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図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点)

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郁が茨城から戻ってきて数日が経った
事前に勉強していたのだろう、通常の図書業務も大きなミスはない
しかし当分の間は、業務部への貸出という名目で、柴崎の指導の元、郁は読み聞かせなどをしていた

そんなある日の夜
堂上が自室でビールを飲んでいると、ビール半ダース手土産に小牧が入ってきた
「堂上いる?入るよぉ〜」
「もう入っているだろうが!この阿呆!」
勝手知ったる友人の部屋
小牧は何食わぬ顔して、持ってきたビールを冷蔵に入れ、冷えてる缶を持ちながら
定位置に座った
「笠原さん、頑張ってるね。でもやっぱり両親と揉めたんだって?」
小牧はビールをグビッと飲み堂上に話しかける
「ああ。お袋さんが渋ったらしい。親父さんがなんとか宥めたようだが・・・・」
情報提供はもちろん柴崎である。
早速戻ってきた郁に尋問を開始し、一部始終を聞き出したらしい

堂上はビールの缶を軽く握り、残りを飲み干した
小牧はつかさず冷蔵庫から冷えた缶を取り出し、堂上に渡す
すまんな。と言って堂上は新しい缶を手にとり一口含む

「ところでさぁ〜俺気になってたんだけど、この間の映画デートの時笠原さんに何か言われたの?」
ブホッ!!と吹き出し、小牧に「汚いなぁ〜」と言われ「やっぱりなんか言われたんだ」と確信していた
堂上は近くにあったティッシュで零したビールを拭いながら「何も言われとらんわ!」と牽制する

小牧は笑いながら「それって全然牽制になってないよ。自分で認めちゃってるじゃない?」などと言い
机に頬杖をつきながら堂上の顔色を伺う

堂上は眉間に皺を寄せ、いつも以上の仏頂面になったのだが・・・諦めた
少し肩を落とし、ベットのを背にし天井を見上げたまま小牧に話す
「・・・何故柴崎と付き合わないのかと聞かれた・・・」
「え?」
「・・・お似合いで・・理想的なんだと・・・言われた」
「うわー。笠原さん天然炸裂だねぇ〜堂上の地雷踏んじゃったんだ」
堂上は苦笑いをして、小牧を見た
「正直・・・辛いな・・・惚れた女から言われるとキツイ・・・」
「それなら、箝口令取り消せばいいじゃない」
小牧はつまみを食べながら話を続ける
「大体、箝口令発動した理由ってさ
 笠原さんが自分の意思で図書隊に残るか否かってことでしょ?
 それなら、もう結論は出たんだし、問題ないんじゃないの?」
「いいや・・・駄目だ」
「どうして?」
「今更なのもあるがな
 そもそも笠原はアイツに憧れていた期間があるんだ
 アイツが俺だと知って、初めて恋心に変わったんだろう?
 だから、笠原の恋も過去の俺に縛られているんじゃないのか?」
堂上はあえて”王子様”という呼称を出さずに話した
「それは笠原さんに失礼だね
 堂上はさぁ〜今まで笠原さんの何を見てきたの?」
小牧の鋭い視線が堂上を刺す
「・・・・・・」
「じゃぁさ。堂上はこれからどうしたの?
 笠原さんのこと諦めるの?諦めきれるの?」
「・・・俺は・・・」
小牧はふぅ〜とため息を吐くと、この頑固で融通の利かない唐変木の同僚を見た
「手をこまねいていると、笠原さんのこと失うよ」
そう言うと「じゃ俺部屋に帰るね。おやすみ」と言って部屋を出た

残された堂上は、じっと天井を見つめていた
不安だった。郁は今の俺ではなく、王子様の俺を好きで付き合っているのかもしれないと・・・
何度も「違う!そんなことはない!」と思うが、やはり不安は拭いきれない
それならば、もう一度やり直してみないか?記憶の無い今の状態なら王子様は関係ない
今の俺を見て、もう一度好きになって欲しかった

「俺はガキだな・・・いつまで経っても郁を振り回してばかりだ・・・」

堂上は静かに目を閉じた