図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい
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郁はチビリチビリとレモンハイを舐めながら、遙と楽しそうに話していた
遙は元々お酒に弱い為、ウーロン茶を飲みながら「郁ちゃん」と話しかけコロコロ表情豊かに話している
柴崎は相変わらず隆に「彼女は?」やら家族構成、両親の仕事内容などを質問していた
隆は適当に・・嘘にならない程度に答え、受け流していた
既に店内に入ってから1時間が経過しようとしたとき、堂上達が入ってきた
「すまん。遅れた」
「ごめんね。笠原さん」
「お前・・酒飲んでるのか?」
堂上、小牧、手塚と堂上班が勢ぞろいし、各々席に腰かけた
隆は堂上にドリンクメニューを渡しながら、「お疲れ様です」と声を掛けた
小牧、手塚は隆達とは初対面になる為、本日三回目の自己紹介を簡単に済まし、グラスを掲げた
「隆くんね。堂上達から話しを聞いたよ。すごいね。家族ぐるみで格闘一家って」
クスクス笑いながら、兄妹喧嘩とか怖そうだなぁーと言っている
「格闘一家って・・・どんだけ飛躍してるんですか?別に武術を習得しているだけですよ」
隆は眉間に皺を寄せ、小牧に突っ込みを入れる
ごめんごめんと笑いながら、やんわりと小牧に言われ「お前は余計なこと話すな!」と堂上に一喝される
堂上達が来てから大人しくなった柴崎をチラリと見ると
手塚と二人で何やコソコソと話しているようだった
手塚はチラチラと隆の方を見ながら、顔を青くしたり、赤くしたりと忙しそうだ・・・
隆は郁達の方を見ると、郁は目をトロンとさせ顔を赤くし、半分壁に寄りかかりながら遙と話している
おいおい・・呑ませ過ぎじゃないのか?
隆は手元にあった水を郁に渡そうとすると、堂上が「おい!笠原!」と声を掛けた
「どーじょーきょうーかん?」と舌っ足らずに呼び、「えへへ。笠原酔ってませんよ?」と答える
隆は堂上に水を渡し、「笠原さん・・そんなに呑んでないハズですが・・」と付け加えると
「アイツはチューハイ2杯で寝落ちするんだ・・」たくっ!と言い郁に水を渡す
あー酒に弱いのは家系なのか?
遙もアルコールは弱く、郁と同じぐらいの量で寝落ちする
普段、学内の飲み会でもお酒には手を出さないと話していた
寝落ち寸前の郁を遙は見つめ、「郁ちゃん可愛い・・・」ほーと息を吐き、郁の頭をポンポンと撫でる
堂上は眉間に皺を寄せ、ムスッとしていると、「堂上、妬かないでよ」とケラケラ笑いながら小牧は言う
「なっ・・」と一言発した後、仏頂面になりグビっとビールを飲み干した
隆は堂上と小牧のやり取りを見ながらグラスを傾け、時折郁と遙を見る
うん、やっぱり曽祖父寄りの顔立ちなんだな・・遙は・・
俺は曽祖母寄りって母さんが話してたけど・・・どうなんだろう?
と、肩肘を付き頬に手を当てて遙を眺めていた
「どうした?兄貴?」と遙に声を掛けられ、我に返る
隆は「いや何でもない」と答え、氷が溶けてしまった焼酎を飲み干す
次は何呑むかなぁーとドリンクメニューに手を掛けると、
先程まで大人しかった柴崎が二コリと笑い、隆に話しかける
「本田兄は笠原に似てるのね」
「ハァー!?」
素っ頓狂な声をあげると、「ちなみに本田妹は堂上教官に似てるかしら?」
「「ハァー!?」」
今度は堂上とハモリ声を上げる
「表情だったり雰囲気が似てるのよ。見に纏ってるオーラっていうのかしら?」
似てるわ!と堂上と隆に交互に ビシ!を指を刺す
手塚は「すみません。堂上二正・・俺にはコイツを止められません・・」と項垂れていた
小牧は「うーん」と郁と隆を見比べ「そうかな?」と首を傾げる
「柴崎・・お前呑み過ぎじゃないのか?」と堂上は柴崎を注意すると
「こんな程度で酔い潰れる柴崎朝子様じゃありませんわ」と胸を張って言いきる
ああ、似てるさ。そりゃそうだ!同じDNAが流れてんだ。何が悪い!
と開き直って言える訳でもなく・・・
隆は眉間に皺を寄せ、もう一度深い溜め息を吐く
ゴツン!と音が鳴った方へ視線を流すと、郁が机に突っ伏してスヤスヤ寝ていた
そして・・・郁の背中にピッタリと頭を寄せ、遙も撃沈していた・・
「おい!遙?」
隆は立ち上がり、斜め前に座る妹の肩を叩くが、「うーん」と唸り起きようとしない。
遙の手に握られていたのは、郁が呑んでいたチューハイだ
「アホか!勝手に呑んだのか!」
と怒鳴りつけても、既に夢の住人となった遙からは返事がない
「今日はこの辺でお開きにしようか?」と小牧が席を立ちあがり伝票を持って行く
「あ・・会計・・」と隆が声を掛けると、「いいよ。大丈夫だから」と小牧はコートを羽織って出て行った
柴崎は「ご馳走様でぇーす」と答え、手塚は「小牧一正、ご馳走様でした」と礼義正しくお辞儀する
隆と堂上は、寝落ちした遙と郁を背負い、店の外に出た
作品名:図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい 作家名:jyoshico