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【ヘタリア・腐】きっと見つかるGGm8!【西ロマ】

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 返される答えは端的で、スウェーデンはノーコメント。予想通りの反応に、堪えきれず画面の向こうで吹き出してしまう。無言で歩くゲーム内の空気を読んだのか、ノルウェーはわざわざ口元を手で隠しながら「うざくなかった?」と聞いてきた。
 ここでいう「うざい」は、ロマーノから見たデンマークの事では無いだろう。保護者顔をする男の話題に戻ってしまったことを後悔しつつ、まるで先生の悪口を言い合う子供のような仕草に笑みが零れた。
「こっちの話聞かねーしなぁ」
「だな」
「変に前向きで嫌味も伝わんねーし!」
「完全同意だべ」
 お互い違う男の顔を思い浮かべているのに、話はぴたりとかみ合う。思い返せば随分迷惑も被ってきたもので、怒り半分呆れ半分で話は続いた。
「兄貴顔してる割には」
 道を塞ぐようにモンスターが現れる。ノルウェーが召喚魔法の詠唱に入ったと同時に、ロマーノは足止めの魔法を使った。洞窟の床から植物が生え、モンスターの足を絡め取る。
「寂しがりやだしなっ! 面倒臭いぞコノヤロー!」
 動かぬ足の代わりに伸ばされた触手はスウェーデンの槍が綺麗に切り落とし、詠唱を完了したノルウェーが鋭い冷気を放つ魔物を呼び出した。
 みるみるうちに魔物は凍りつき、スウェーデンの槍で粉々に砕かれる。目的のボスはこの最奥らしく、三人の足は止まることなく進んで行った。
「あいつがボスか……」
 通路から大きな空洞を覗き込み、ロマーノは思わずといったように呟いた。先程まで戦ってきたモンスターと違う、固有グラフィックに巨大な体。いかにもボスという感じがする。
 大きな白銀の狼は眠っていて、こちらには気付いていないようだ。それぞれ回復を済ませ頷きあい、スウェーデンの先制攻撃から戦闘は開始された。
 投げつけられた槍は狼に刺さったが、起きたボスの体を振る動きにより抜けてしまう。すぐさま反抗に転じるスピードは想像よりも早く、狼の牙にスウェーデンが捕まった。
「……!」
 戦闘直前にロマーノが防御魔法を掛けていたので耐えたが、ごっそりと体力を示すゲージが奪われている。スウェーデンでこのダメージなら、残りの二人はひとたまりも無いだろう。
(ヤバいな……)
 回復魔法の詠唱をしつつ、ロマーノは額に汗を浮かべる。既にノルウェーは詠唱に入っており、動けるのは自分だけ。だが明らかに壁役が足りない。
 せめてもう一人、攻撃を受け止められる戦士系が居れば。
 回復魔法をスウェーデンにかけ、全回復したのを見届ける。その隙をつき、狼はロマーノの方向へ突進してきた。
(……スペインっ!)
 目前に迫るボスをスローモーションで見ながら、ロマーノはここには居ない男の名を心の中で呼んだ。こんな時、いつも守ってくれた恋人。今は仕事中だと分かっているのに。
「!」
 やられると思った瞬間、ロマーノの目の前に黒い影が立ち塞がった。その影は狼の牙を易々と受け止め、微動だにしない。驚いたボスがバックステップで逃げた足元にスウェーデンが滑り込み、美しい反撃を決めた。
 あまりのタイミングにロマーノの目が見開く。守るように佇む影は、見覚えのある姿だった。
「カッコよくシー君の登場ですよ!」
「お前かよ!」
 どうりで見覚えがあると思ったと肩を落とす。このときめきを返せと思いつつ、「セボルガ達はいいのかよ」と突っ込んだ。確か先程彼等と遊ぶと言って別れた筈だ。
「セボルガの野郎が、約束の時間になってもこねーんですよ」
 シーランドはぽこぽこと怒りながら両手を上下させている。子供の姿でやったら可愛いんだろうなと思える仕草でも、現在のロボの姿ではガチャガチャと煩いだけだった。
「他の皆は用事が出来たみたいで……。まぁ、ロマーノがちゃんとお手伝いしてるか確認しに来てあげたのですよ」
「どんだけ上から目線だよ!」
 えっへんと胸を反らす仕草に杖で突っ込む。そういう言い方がイギリスの弟なんだと呆れながらも、これは強力な助っ人だと安堵した。
 横目で確認した所、ノルウェーの召喚はもう少しかかりそうに見える。スウェーデンとシーランドが協力して狼の意識を反らしてくれれば、魔道士組みは楽が出来るだろう。
「はーっ……。んじゃ協力頼むぜ、正義のヒーロー?」
「ふふん、まっかせるですよ」
 肩を竦め、ヒーロー気取りの子供の後ろに下がる。頼りにされたのが嬉しいのか、シーランドは腰に手を当てて笑うと、右腕を敵に向けた。
「ロケットパーンチッ!!」
「どわあああっ!」
 絶叫のような掛け声と共に爆発が起き、ロボの右腕が白銀の狼に向かって飛び出した。腕から沸き立つ煙の直撃を受けてしまい、背後に居たロマーノの視界が奪われる。慌てて移動し状況を確認すると、ボスの眉間にロボの腕が当たったようだった。
「何でもありか、お前は……」
 むしろ協力者の日本が何でもありなのか。暴走するアメリカを押さえる役だと思っていたが、オタク文化になると彼も暴走してしまうようだ。
 日本力作の鎧を自慢げに動かし、シーランドは右腕を戻すと今度は左腕を掲げる。唖然とするロマーノの目の前で、彼の左腕はドリルへと変貌した。
「日本が言っていたですよ。『漢ならドリル』と!」
 うおりゃーと声を上げながら、シーランドは狼へ殴りかかる。ドリルの機械音に耳を塞ぎつつ、ロマーノは無言で戦い続ける保護者へ叫んだ。
「ああ、もう突っ込み切れねぇっ……おいスウェーデン! 何とか言え!」
 何でさっきから自分ばかりが突っ込んでいるのか。ノルウェーは詠唱中だからいいとして、保護者が代表して何とかしろ。そんなロマーノの叫びを受け、スウェーデンはロボを見やり、そして一言呟いた。
「めんげぇ」
「ちっがうだろーがああああっ!」
「可愛くないですよ! シー君はかっこいいのですよ!」
「お前は黙っとけ!」
 願いは砕け散り、ボケが一人増えたことで状況は悪化している。ぶーぶーと怒るシーランドと言い合うロマーノに首を傾げ、スウェーデンはそういえばという表情を浮かべた。
「二人共、嫌いなんが?」
「はぁ?」
 今度は何を言うのか。何やら考え込んでいる男の姿に、ノルウェーと視線を交わす。「二人共」というからには、こちらだけに話しているのでは無いだろう。現に彼の視線はロマーノとノルウェーを捉えていた。
(二人で何話してたっけな?)
 シーランドに突っ込みし続けていたせいか、どうも記憶があやふやだ。狼相手にロケットパンチを当てている子供の声を聞きながら、ロマーノはついに該当事項を思い出す。ハッとした顔で振り返ると、ノルウェーは片手を小さく上げて「身内がすまん」と言いたげな顔をした。
「あ、あのな……」
 どうやらスウェーデンはここに来るまでの話で、自分達が保護者顔をする彼等を嫌っているのではないかと本気で心配しているらしい。真面目に心配されてしまえば誤魔化す訳にもいかず、羞恥で頬が染まっていくのが分かる。