までは少し余裕があった為、近くの喫茶店に入った
「そうか。それは良かったな」
堂上はコーヒーを飲みながら、映画の感想を一生懸命話す郁の言葉に耳を傾けていた
一通り郁の映画評価が終わり、郁も喉が渇いたのだろう
少し温くなったホットミルクティーを含むと、堂上の顔を見た
「何だ?」
堂上は急に郁に見つめられて、慌てて仏頂面を作った
「・・・堂上さんは柴崎とお付き合いされないんですか?」
突然何を言い出すのかと思えば、そんなことを聞いてきた
堂上は冷静を保ちつつ「何故そう思?」と郁に聞いてみた
「だって・・・とってもお似合いだと思ったんです。
昨日も図書館に行った時、柴崎と仲良かったですし・・・
そのぉ〜傍から見てもとてもお似合いで・・・理想的でしたから・・・」
そうハニカミながら郁は素直に堂上に伝えた
堂上は顔をそむけ「付き合わない・・・今は他のことで手一杯だ」と答えた
「・・・そうですか・・お似合いなのになぁ〜」と言いながら、残りのミルクティーを飲み干した
*
駅前に行くと、既に4人は待っていた
「すまんな。待たせたか?」堂上は小牧に声をかける
「いいや。俺達も今着いたところ。笠原さん疲れてない?」
小牧は郁の様子を気にして声をかけると「はい。大丈夫です」と微笑み返す
「映画楽しかった?」などと言われ
「はい・・・でも堂上さんにチケットやお茶代まで支払ってもらって・・」と上目使いで堂上を見る
「構わん。気にするな」そう言うと、郁の頭をポンポンと軽く叩く
郁もはにかんだ笑顔になり、コクリと頷く
そんなやり取りを微笑ましく見られているとは堂上は気づいていなかった
夕食は釜めし屋になった
一つ一つが個室になっており、店内も静かで申し分ない
店員も呼ぶまでは入ってこない為、カップル御用達といったところか
程良くお酒も入り、食事もひと段落したところで、郁は姿勢を正して皆の顔を見た
「どうしたの?笠原さん?」と小牧が声を掛けると、郁は「えっと・・・」と答え話を続けた
「今日はありがとうございました。明日、茨城に帰ります。」とペコリとお辞儀する
柴崎は郁の頭をなでながら「また来なさいよ」と言う
郁は柴崎の言葉にコクリと頷いた後、また姿勢を正した
「明日、両親と話をします。私、やっぱり本を守りたいんです。
母は・・反対すると思いますが、でも自分で決めたんです。
正直、記憶が無いのは不安ですけど、きっと身体は覚えているハズです
ですので・・・」
と一旦言葉を切った後、大きく深呼吸をし「ご指導の程、よろしくお願いします」と
見事な敬礼をした
堂上は郁から目が離せなかった
”憧れの三正”を追って図書隊員になったのではなく
純粋に”本を守る為”に図書隊員になると言っている
小牧は小声で「よかったね。堂上」と言って肩を軽く叩く
「もうぅ〜本当あんたって可愛いぃ〜」と柴崎は郁に抱きつく
毬絵は携帯を操作しながら小牧に『よかったですね』と小牧に見せる
小牧も「そうだね」と言って毬絵の手を握る
手塚は「身体で覚えてても、頭を使う図書館業務は無理だろう?」とツッコミを入れる
無論手塚は柴崎に足を蹴られ「イテッ!」と声を上げる
まずは一歩前進か・・・
郁が除隊するという最悪のケースは脱した
堂上はもう一度ゆっくりと郁を見つめた後「励めよ」と伝えた
作品名:図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点) 作家名:jyoshico