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【ヘタリア・腐】きっと見つかるGGm8!【西ロマ】

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 一応女性だし、と恐怖を堪えて挨拶してみる。射殺すような視線をこちらに送り、ベラルーシは挨拶の返答とした。
(助けろスペインこのやろー!)
 ここに居ない恋人に助けを求めてみるが、勿論助けは来ない。次会った時に刺されそうな状況に画面が涙でぼやけてくる。猛獣を前にしたような緊張でロマーノ達が固まっていると、横から煩い程の馬鹿笑いが聞こえた。
「やあ、君達! ゲーム楽しんでいるかい?」
「アメリカ!」
 凍りついた空気を物ともせず、アメリカはこちらにズカズカと歩いてくる。流石はKYだと心の中で褒め称え、ロマーノは笑顔でヒーローの登場を受け入れた。
「そうだ、この辺りでいい狩場とかないか?」
 クレリック一人でも行けそうな場所と無茶を振り、友人を必死に足止めする。その間にロシアがベラルーシに捕獲されていたが、気付かない振りで心の安定を保った。
 そんな状況をまったく気にせず、アメリカはそうだなと考え込む。やがて何か思いついたのか顔を上げると、いつものスマイルで親指をぐっと立てた。
「ロマーノ一人では厳しいと思うよ? でも安心してくれ。俺も一緒に行ってあげるんだぞ!」
「グラツィエ。じゃあ、ロシアまたな」
 そそくさとアメリカの背中に逃げ、こちらを睨むベラルーシから距離を取る。頼まれたのは町までの同行だと言い訳し、ロマーノはロシアに別れを告げた。
「ロマーノ君、アメリカ君~!」
「さっさと消えろ」
 そそくさと二人並んで歩く背中から、悲痛なロシアの叫びと吐き捨てるようなベラルーシの声が響く。恐怖で背後を振り向けないロマーノの横で気軽に体を反転すると、アメリカは二人に大きく手を振った。

「have a good day!」



「あー、怖かったぞちくしょうめ……」
「もっとヒーローに感謝していいんだぞ!」
「はいはい。グラツィエ、グラツィエ」
 ひらひらと手を振り、顔を輝かせるアメリカに適当な感謝をする。そんな仕草に笑い、彼は森の奥へ案内していく。やがて見えてきた湖には、小さな小屋が建っていた。
「この辺りのモンスターは小型が多いから、ロマーノでも頑張れると思うよ」
 まぁ今は俺が居るけどねと高らかに笑い、アメリカはごつい銃を構える。相変わらず製作者権限でやりたい放題なのか、その武器はアメリカ国旗の入った特注品のようだった。
「ここに来るまでは大型モンスターばっかりだったからな。助かるぜ」
 ロシアが全部叩き潰していた道中の話をしてやる。ロマーノの話にアメリカは少しの間反応を消すが、やがて肩を竦める動作でこちらに戻ってくると、「あの辺りに大型モンスターなんて出ないよ」と苦笑した。
「え?」
 何だよそれ、と突っ込みたいが声が出ない。確かに戦闘を行っていたのは、ロマーノの経験値がレベルアップ近くまで上がっている事で確認出来る。
 では、何故場違いなモンスターが出て来たのか。
「……深く考えるのは止そう」
「うーん、何をしたのか興味はあるんだけどなぁ」
 犯人がロシアなのかベラルーシなのかは分からないが、知れば知るほど後悔しそうだ。出来れば暫くは関わりたくないと思いつつ、モンスター狩りを開始する。三十分程で狩ったモンスターは確かに小型ばかりで、杖で殴り続けたロマーノは結構ストレスを解消出来た。
「そういえば、今日はスペインと一緒じゃないんだね」
「いつも一緒な訳じゃねーよ」
 完全にペア扱いなことに頬を染めつつ、アメリカの足を蹴る。それにわざと痛そうな反応をし、彼は面白そうに笑った。何が面白いのか、アメリカはヴェネチアーノのようによく笑う。その顔につられ、ロマーノもそっと頬を緩ませた。
 先程までの緊張感が嘘のような空気が流れていく。軽口を言い合いながら戦闘を続けていると、先の茂みから何か掻き分けるような音がした。木々の動きから、今までの小型ではなく大型モンスターのようだ。二人の間に緊張感が走る。
「ロマーノ、俺の後ろに」
「お、おう」
 ガンナーの背後に隠れるというのも考えてしまうが、アメリカならロシア並みに防御力がありそうな気がする。音を立てないよう、だが慌てて友人の背後に移動すると同時に、茂みから大きな影が飛び出してきた。
「!」
 先程まで狩っていた小動物型モンスターと違う大型。しかもロボっぽいデザインだ。急にゲームのジャンルが変わったような敵に、ロマーノが唖然とする。そんな姿に気付かず、アメリカは構えていた銃を下ろした。
「お、おいアメリカ」
「君何やってるんだい?」
 アメリカがやれやれという様子でロボットに話しかける。一体どういう状況だと彼の服を引っ張れば、アメリカが答えるより先に目の前のロボットが外見に似合わないテンションで答えた。
「アメリカじゃねーですか。奇遇ですね! シー君はレベル上げの最中なんですよ」
「こいつ、イギリスの所のシーランドなんだぞ」
「えええええええええええええええええ」
 続けて正体を教えるアメリカの言葉に、顎が外れる程驚いてしまう。いつも世界会議でイギリスに怒られている小さな子供。シーランドと名乗る少年は、毎度周りの国々に独立国として認めろと騒いでいたのを覚えている。
 あんな子供がどうしてこんなゴツイ外見に。メカメカしい姿は自分達の大きさの倍近くあり、動く度に機械音がする。ファンタジーを基調とした世界から浮いている有様に震える指をさせば、察したアメリカが肩を竦めて「日本が作ってあげた特注の鎧なんだぞ」とネタばらしをした。
「本当は合体ロボになりたかったんですよ」
 そう言いつつ、満更でもない様子のシーランドはその場でくるっと一回転する。がっちゃんがっちゃんと音が重いものの回転は軽やかで、奇妙なアンバランスさに突っ込む言葉も出なかった。
「俺達ここで狩りをしている最中なんだ。君が居ると小型モンスターが逃げちゃうから、さっさと移動して欲しいんだぞ」
 アメリカの言葉にハッとし、ロマーノは首を回して辺りを確認する。シーランドが動く度に森の鳥が飛び立ち、モンスター出現度を示す画面のゲージがどんどん下がっていった。
(……そりゃモンスターも逃げるだろうな)
 鎧というよりメカの着ぐるみのようなアイテムを装備したシーランドは、レベルもそこそこ高い。見た目の威圧感も相まって、この辺りの生態系に影響を及ぼしそうだ。
 一応敵では無いということでロマーノは安堵の息を漏らす。ストレス解消もここまででかなり出来ており、のんびりとした気持ちで目の前の口論を眺めた。
「何でシー君がアメリカなんかの指示に従わなきゃいけないんですか! 勝手なこと言うんじゃねーですよ!」
 何故か仲が悪いらしい二人は、まるでドーバー二国のように口論を続ける。話は縄張り争いからズレ続け、お互いの悪口合戦へと変貌していった。
「そもそもいい加減、丁寧な言葉ぶるのは止めたらどうだい? ま、言葉遣いが悪いのはイギリスの影響だろうけどね」
「じゃあアメリカの性格が悪いのはイギリスのせいですね」
「お前等どっちもイギリスの弟だろうが」