Muv-Luv MSigloo 2 黙示録1998
「・・・!来やがったな!侵略者ども!」
光学カメラで敵影を確認する松口。
『松口隊は第57戦区に進行するBETAの迎撃に専念せよ。通信終わり!』
「暁の本領・・・見せてやるよ!」
そう言い、拡散弾を装填させた多目的ランチャーを放つ。
見事着弾し、先行する突撃級を殲滅する。
「くたばりやがれ!侵略者どもがぁぁぁあっ!」
続いて左腕に構えた試作型ビームバズーカを放つ。
しかし・・・
「!?なんだと!!?」
鳴り響く警告音。
モニターには"兵装整備不良"との文字が。
「クソッタレ!」
やむを得ずビームバズーカを捨て、80mmを構える。
「食らえ!ゴミ虫ども!」
今度は後方の光線級に向け放つ。
あっという間に光線級は屍と化する。
「おっしゃ次!」
北九州防衛戦開始直後、帝国軍優勢に戦局は動いていたが、さすがに物量に勝るBETA。
直に押され始める・・・
『こちら第21戦区防衛隊!弾薬補給が間に合わない!増援を願います!』
『くそ!BETAどもめが!』
『数が多すぎる!誰か助けてくれぇ!!!』
「くっ!」
北九州防衛線の陣頭指揮をとる老将、齋藤中将は迷っていた。
このまま玉砕覚悟で戦線を維持するか、億万となる人名を守るために己が人柱となるか。
その二つに迫られていた。
「・・・やむを得ん・・・か」
そう言い、通信用のマイクに手をかけた。
これは、後に"齋藤宣言"と呼ばれることになる演説のすべてである。
「・・・北九州防衛線を死守する全軍に告ぐ。私は本作線の指揮官、齋藤中将である。すべての兵に告ぐ。諸君、まだBETAとの戦いは続くのだ。無理をしてここで死ぬ必要はない。今から50年程前の太平洋戦争。当時、若き志願兵らが特攻兵器に乗り太平洋に散っていった。私はそんな男達を見てきた。だからこそ、このBETA大戦後の世界を率いるべきである君達には生きてほしいのだ。そして、諸君らに北九州防衛作戦指揮官として最後の命令を下す。諸君、直ちに東方へ撤退を開始せよ。以上」
後の戦争評論家らが語るに、齋藤中将は部下を思いやる素晴らしい将軍。という論はこの"齋藤宣言"があるからであろう。
作品名:Muv-Luv MSigloo 2 黙示録1998 作家名:mkmk0829