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図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点)

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明日が公休前日という朝、堂上の携帯に電話が鳴った
まだ朝の6時前
丁度、堂上は出勤準備をしている時だった

携帯に表示された名前は『柴崎』
何か郁にあったのだろうか?
焦る気持ちを抑えながら、携帯の着信を取った

「どうした?笠原に何かあったのか?」
開口一番に告げると、柴崎は「余裕ないですね堂上教官。朝早くから申し訳ありません」と言った後
「はい。笠原の件です」と答えた

柴崎は冷静に告げた
「昨夜、笠原が熱を出しまして、看病していたのですが、今朝になっても熱が下がらず
 何やらうわ言のように教官の名前を呟きながら意識もうろうとしているので
 病院に連れて行こうと思います。
 申し訳ないのですが、今日は娘を休ませます。あと車の手配をお願いできませんか?」
「・・・分かった。15分後に共同ロビーでいいな?で、笠原の熱は?」
「さっき測ったら39度でした。それから意識の無い大娘を私一人では運べないので
 堂上教官、部屋まで来てもらえますか?寮監には話を通しておきますので」
堂上は「分かった」と告げ、電話を切った
そのまま、小牧へ電話し状況を説明した後、部屋を出た

寮部屋に行くと、柴崎は郁のベットの傍で何度も郁に話しかけていた
「笠原?笠原?分かる?教官来てくれたわよ。病院行くからもう少し我慢して」
堂上は郁を抱きかかえベットから離れ、いわゆるお姫様だっこの状態で柴崎を見た

「保険証や必要なものは私が持っていきます」
「柴崎は今日休みじゃないだろう?大丈夫なのか?」
「ええ。問題ありません。丁度有給消化しないといけなかったので」
二コと笑みを返され「そうか。すまんな」と答えると、
柴崎は「堂上教官こそ大丈夫ですか?病院まで連れて行ってもらえれば後は何とかしますけど?」
ニヤニヤした柴崎の顔を見ないように「問題ない。小牧には連絡済みだ。行くぞ」と声をかけ
病院へ向かった



郁を病院に連れていき、付き添いに柴崎が一緒に処置室へ入り
堂上は待合室の長椅子に腰かけていた

郁を抱き上げた際、服の上からでもわかるぐらい、身体は非常に熱かった
血色の悪い顔、額には大粒の汗、眉間に皺がより苦しがっていた
高熱である為、今日一日は入院かもしれんなと考えながら、待っていた

しばらくして処置室から柴崎が出てきた
堂上は立ち上がり、柴崎の元へ歩みを進めた
院内が薄暗いせいか?柴崎の顔色があまり良くないと思ったが、
今は郁の容体が気がかりだ

「笠原の容体は?」
柴崎は一旦振り返り処置室を見た後、堂上に向き直り容体を説明した
説明の最中、柴崎の目は少し赤くなっており、薄らと涙が溜まっていた

郁は入院をすることになった
原因は不明。風邪や他の症状がないことから精神的、ストレスが原因かもしれないと
医者が話したという
また、寮を出る前よりも熱が上がっており、このまま上がると命が危ないと言われ
仮に熱が下がったとしても当面の間、個室にて治療を受けることになった

「私が無理やりにでも笠原から話を聞き出せてれば・・・・」
珍しく柴崎がポツリと弱音を吐く
「お前のせいではないだろう。俺だって笠原の様子には気付いていたんだ
 今更悔やんでも仕方がない。
 それより、笠原の入院に必要なものを用意してくれないか?」
堂上は、柴崎の肩を軽く二回叩いた後、「隊長に連絡してくる」と言って外に出た



まだ気持ちが浮上してない柴崎を車に乗せ、寮へ戻った
「堂上教官、今日は一日笠原に付き添います。笠原の荷物は私が病院へ届けます。
 教官は仕事に戻ってください。何か変化があれば携帯へ連絡します」
しかし・・と渋ったが、柴崎の表情を見ると今にも泣きだしそうだった
柴崎にとって郁は大事な親友だ
いや・・親友以上だろう
正直、柴崎と郁との関係に嫉妬することも多々ある
柴崎は郁が高熱を出した原因となる”何か”を聞き出せずにいたことを悔やんでいるのだろう

「・・・分かった。何かあれば連絡くれ」
柴崎は「今日はありがとうございました」と会釈し、女子寮へ続く廊下を歩いて行った
堂上も車を車庫へ戻し、自室にて支度を整え、特殊部隊室へ向かった