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図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点)

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昇任発表から数日後、郁の様子がおかしいことに気が付いた
業務中は多少の失敗はあるが、今まで通りにこなしている

しかし、堂上と二人きりになると何故か無言になり
必要以上に目を合わさないことに気が付いた

「笠原、何した」
今日の市街警戒のバディは堂上と郁
警戒中の為、視線は逸らさず郁に話しかけた

「・・・別に何もしていません」
郁は堂上同様に視線は逸らさずに、しかし声は多少掠れ気味に答えた

「昇任後から様子がおかしと思ってな。
 何か悩みごとでもあるかのか?それとも俺には言えないことなのか?」
「・・・・・・」

少し沈黙が続いた後、ポツリと郁が呟いた
「本当に何もありません。心配おかけしました。
 大丈夫です。何かあれば、真っ先に堂上教官に相談します」
「・・・そうか」

堂上はそれ以上の言葉をかけなかった
”何か”はあったのだろう
しかしそれは堂上には言えないことなのだと考えた
恐らく、悩み事または心配ごとの内容は堂上に関係することで
本人目の前に相談は出来ないといったところか

郁は斜め上に物事を進めていく為
またグルグルとおかしな事に向かっているのではないだろうか
放置すると厄介なことになるだろう
夜にでも官舎裏へ呼び出し、無理やりにでも問いただせば口を割るかもしれないが
郁の同室である柴崎にでも聞き出してもらうとするか
報酬は”ディナー飲み付き”でいいか などと考えていた

堂上は郁に聞こえない程度にため息を吐き
「基地へ戻るぞ」と郁に告げた



例のごとく、他班からの書類の山に埋もれながら堂上は黙々と書類を仕上げていた
何時も日報に時間をかけ、事務所に残っているハズの郁は、
今日に限って早く書き上げ帰寮していた
現在、隊室いるのは堂上一人だった

コンコン
「失礼しまーーす」
特殊部隊室に似合わない声で入ってきたのは黒き魔女柴崎だった
普通の男性ならば、この笑みで悩殺されてしまうのだろうが、
堂上にしてみれば悪魔の微笑みにしか見えない

「どうした?笠原なら帰寮したぞ」
書類からは目を逸らさずに話すと、柴崎は堂上の後の席、つまり郁の席に腰かけた

「今日は堂上教官にお話しがあって来ました」
柴崎がそう言うと、堂上は一旦見ていた書類から顔を上げ、柴崎を振り返った

「何だ?」
ぶっきらぼうに答えると、柴崎がクスクスと手で口元を押さえながら笑う
「笠原の件です。教官もお気づきになってるでしょ?
 あの娘、昇任発表の次の日から様子がおかしいんです
 何かお心当たりありませんか?」

話し方はいつもと変わらないが、目は鋭く光っている
俺が何かしたのか?と考えていると、柴崎は「あら、堂上教官じゃないのかしら?」
なんてことを言い出す

「いつもはダダ漏れの純粋培養純情乙女・茨城産の娘ですけど
 今回はダダ漏れもないんですよぉ
 軽く問いただしても「別に何でもない」の一点張り
 あの娘、寝落ちする寸前で話しかけると、色々と話すんですが、今回はそれも駄目で」

ふぅ〜と軽く息を吐き、堂上の顔を見る
堂上は苦虫を噛み潰したような表情で柴崎を見ながら
お前はいつも郁に酒を飲ませて、俺達のネタを引き出しているのか!
と思いながら眉間に皺を寄せた

「実は俺も気になって、今日の警戒中に笠原に聞いてみたんだが、
 同じように「何もない」と答えた
 俺もそれ以上のことは聞き出すことはせず、
 同室のお前なら何か知っているかと思ったんだが・・・」

今回は厄介なことになってるのか?柴崎にも分からないということは
何か深刻な問題でもあったのだろうか?
昇任発表当日に食事をした時の会話を思い出したが
郁はいつも通りニコニコしながら女子寮へ戻って行ったので
その後に何かあったのだろうと考えた

柴崎には「何か分かったら連絡をくれ」と言い
「了〜解しましたぁ〜」と柴崎は覚束ない敬礼をした後
「貸し1ですよ」と言いながら隊室を後にした

残された堂上は、一旦書類の山を見たあと、深いため息をひとつ落とし
「コーヒーでも飲むか」と誰に言ううわけでもなく立ち上がり給湯室へ向かった