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【ヘタリア・腐】きっと見つかるGGm8!【西ロマ】

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 今日は一体何度羞恥プレイを受けるのか。彼に悪気は無いのだ。顔は怖いが基本真面目な男なので、普通に心配してくれているのだろう。それが理解出来ていても、恥ずかしいことに変わりは無い。
「きっ……嫌いなら付き合ってねーんだよコノヤロー! 大丈夫ですからご心配なくだちくしょうめ!!」
 涙目でロマーノが叫んだ言葉が画面に流れると同時にノルウェーとシーランドが盛大に吹き出し、シーランドに至ってはボスへの攻撃を綺麗に空ぶった。



「……てっめーら……」
 安心したように頷くスウェーデンを戦闘に戻らせ、回復してやらねーぞと残り二人を脅す。シーランドが「やれやれ、ロマーノはわがままですねぇ」と肩を竦めるので持っていた杖を投げて突っ込み、息切れしながらも効果が切れてしまった防御結界を張り直した。
「んじゃ、いくべ」
 ようやく詠唱を完了したノルウェーが片手を上げると、彼の背後に光で魔方陣が描かれる。その陣が門になり、屈強な巨人が現れた。
 大空洞になっているフィールドの天井近くまである背丈。ムキムキの腕を振り上げ、狼に数度拳を振り下ろす。逆上したのか飛び掛ってきたボスを更に横殴りし、巨人は壁へと叩きつけた。
「うわー、凄い威力なのですよ」
 詠唱の長さは伊達ではなく、呼び出された巨人はボスに力の差を見せ付ける。やられているのは敵だというのに恐ろしくなり、ロマーノは反射的に身を固くした。
 ふらつきながらも立ち上がるボスにスウェーデンが追撃を決める。吹き飛ばされながらも踏みとどまる狼に対し、狙いを定めたシーランドがロケットパンチを発射した。
炸裂する爆裂音に首を竦めながら、ロマーノは詠唱を開始。何とか攻撃を耐え切ったボスの足元を蔓で絡めとると、もがく獣に巨人が体重をかけた全力の拳をお見舞いして魔物討伐のクエストは終了した。
「人数さ揃えば、楽勝……」
 ノルウェーがやれやれといったように呟く。その声に頷きつつも、ロマーノは心の中で一人チートまがいの奴が居たけどなと突っ込んだ。声に出すのも面倒くさい。
 ドロップアイテムの白銀の毛皮を二人に譲り、ロマーノとなぜかシーランドも一緒に町へと戻る。そろそろお腹が空いたので昼食の為に中断しようかと考えていると、町中で大きな突っ込みの台詞が叫ばれた。
「何でロボになってんだよ、お前!」
 振り向けば、こちらを指差し完全に突っ込みの体勢になっているイギリス。どうやら兄である男も知らなかった装備らしい。
「イギリスの野郎じゃねーですか。ふふん、羨ましいですか?」
 ガシャコンガシャコンと体を動かし、シーランドは本人がかっこいいと思っているポーズをつけている。世界観から浮いた珍しい装備に近くの冒険者達は思わず拍手をするが、その鎧の提供者に気付いたのかイギリスは騙されずに怒った。
「日本に迷惑かけんなって言ってるだろうが……」
「日本はノリノリで作ってくれたですよ」
 ロケットパンチを見せようとしては怒られ、ドリルを出しては怒られている。周りの見物人はそれに笑って手を叩き、ロマーノは二人から少し離れた所でのんびりと自由を満喫していた。
(ああ、すっげー楽……)
 一人突っ込みが増えるだけで、ここまで心が軽くなるとは思わなかった。流石は世界の突っ込み・イギリス様だ。きっと常日頃から鍛錬を続け、相当突っ込みレベルが高いのだろう。
 ゲームの世界に居るからか、ロマーノの思考が正常とはいえない流れになっていく。だがイギリスはシーランドの突っ込みに忙しく、ロマーノの脳内ボケに突っ込む事は無かった。
「ロマーノ、イギリスに何とか言ってやるですよ!」
 迷惑なんてかけていない、むしろクエスト攻略のメインアタッカーだったと子供はふんぞり返る。その声を受け、庇って貰った手前違うとは言えないロマーノは、仕方なく頷いてやった。
 喜びに踊るロボを横目に、イギリスは何処か吹っ切れたようなロマーノに肩を竦める。
「大体お前、何でそんなに平然としてるんだよ」
 この世界観でロボだぞと、シーランドを指差し指摘するが正直今更だ。ロマーノは青空を見上げながら軽く息をついて答えた。
「もう一通り突っ込んだ」
「なんか……、すまん」
 その一言で色々感じてくれたのか、イギリスは弟の破天荒な行動を謝ってくれた。その行動にシーランドが反発し、二人の言い争いがまた始まる。
(なんだ、結構仲いいんじゃねーか)
 ロボと魔術師の口論を壁に寄りかかりながら聞いていると、そんな感想が浮かぶ。
 怒っているもののフランスへの対応と違い気遣いの見える説教は、子供を大切に思っているという表れだろう。対するシーランドはそれを過保護だと嫌がりつつも、悪口を受け目に見えてヘコむイギリスに慌ててフォローするという状況だった。
(うわ、何だこれ……既視感?)
 シーランドの不器用な気遣いに、ロマーノの記憶が刺激される。遥か昔、まだシーランドが生まれていない頃。ちびだった自分も、あんな風にスペインを困らせていた気がする。
 大切に想っているのに、口から出るのは素直じゃない言葉ばかり。言いたいのに言えない言葉は胸の中で石のように固まり、益々取り出せなくなってしまう。
(それって、かなり辛いんだぜ)
 今もその苦しみを抱え、恋人に素直に想いを告げられないロマーノには、目の前の子供が自分と同じ道を辿るのを止めてやりたい気がした。
(そういや、スペインは昔俺がアイツのこと嫌ってると思ってたって言ってたな……)
 嬉しさと恥ずかしさで反発してしまい、彼を傷つけてしまっていたことを思い出す。せめて少しでも誤解が解けるといい。自分を重ねるだなんて恥ずかしいが、子供が少しでも苦しまないようにしたいと思うのは大人として当然だろうと、ロマーノは心の中で言い訳した。
「お前等そこまでにしておけよ。シーランドも、いい加減にしねーとイギリス様の手作りスコーンの刑だぞ」
 真っ黒い炭のような固まりを思い出し、ぶるりと体を震わせながら脅しをかける。あんまりな言い様にイギリスは抗議の声を上げたが、シーランドは小首を傾げるだけだった。
「シー君、食べられるですよ?」
 以前アメリカに罰ゲームでこの言葉を言った時、イギリスの料理を食べられるのはお前だけだろと突っ込んだことがあった。その時、苦虫を噛み潰すような顔で「あの子も食べるんだよ」と返答を頂いている。それがいいか悪いかは置いておいて、心構えのあったロマーノは子供の返答に驚かなかった。が、それでも込み上げるものがある。
「おいイギリス様、こんな子供にどんな食育してるんですかコノヤロー!」
「へ、変なものなんて食わせてねーよ!」
 ちゃんと厳選した食材を使い、愛情を込めているとごにょごにょ話すイギリスの姿に気付いたのか、シーランドは慌てたように言葉を追加した。
「べ、別にイギリスの野郎の料理を食べたいって訳じゃねーですよ! ただ慣れてるってだけで、そのっ……」
「慣れる程食ってるのかよ」