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【デジ無印 番外】 危機

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脱兎のごとく逃げるゲコモンとオタマモン。四人の子供とデジモンたちは、目の前に現れたおぞましい物体を仰ぎ見ていた。
「こいつが、太一たちをさらっていったの?」
「はい。きっとこいつが突然現れた新種デジモンだと思います。」
「何こいつぅ?恐い!」
「よし、みんな行くぞ!」
「おう!」
「ゴマモン進化ぁあっ!イッカクモン!」
「ピヨモン進化ーー!バードラモン!」
「テントモン進化あぁぁ!カブテリモン!」
「パルモンしんかぁ!トゲモーン!」
「頼んだぞ、みんな!」
「わかった!  うわぁあっ!!?」
果敢に飛びかかった四体のデジモンは、向こうが腕をひと振りさせただけで吹き飛ばされた。
「くそっ、ハープーンバルカン!」
イッカクモンの角から放たれたミサイルは、簡単に弾かれてしまう。
「メガブラスター!」
「メテオウィング!」
「チクチクバンバン!」
みんな続けて必殺技を放つが、全く聞いている様子がない。反対に相手はまだ何も必殺技を使っていないのに、すでに圧倒的優勢に立っている。
「なんだこいつ。ケタ違いの強さじゃないか!」
「一体なんなの!?」
「ちょっと待ってください。今調べています。」
光子郎はデジモンアナライザーを開き、今目の前にいるデジモンについて調べた。そして出てきた検索結果は、正体不明だった。
「なんだって!?」
「どうしたのよ~?」
「こいつの正体がわからないんです!」
「それは一体どういうことなの!?」
「わかりません。デジモンアナライザーにも入っていないデジモン。それはもしかするとデジモンではないのかも知れません。」
「全くワケのわからないやつと、どうやって戦えって言うのよー!」
「わかりません。でも、完全体に進化することができればあるいはひょっとすると勝てるかもしれません。」
「でも、今は完全体に簡単にはなれないじゃないか!」
そう、八人の選ばれし子供たちはデジタルワールドを守護する力を解き放つため、自らの紋章の力を使った。その結果、デジタルワールドの歪みは真に正されたが、同時にデジモンたちは完全体への進化ができにくくなってしまったのである。
「でも、できなくなったわけではありません。」
「そうよ、きっと今は進化できるわ。信じましょう!」
四人の子供たちは願った。再び完全体への進化ができるように。しかし、進化は起こらない。
「ちくしょう。どうして進化できないんだ!」
「あぁっ!」
「バードラモン!」
「ギャー!痛いーー!」
「トゲモン、頑張って!」
「このぉっ!うぉァっ!」
「カブテリモン!」
「うわあぁっ!」
「イッカクモン!」
次々と倒れゆくデジモンたち、しかし追撃の手は止まらない。しかしそこで意外なことが起こった。
口の中に炎が集まり、それを一気に吐き出してきた。炎は広範囲に広がり、あたりを火の海へと変える。
「今のは、ダークティラノモンのファイアブラスト!?」
今度は上に飛び上がり、体中から黒いハートを飛ばしてきた。
「あれは、ワルもんざえモンのハートブレイクアタック!」
ハートブレイクアタックをくらい、戦意を喪失したデジモンたちに追い討ちがかかる。手が高速回転を始め、それを振り下ろしエネルギー上の刃を飛ばしてきたのだ。
「アンドロモンのスパイラルソード・・・!」
そして、さらに驚くべき必殺技が飛び出してきた。突然胸部がメタル化し、開いたかと思うと、そこから巨大なミサイルが打ち出されたのだ。
「メタルグレイモンのギガデストロイヤー!」
さらに両手から爪が伸び、それで切り裂いてくる。
「ワーガルルモンのカイザーネイル!」
必殺技が出る度に、デジモンたちは傷ついていく。
「なんで、ほかのデジモンの必殺技が使えるの!?」
「まさかこいつ、アポカリモンみたいに全てのデジモンの必殺技が使えるんじゃ・・・?」
「わかりません。でもこのままでは負けてしまうのは明白です!」
「お願い。超進化をして!バードラモン!」
「イッカクモン!」
「カブテリモン!」
「トゲモーーーン!」
そして、奇跡は起こった。
「バードラモン、超進化ーーー!!」
「イッカクモン、超 進化ーー!!」
「カブテリモン、超進化ぁぁっ!!」
「トゲモン、超しんかーーーー!!」
「ガルダモン!」
「ズドモン!」
「アトラーカブテリモン!」
「リリモン!」
眩い光に包まれ、四体の完全体デジモンが現れた。
「やった。超進化できた!」
「よし、行けぇ!ズドモン!」
「ハンマースパーク!!」
「フラウカノン!!」
「シャドウウィング!!」
「ホーンバスター!!」
四体の一斉攻撃に、敵も少しよろめきを見せた。だが、まだ倒せてはいない。
「もう一度、一斉攻撃しましょ。」
「ガルダモン、オイラを持ち上げてあいつの上まで飛んでくれ。」
「わかった。」
これですべてのデジモンが空を飛んだことに。そしてズドモンを抱えたガルダモンが敵の真上まで来たときに
「よし今だ!落としてくれ!」
そしてガルダモンの腕からズドモンが落とされた。高所から落下の速度を加えたハンマースパークを放つ。
「トール・ハンマースパーク!」
「次はわての番や!」
アトラーカブテリモンは相手を串刺しにするホーンバスターに、突進の威力を加える。
「ジェット・ホーンバスター!」
「リリモン、タイミングを合わせましょう。」
「わかったわ。行きましょ。せーの!」
同時に放ったシャドウウィングとフラウカノンは、空中で合体し一つの必殺技となった。
「ウィングカノン!」
必殺技は全て敵の頭部に命中した。
「やったのか!?」
だが、倒せてはいなかった。敵は起き上がり、その強大なパワーと数々のデジモンの必殺技を繰り出し、圧倒してきた。その力の前に、完全体といえども為す術はなかった。
「なんてことだ。完全体でも勝てないなんて。」
「完全体でも勝てないということは、究極体?」
「どうやら、そのようです。」
「そんな!あたしたちだけじゃあんな究極体に叶うはずないじゃない!」
もし、この場に究極体であるウォーグレイモンとメタルガルルモンがいてくれたら。せめて闇の力に対して強い対抗力を発揮するエンジェウーモンやホーリーエンジェモンがいてくれたら。この戦局を覆せるかも知れない。だが、今はいない。この、目の前にそびえ立っている謎の新種デジモンの手によって倒されたせいで。
「もう、ダメなのか?」
「そんなのイヤ!」
「諦めてはダメよ。」
「そうです。きっと何か他に手があるはずです。」
だが、そんな希望を打ち砕く事態が発生する。
敵が両手を上に掲げた。するとその中に大きな気の球が現れた。
「ガイア・・・フォース?」
「みんな避けて!」
かろうじてかわす。だがそれで終わりではない。
体を大きく仰け反らせ、口を閉じる。そこから青白い光が漏れていた。
「コキュートスブレス?」
まだ終わらなかった。なんとエンジェウーモンのホーリーアロー、エンジェモンのヘブンズナックルまで使ってきたのである。その様子を見ていた光子郎は、ある仮説にたどり着いた。だが、それはとても信じられない、いや、とても信じたくないものだった。
「こいつ・・・・まさか・・・」
「どうしたの?光子郎君。」