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図書館戦争 堂郁 あなたに逢いたい

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店の外に出ると、小牧は「俺ちょっと実家に寄るから」と堂上に伝え別れた
手塚と柴崎は「呑み足りないので、もう一軒寄っていきまぁーす」
「おい!柴崎!笠原どうするんだ?」
「寮監に話し通しますので、いつも通り運んでください」と答え手塚と共に闇に消えた

「宿泊場所は近いのか?」
堂上に歩きながら聞かれ「はい。駅近くのビジネスホテルを取っています」と答えた
「それじゃ歩くのは大変じゃないか?」
タクシーを拾うか?
「いいえ。大丈夫です。そんなヤワは鍛え方はしてませんから」と答える

ポツリポツリと会話を続けていると、堂上に背負われた郁が寝言を言い出した
「・・どーじょーきょーかん・・」
堂上は溜め息をひとつ吐き「すまんな。笠原は寝落ちすると寝言を言うんだ」気にしないでくれと言う
隆はクスっと笑い「妹も寝言言いますよ。しかも会話が成立します」と笑うと、堂上は少し驚いた表情になった
あれ?何か可笑しなこと言ったか?
隆は首を傾げ、堂上を見ると、「・・・笠原もな・・会話が出来るんだ・・記憶はないみたいだが」と答えた

基地近くの公園に近づくと、「ちょっと寄っていいか?」と声を掛けられた
隆はコクリと頷き、堂上の後を追った
自販機近くのベンチに郁と遙を降ろし、寒くないようにコートを掛ける
堂上が缶コーヒーを二つ購入し、ひとつを隆に渡す
「ありがとうございます」と礼をし、暖かいコーヒーを口に含む

ほーと息を吐くと、堂上はチラリと隆を見た
「・・・柴崎の話しだが・・実は俺もお前と笠原が似ている気がしてたんだ」
遠い親戚なのか?と考え始める
「・・・他人の空似ってヤツですよ」
気にしない方がいいのでは?と返事を返す


「少し・・・話しをしてもいいですか?」
隆は堂上に促すと、「ああ」と答え空いている席に座った

「俺の母方は、昼食時にも話しましたが、武術を習得してまして・・・
 どうやら発端は曽祖父母の代からみたいです」
コーヒーをコクリと飲み、話しを続けた
「俺は逢ったことありませんが、曽祖父母は戦闘職種だったみたいで
 その影響で護身術感覚で武術の習得が始まったらしいです」
”らしい”というのは、今やハッキリと理由が分からないからだ

「とても仲が良く、万年バカップル夫婦だったと、以前祖母が話してました」
なんだか羨ましいです。と隆は笑いながら話しを続ける

「二人の出会いは、一冊の本だったそうです
 ・・・詳しい状況は知りませんが、曽祖父が守った本で、宝物のように扱っていたと聞いています」
「・・・・・」
「曽祖母は、ハーブティーが好きで、良くカモミールティを呑んでいたと聞きました」
「・・・カミツレか?」
隆はコクリと頷く
「図書隊のマークですよね?カミツレって。奇遇ですね」
「・・・・・」
「曽祖母は・・・女性としては背丈があり、自分が女らしくないって愚痴っていたそうです
 本当は可愛いものとか、ぬいぐるみも好きだったみたいですが、”似合わないから”と言って
 曽祖父を困らせていたみたいですよ」
クスクスっと笑い、堂上の顔を見る
「堂上さん、俺は曽祖父母に逢えたら、是非言いたいことがあったんです」
何だと思いますか?と隆は堂上に聞く
「・・・そんなこと俺が知るか」堂上は眉間に皺を寄せ、隆を少し見上げる
クスッと笑い、実はですね・・と話しを続けた

「『二人が守った本は、子々孫々に至るまで読まれ続けている』」
「・・・・・」
「俺も幼い頃、母に読み聞かせをされてまして、でも、ついこの間まで忘れてたんですが」
隆は頭をガシガシ掻きながら、話しを続けた
「もう一度読み返すと、心が温かくなる話で、なんだか曽祖父母の気持ちが込められている気がするんです」
「・・・タイトルは分からないのか?」
「・・・何分、古い本で、所々表紙が破損していて・・・ちゃんと修繕はしてあるんですが、文字が掠れてまして」
「いや・・俺も話を聞いて興味を持っただけだ」
「あっ!でも、これだけは話せます。青い表紙の本です。童話です」
堂上は一言「そうか」と答え、横で寝ている郁を見て、前髪を払いながら隆に告げる
「・・・確認をしたい。お前の名前は本名か?」
何を言い出すのかと思えば、と呆気に囚われていると、「どうだ?」と催促された
「はい。本名ですよ」
堂上は分かったと伝え、「そろそろ行くか」と郁を背負い始めた
隆も遙を背負い、それぞれ帰路に着いた