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図書館戦争 堂x郁 郁記憶喪失(堂上視点)

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一週間後
郁の退院を明日に控えた日、堂上の携帯に克宏から電話が入った

「はい。堂上です」
「笠原です。先日は色々とご迷惑お掛け致しました」
「いいえ。笠原三正は明日退院と伺いましたが、体調は如何ですか?」
「ええ。お蔭様で、記憶以外は問題ありません」
「・・・そうですか」
「ところで堂上さん。娘の件ですが、退院後は茨城へ連れて帰ろうと思います」
「・・・はい。分かりました」
「自宅にはアルバムやらビデオやらありますので、もしかすると記憶が戻るかもしれません。
 ゆっくりと、焦らず、妻と相談しながら娘と生活をしていこうと思います」
「・・・除隊の件は?」
「もう暫く、休職にして頂けますか?
 娘はまだ図書隊員としての知識が無く、判断しかねる状態です
 良化隊の検閲については、理解したようですが・・・・」
「分かりました。また何かあれば、お手数ですが連絡頂けますか?」
「はい」
「それでは失礼します」

堂上はふぅ〜とため息を落し、隊長室へ向かった
玄田に報告した後、郁が茨城に戻ることを小牧、柴崎、手塚に伝えた

「笠原は・・・戻ってくるのでしょうか?」
「さぁ〜どうかな?笠原さん次第でしょ?」
「どうですかねぇ〜あの娘記憶無くしてても野生の感で戻ってくる可能性がありますよ?」
「飼い主の元に?」
「ええ。でも飼い主はリードを手放しちゃったので、どうするんですかねぇ〜?堂上教官」
「知るか!」

周りの隊員からも野次が飛び、堂上は「いい加減仕事してください!」と怒鳴りながら
席に着いた

堂上が箝口令を発動した後も、特殊部隊の隊員達は何事も無かったように接してくれた
普段はおちゃらけ集団だが、郁のことも堂上のことも可愛がっていた
可愛い弟分の堂上が、長年の思いを遂げ、隊の娘っ子と結ばれたときは
横断幕を用意し、堂上にこっぴどく怒鳴られた

そんな隊員の気遣いが、今の堂上には嬉しい
小牧や柴崎、手塚も、会議室でのやり取りの後は、普通に振舞っている
変わったのは郁との関係だけ
今は居ない郁の席をチラリと横目で見た後、堂上は仕事に戻った



「あれ?笠原?」
郁が茨城の実家に戻ってから、一か月が経過していた
丁度カウンター業務に着いていた柴崎が、図書館入口でウロウロしている郁を発見した

柴崎は同僚に「ちょっと席外すから、よろしくね!」と声を掛け
郁の元へ駆け寄った

「笠原?どうしたの?」
「あっ・・えっと・・柴崎・・さん?」
身長170CMとは思えない程小さくなりながら柴崎の顔を見た

「・・・”さん”付けは要らないわ。柴崎でいいわよ」
郁はコクリと頷いた
「ところで今日はどうしたの?実家戻ってたんじゃないの?」
「あのね。家に居ても何も思い出せなくて・・・
 両親に聞いたら、私高校卒業以来実家に戻って来てなかったみたいなの。
 だから・・・記憶無くす前まで居た場所に行けば、何か思い出せるかな?って思って・・」
郁はモジモジしながら柴崎に伝えた
「・・まさかと思うけど・・」
柴崎はチラリと郁を見た後「ここに来ること、ご両親にちゃんと話した?」と聞いた
郁はえっ?なんで?なんて顔をしながら柴崎の顔を見ていた
「はぁ〜・・・やっぱり」
さすがは笠原犬、記憶が無くとも戻ってきちゃうのね・・・なんて考えながら
さて、どうしようかしら?と思っていた

「笠原、実家に電話して今ここにいることをちゃんと伝えなさい」
いいわね?と念を押し、郁を館外のベンチに案内した
郁は携帯を取り出し、母親と話している
チラリと見た笠原の携帯・・・新しい機種よね・・いつ変えたのかしら?
などと思いながら、自分も携帯を操作し飼い主へ繋げた

暫くすると、堂上と小牧、手塚が向かってきた
堂上の表情は眉間に皺が寄っている

柴崎はそんな堂上をクスッと笑い「お疲れさまで〜す」と呑気な声を掛けた
「で、なぜ笠原がここにいる?」
堂上は開口一番、郁を見ることなく柴崎に問い正した
「実家に居ても思い出せそうにないので、家出してきたみたいです」
「ハァー?家出?」
そう言うと、郁は「家出・・じゃないです。ちゃんと今連絡しました」と言って上目使いで堂上を見る
小牧は「笠原さん・・・今連絡って・・やっぱり家出だったんだ・・」とクスクス笑いながら上戸に入った
手塚は「記憶無くしても、やっぱり笠原なんだな・・・」とつぶやく
目が合っていた郁から視線を柴崎に戻し、「とりあえず、館内でも案内するか?」と話しかける
柴崎も「それじゃ、私が案内しますわ」と言って郁の手を取り歩き出す

なかなか上戸の世界から帰還しない小牧を放って
堂上と手塚は二人の後を追うように歩き出した