遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅰ
塵山はカードを引き、既にやる事が決まっているかのように、手札からスクラップ・キマイラを取る。
「俺はスクラップ・キマイラ(レベル4、効果、獣族、攻撃力1700、守備力500)を召喚!!」
屑鉄の塵の中から様々な塵が固まりとなり、キマイラの名にふさわしいライオンの顔、蛇の尻尾、鷲の翼を模した奇怪な塵の獣が現れる。
「スクラップ・キマイラのモンスター効果!スクラップ・キマイラの召喚に成功したとき!!墓地のスクラップと名の付いたチューナーモンスター一体を特殊召喚する事が出来るのさ!!」
「なんだと!!?」
オレの中に焦りが生まれ冷や汗が垂れる。しかし塵山は止まらずにキマイラの隣を指差した。
「俺は!スクラップ・ビーストを特殊召喚!!」
再び、塵が固まって犬のような塊となり、姿を現す。
「俺は!レベル4、スクラップ・キマイラにレベル4!スクラップ・ビーストをチューニング!!」
スクラップ・ビーストがレベルを現す4つの光の輪に分解され、スクラップ・キマイラがそこへ飛び込み光となる。
「塵の中より大いなる恐怖よ出でよ!!シンクロ召喚!!」
光の中から巨大な塵の塊がフィールドへと降り注ぎ巨大な山となる。
「現われろ!スクラップ・ドラゴン(レベル8、シンクロ・効果、ドラゴン族、攻撃力、2800守備力2000)!!」
塵山の掛け声に反応するかのように、塵の山を突き破り、巨大な二枚翼が外へと広がり龍の物と思われる頭がゆっくりと立ち上がり、赤い朧気な命の光を宿す。
「……大きい…」
それは、大きく、汚なく、そして穢れて尽くされていた。
「オレは!カードを一枚伏せて!スクラップ・ドラゴンの効果発動するぜ!!」
途端に塵山の伏せたカードをスクラップ・ドラゴンの巨大な口が捕食し、飲み込む。
「スクラップ・ドラゴンの効果は!1ターンに一度!自分フィールド上のカードを選択して破壊することで!お前のフィールド上のカードを破壊することが出来るのさ!!」
「…何!!?」
俺は自分のフィールドに目を配る、自分のフィールドには通常モンスターのジェムナイト・ガネットが一枚。それと魔法・罠ゾーンの伏せカードが二枚あった。
「俺は!右側の伏せカードを破壊!!【ダーティ・ストリーム!!】」
スクラップ・ドラゴンの巨大な二枚翼が大きく開き、その翼から自らが捕食して塵の仲間にした破片を飛ばし、俺の左側のフィールドに伏せられた罠カード、聖なるバリア・ミラーフォースを貫いて破壊する。
「くっ…ミラーフォースが!」
爆風を浴びながらも両足を踏張って倒れるのも我慢し、塵山を睨む
「はははっ!そうか!ミラーフォースかぁ…残念だったなあ…此れでテメェを守る物は何もねえ!!バトル!!」
バトルの掛け声にスクラップ・ドラゴンは反応し、首を振り上げる。
「スクラップ・ドラゴンで!ジェムナイト・ガネットに攻撃!!【穢れのストリームショット】!!」
スクラップ・ドラゴンは口の中に高濃度の放射線を吸収して光りとし、俺の場にいたジェムナイト・ガネットに吐き出した。
「消し飛びなー!!…ジェムナイト・ガネット!!」
叫ぶ塵山に俺は笑いかける。しかし、これは俺にとって、圧倒的な不利といえる状況ではない…寧ろ予想通りだったのだ。
「な!なんだテメェ!なんか文句あんのか!!」
塵山が怒鳴ると、俺が笑っているのが理解出来る。
「いや?…貴様のはしゃぐ姿が滑稽でならなかったからな…」
そして俺は、手札から一枚を抜き取る。
「このダメージステップ!俺は手札から!ジェム・マーチャント(レベル3、効果、魔法使い族、攻撃力1000、守備力1000)を墓地に送る!!」
「なに!…ダメージステップにモンスターの効果!?」
塵山は冷や汗を流して動揺を露骨に現す。
「ジェム・マーチャントを墓地に送ることで!。自分フィールド上に存在する、地属性、通常モンスター1体の攻撃力・守備力を!このターンのエンドフェイズまで1000ポイントUPさせる事が出来るのさ!!つまりガネットの攻撃力は2900!!」
「に!…2900!!?」
動揺する塵山を視線の端に寄せ、俺は目の前で放射線の光りに消えようとしていたガネットに目を向ける。
「さあ!ガネットよ!!マーチャントの力を受け!その穢れたドラゴンを粉々に粉砕してやれ!」
ガネットの背後に魔法使いの帽子を被った長マルの水晶体が現れる。これがマーチャントである、マーチャントは手にした小さな杖をガネットに向けて光りの粒を飛ばす。光りの粒を受けたガネットは、柘榴石本来の輝きを取り戻し、顔前に迫った放射線の光を右腕で振り払い、一気に間合いを詰めてその左手に炎を宿す。
「行け!ジェムナイト・ガネット!!【鋼鉄粉砕拳】!!」
炎を宿す拳より繰り出される乱打が、スクラップ・ドラゴンの身体を粉々に粉砕し爆発させる。
「ぐわあああ!!」(3800〜3700)
爆風によりライフポイントを削り取られた塵山は、怒りでその瞳を燃やす。
「テメェ!調子に乗ってんじゃねえぞ!!!!」
怒り心頭を現した塵山はジタンダを踏みしめて、露骨な怒りを表した。
「俺は!スクラップ・ドラゴンの第二の効果を発動するぜ!」
「第二の効果!?…」
俺は初めて、この決闘に焦りのような物が現われるのが分かった…早く決めなければ……。
「スクラップ・ドラゴンは相手によって破壊され墓地に送られた時!墓地からシンクロモンスター以外のスクラップと名の付いたを特殊召喚出来る!!俺は!スクラップ・ゴブリンを守備表示で特殊召喚!!…カードを一枚伏せて、ターンエンド」
「あの布陣…まさかまたスクラップ・スコール!?」
観戦していた海里が風香に擦り寄ると、風香は小さく頷く。
「だろーねぇ…でも大変…なんか嫌〜な予感がピリピリするよ〜?」
風香は爪を噛みながらそう呑気な口調でもらした。
「俺のターン!!ドロー!!」
俺は引いたカードを見る、それは…このデッキの真の力を引き出すカードであった。
「俺は手札から!ジェムナイト・フュージョンを発動!!」
「ジェムナイト・フュージョン?…まさか、あのデッキは…融合デッキだとでも言うのか!!?」
驚き、顔色を敗北の可能性で曇らせ青く染めた塵山。
「手札のジェムナイト・サフィア(レベル4、通常、水族、攻撃力0、守備力2100)と!フィールドのジェムナイト・ガネットを融合!!」
フィールドのガネットが元の柘榴石に戻り、手札から蒼玉石がフィールドに転がり、2つが重なって光りを撒き散らし、ガネットやサフィアとは違い、研磨をかけられ太陽の灯を受けて美しい命の炎のような輝きを放つ赤い宝石【紅玉】が現れる。
「現れろ!!ジェムナイト・ルビーズ!!(レベル6、融合・効果、炎族、攻撃力2500、守備力1300)」
ルビーズと呼ばれた宝石は、光り輝いて人型となり、美しい紅玉色の鎧に群青色のマントを召した。上級騎士が姿を現す。
「バトル!!ジェムナイト・ルビーズでスクラップ・ゴブリンを攻撃!!【バーニング・エンド】!!」
作品名:遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅰ 作家名:黒兎