機動戦士ガンダムRS 第1話 偽りの平和
フレーム設置モジュールの改良。
とにかくプログラムの解析さ」
キラは、素っ気無く答えるだけだった。
トールは、突然キラの首に腕を巻きつけた。
「そんなことより手紙のことを聞け」
トールは、キラの首を絞めながらいった。
サイは、何のことだかわかっていない。
「なんでもないんだ」
トールは、腕の力を強めなお続けた。
「なんでもないわけないだろ」
サイは、2人が何を聞きたいのかわからず困っていた。
トールが手紙のことを聞こうとするとキラが声を被せて抵抗する。
さっきからずっとこの繰り返しである。
サイは、トールに耳打ちで教えてくれと頼んだ。
「やめなさいよ」
そんな状況をミリアリアが止めようとしている。
客人は、居心地が悪くなったのか外に出ようとした。
しかし鍵が掛かっている。
「離せ!苦しいって!」
キラは、すでにダウンしている。
「離したらもっと抵抗するからだめ」
※
ブライアン艦長の腕時計が震えだした。
バイブレーション機能があり定時刻になると震えだす機能となっている。
「ヘリオポリス侵攻作戦開始時間だ。
マン・マシーン部隊発進」
マン・マシーンパイロットは、2重になっているヘルメットを確かめつつ各々の機体へ飛び込んだ。
すでに核融合炉には、灯が入っている。
ドゴス・ギアは、ユーピテルを71機搭載しガンダムサイガー1機搭載している。
ユーピテルは、ハービック社が大量生産を見込んで開発したマン・マシーンである。
そのため最低限の火力しか備えていない。
ただし高い操縦性と整備性を備えているためコストパフォーマンスは、かなり高い。
一方ガンダムサイガーは、大火力を有しておりさらに換装能力も有している。
この換装パーツは、補給用部品くらいの大きさであるため「場所を取る」という問題を抱えていない。
さらに人工知能「ALICE」の補助もあり自分の技量以上の結果を出せる。
ただし高コストゆえに量産には、不向きである。
サオトメ少佐の第2中隊とシグマン大尉の第3中隊がユーピテルで出撃した。
サオトメ少佐とシグマン大尉は、何かあったときのために艦内待機していた。
中隊長機を先頭にヘリオポリスを目指した。
※
ヘリオポリス内コントロール室では、オペレーターがあわてた表情で状況に対応している。
「こちらヘリオポリス。
接近中のコロニー艦、応答願います。
コロニー艦、応答願います」
しかしコロニー軍の艦隊は、侵攻を止めない。
項を煮やした総責任者がオペレーターから通信機を奪うとコロニー艦に呼びかけた。
「接近中のコロニー艦に通告する。
貴艦の行動は、条約に大きく違反した行為である。
直ちに停船されたし。
コロニー艦、直ちに停船されたし」
コロニー軍の艦隊は、ニュートロンジャマーを散布した。
これによる電波障害は、ヘリオポリスでも観測できた。
「強力な電波干渉をコロニー艦より発信されています。
これは、明らかに戦闘行為です」
ヘリオポリス内コントロール室の誰もが戦慄を感じた。
※
地球連合軍艦の中も騒がしくなっている。
フラガ大尉は、パイロットスーツで状況を聞いた。
「3隻だ。
ドゴス・ギア級1隻、ロンバルディア級1隻にアレキサンドリア級1隻だ。
電波障害の直前にマン・マシーンの発進を確認した」
フラガ大尉が考えた事態になってしまった。
「出撃は、俺とクルーゼとルースとゲイリーで十分だ。
オロールとマシューは、ヘリオポリス内に侵入したマン・マシーンを頼む」
2人は、モビルスーツデッキへ急いだ。
その途中でフラガ大尉が話しかけてきた。
しかしクルーゼ少佐は、声を被せた。
「君の言いたいことは、わかる。
おそらくアツシ・サオトメだろう。
最悪な事態になってしまった」
アツシ・サオトメの戦果といえば「ルナツー攻防戦」である。
これは地球連合軍がラウ・ル・クルーゼ、ムウ・ラ・フラガやミハイル・コーストといった凄腕パイロット部隊でコロニー軍の宇宙要塞のルナツー基地に侵攻した。
しかし1機のマン・マシーンによって部隊は、全滅した。
そのマン・マシーンは次々にエースパイロット駆るモビルスーツ、モビルアーマー及び艦隊を10分で全滅させた。
前述で述べた彼らは、辛くも生き延びた。
これがアツシ・サオトメ伝説である。
※
アークエンジェルのブリッジにも情報は、伝わっており士官の焦りの色は隠せない。
「艦長」
士官の1人がマリュー・ラミアス艦長に頼った。
「あわてないで。
迂闊にさわげば、向こうの思う壺よ。
対応は、ヘリオポリスに任せます」
幾多の修羅場を経験しての判断だろう。
士官たちは、アークエンジェル発進のための準備を急いだ。
ラミアス艦長に通信が入ったらしい。
「わかっているわ。
いざというときは、友軍を見捨ててでも艦は守ります」
そこまでして守らねばならない戦艦だと考えると搭載機は、「ガンダム」だろう。
「ミゲル中尉を呼び出して。
『G』の搬送を開始させて」
2人の士官が敬礼をした。
にしてもこの士官も若い。
地球軍も熟練者を失いこういう若者を使わざるおえない状況に追い詰められていた。
しかしそれは、コロニー軍にも言えることだが。
※
クルーゼ少佐は、自分のモビルスーツ「シグーハイマニューバ」へと乗り込んだ。
フラガ大尉は、自分のモビルアーマー「メビウス・ゼロ」へと乗り込んだ。
コロニー外では、すでに戦闘が始まっていた。
ヘリオポリス防衛モビルアーマー「ミストラル」が対応しているが、まったく歯が立たない。
シグー、 メビウス・ゼロ、メビウス部隊、ジン部隊と地球連合軍の艦と入れ違いにユーピテル1中隊の侵入を許した。
※
ヘリオポリス管理局では、さらにあわただしくなっていた。
「コロニー軍マン・マシーン12機、第7エリアに侵入」
※
外ではユーピテル部隊がミストラル多数、シグー、 メビウス・ゼロ、メビウス部隊、ジン部隊を圧倒していた。
このときのユーピテルは、120mmマシンガンを装備していた。
これは、コロニー周辺部での戦闘を想定した武装である。
実弾武装は、コロニー近くでの戦闘にも対応可能な汎用性を持つ。
メビウス・ゼロが最大の特徴である有線式ガンバレルを展開した。
これは、有線誘導による遠隔操作を行うことが可能で母機から離れた位置に射出し敵の予想し得ない方向から攻撃を加えることができるものである。
しかしユーピテルは、ちょこまかと動き攻撃をかわした。
1機のジンが深追いした。
「ゲイル」
ゲイルは、フラガ大尉の制止を振り切ってユーピテルを追った。
しかしジンとユーピテルの性能差は、歴然でだった。
ゲイルは、ユーピテルを追っていると不意に見失った。
その直後に目の前に現れた。
ゲイルは、悲鳴を上げるまもなくビームサーベルの餌食になった。
「やはり性能が違いすぎるか」
パイロット達に戦慄が走った。
※
ミゲル中尉の元にあわてた士官が1人やってきた。
「コロニー軍のマン・マシーンの侵入を許しました。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第1話 偽りの平和 作家名:久世秀一