Muv-Luv A Lost Human ~消えたはずの男~
「鎧衣か。ということは・・・今日はB分隊のやつらか?」
「へへっ、そーなんですよ~」
「こら、鎧衣、私は上官だぞ?」
ウォルムスはそう言いながら鎧衣を叱る。
「ごめんなさ~い♪って、教官の隣の方は?」
「ああ、彼女は今日からこっちに配属になった帝国軍技術廟の篁大尉だ」
「篁大尉って・・・!MS-09-2の開発者ですね?」
「そうだな。あぁ、彼女は私と同じく教官の神宮寺まりも軍曹だ」
「よろしくね?篁大尉」
「は、はぁ・・・」
それから、唯依はウォルムスにB分隊の面々の自己紹介をしてもらう。
煌武院帝の双子の妹の御剣冥夜。
日本首相の娘、榊千鶴。
光州作戦に参加していた彩峰中将の娘、彩峰慧。
国連事務次官の娘、珠瀬壬姫。
情報省外部二科課長の娘、鎧衣美琴。
そして彼女らの教官、神宮寺まりも。
唯依はそろそろ切り替えないと、と決意したのであった。
その時、ウォルムスがふと気がついた。
「そういえば、白銀はどうした?」
「え?白銀くんは・・・あれ?」
「シュミレーター室を出るところまで一緒にいたのにね~?」
「う~ん・・・・・」
「(・・・ははぁ)」
ウォルムスはなぜいないのか理解したようで、
「すまない、先に失礼する」
先に食事を済ませ、PXより退出するウォルムス。
「はぁ~あ。また教官と食事できなかったなぁ・・・」
「仕方ないよ・・・教官もいそがしいんだもん」
「・・・・・」
「あれ?冥夜ちゃん、そっけないね~?」
「べ、別に・・・そうでは・・・ない・・・」
「・・・・・?」
「はぁ・・・全く・・・」
それぞれがバラバラの反応をしているB分隊の面々であった・・・・・
MSハンガー
一人の男、白銀武は自分の乗機であるMS-09-2、ドムⅡの整備をしていた。
「そんなに私が気に入らないか?」
「ッ!!!」
白銀が振り向くと壁に寄りかかったウォルムスがそこにいた。
「なんだ?御剣を私にとられたくないからか?」
「ッーー!!!てめぇッ!!!」
白銀はウォルムスに殴りかかる。
しかし、その拳はいとも容易く掴みとられた。
「・・・・・」
「なぜそうやって私を毛嫌いする・・・?それに私は求められんと何もせん」
「・・・・・」
「夕呼は・・・優しいしな」
「・・・・・くそッ!」
そう言い放ち、白銀は逃げるようにそこから去っていった。
「さて、そろそろやらせてもいいだろうな・・・・・」
ウォルムスは何か、含みを持たせたような口調でそう語った。
「・・・で、そこでなにをしている?クリスカ、イーニァ?」
「「!!」」
物陰に隠れ、見つからないと思ったのだろうか。
「ね?だから言ったでしょ?クリスカ?」
「う・・・ううう~」
クリスカは声にならないうめき声をあげている。
地味に涙目になっているからいつもクールな彼女とのギャップ差で可愛らしい。
それよりも・・・・・
「ウォルム~!」
それはもう満面の笑顔でウォルムスに抱きつくイーニァ。
「ははは。イーニァは可愛いな」
頭をナデナデしながら褒める。
「ありがと、ウォルム~///」
イーニァはかなり照れている。
そしてクリスカは・・・・・
「ううううう~・・・」
羨ましげに二人を見ていた・・・
2001.3.3
「B分隊、集合!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
神宮寺軍曹が集合をかけ、総員、集合する。
「これより、実機訓練を行う。使用する機体はMS-09-2だ」
「「「「「「・・・・・」」」」」」
「第一目標、敵ターゲットの殲滅、第二目標、敵拠点への到達。諸君らの活躍に期待する」
「「「「「「了解ッ!」」」」」」
「(さて・・・サザビーの準備を急がせるか・・・)」
一番機、榊
「よし、十文字隊型での殲滅作戦でいくわよ!」
二番機、御剣
「二番機、了解」
三番機、白銀
「三番機、了解だ」
四番機、珠瀬
「後方支援は任せなさい♪」
五番機、彩峰
「こちら五番機、援護支援する」
六番機、鎧衣
「六番機、先行するよ?」
『よし、ミッション・スタート!』