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図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点)

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「あれ?付き添ってなくていいの?」
隊室に入ると、タイミング良く休憩中の小牧が堂上に向かって話しかけた
「ああ。今日一日柴崎が付き添うそうだ」
自分のデスクへ足を進めながら小牧に答えた
「笠原、入院するほどの高熱とききましたが、大丈夫でしょうか」
「熱が高いからな。当面は入院するやもしれん」
「・・・そうですか」
郁の同期同僚の手塚は最初の頃こそいがみ合っていたが、今では郁のことを認め
互いに切磋琢磨しながら良い関係を続けている

「玄田隊長には伝えてあるが、当分の間笠原抜きでのローテーションになる」
「了解。俺はシフト調整すればいい?」
「ああ。頼む」
小牧は右手をヒラヒラとさせ、パソコンを起動し早速シフト調整に入った
手塚は「コーヒー淹れてきます」と言って給湯室へ向かう
堂上も書類の山に目を向けながら、今は業務に専念しようと気持ちを切り替えた



その日の夜、堂上の部屋で、小牧、手塚と一緒に飲んでいる時に
柴崎から電話が入った

郁の熱は幾分か下がったが、意識がない状態であると
明日の朝には郁の両親が病院に来るということ
入院は最低でも一週間は必要だということ

堂上は柴崎からの報告を聞いた後、小牧、手塚に電話の内容を説明した

「心配だねぇ〜堂上明日休んで病院にいく?笠原さんのご両親来るんでしょ?」
「いや、休みはしない。ただご両親には上官として説明する必要があるだろう」
「それは今後のことも含めて?」
「そうだな。回復してもすぐに復帰とはいかんかもしれん
 笠原のご両親は特殊部隊に所属していることが知られているしな」
そう言うと、堂上は焼酎の入ったグラスを飲み干し、テーブルに置いた

「体力バカだと思っていましたが、実は繊細なのかもしれませんね」
ポツリと手塚が呟くと、小牧はクククと笑いながら手塚の肩を叩いた
「手塚、今頃気づいたの?笠原さんってそこら辺の女の子よりずっと繊細なんだよ」
と言うと何を思い出したのか、一人上戸の世界の住人となった
そんな小牧を片目に見ながら堂上は「迷惑かけるが、頼むぞ」と言い
空いたグラスに焼酎を注ぎ、チビリと口に含んだ

小牧と手塚が部屋から出た後、堂上は一人グラスに入った焼酎の氷を見つめながら
今後のことを考えていた
本来であれば、明日の公休前日に郁と一緒に食事をし
郁への昇任祝いを兼ねて、いつもよりグレードの高いホテルへ行こうと考えていた
しかし、郁は高熱を発症し今は入院中
堂上としては『結婚』という二文字をどう切り出すか迷っていた際の出来事だ
郁の三正昇任は良いタイミングだった
堂上自信、郁を手放せないと思っていたし、傍に居たい、離れたくないと考えていた
だが、当の郁は入院中。意識も回復せず声も聞けない

「早く俺の元に帰ってこい・・・」
堂上は一言つぶやくと、氷が解けて薄まった焼酎を飲みベットへ横になった



翌朝、堂上は柴崎と共に郁の病室に向かった
意識の無い郁の額に張り付いた髪を丁寧に払っている時、コンコンとノックがあった
「どうぞ」
柴崎が答え、病室のドアが開く
そこには顔面蒼白の郁の母親寿子と、冷静な表情の父親克宏が入ってきた

「堂上さん、ご無沙汰しています」
克宏はそう言い、軽く会釈をしてきた
「ご無沙汰しております。茨城県展の際はありがとうございました」
そう挨拶すると、克宏は「いいえ、市長の指示ですから気にしないでください」
と答え、郁の元へ近寄った
寿子は扉の前から動かない
克宏は寿子に声を掛け、郁の元へ連れていった

「現在の状態を説明いたします」
柴崎は克宏と寿子に、郁の病状・・と言っても原因は不明だが
高熱により意識が無く、まだ眠っている状態であると伝えた
また、入院手続きについても既に終わっており、医者よりこれ以上悪くなることは無い
と言われたことを伝えた

寿子は克宏の手を握り泣きながら「郁?郁?起きて頂戴・・・」と話しかけている
克宏はそんな寿子を見ながら、堂上に「ご心配おかけいたしました」と礼を言った

郁は堂上と付き合っていることを両親に話したことはない
だが、克宏は気づいていた
一人娘の思い人、上官と部下という立場の中で
堂上は郁を、また郁は堂上をどれほど大切に思ってきたのか
堂上が郁に向ける視線を感じながら「堂上さん、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」と
尋ねた
堂上は「はい」と答え、柴崎に「後は頼む」と伝えると、克宏と共に病室を出た

11月とは言っても、天気もよく少し暖かい庭先を歩きながら、ベンチに腰掛けた
克宏は堂上の顔を見ながら「娘のことですが・・・」とポツリと話し始めた

「先ほど柴崎さんの説明で、原因が不明とありましたが、他に何かありませんか?」
堂上は克宏の顔を見ながら「・・・精神的ストレスかもしれないと医者に言われました」
と答えた
「・・・そうですか。娘はあまり人に頼らず溜めてしまう傾向がありますから・・・」と
克宏が言うと堂上は高熱を発症した前日の話をした
「様子がおかしかったので、聞き出そうとしたのですが、本人が「何でもない」と言うので
 そのままにしてしまいました。
 上官として部下のメンタルもケアできなく、本当に申し訳ありません」
そう堂上は言うと、克宏に頭を下げた
克宏は「いいえ、頭を上げてください」といい、堂上の肩に手を掛けた
「堂上さんが娘のことをとても大切にしてくださっていることは承知しています。
 自分を責めないでください」
「・・・はい。ありがとうございます」
克宏は堂上の肩にある手を離すと、「そろそろ戻りましょうか」と告げ
堂上と共に病室へ戻った

「今日は病室に泊ります」
克宏は堂上と柴崎に告げると、堂上は頷き、柴崎に「俺は基地へ戻るぞ」と言って
克宏と寿子に挨拶し、柴崎を残し病室を出た