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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅰ

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ジェムナイト・ルビーズは手にした杖を天に掲げれば、太陽光線は刃となり、杖の先端に矛先を与え、光の槍となる。

「馬鹿が!!スクラップ・ゴブリンの効果はバトルフェイズでは破壊されない!!忘れたのか!?」

「それでいい…」

俺は一言もらして笑みを浮かべれば、塵山はギョッと眼を見開く。

「まさか!!貫通効果かっ!!」

「そう!ジェムナイト・ルビーズの攻撃力が、相手の守備力を上回っていたとき!その分の戦闘ダメージを相手に与える!!スクラップ・ゴブリンの守備力は500!つまり貴様に2000ポイントのダメージだ!!」

スクラップ・ゴブリンを貫いた光が、真っ直ぐに塵山の屈強な胸板を貫いた。


「ぐわああああっ!!!」(3700〜1700)

ライフが削り取られた塵山は、今にも崩れそうに足をもつれさせる…が、すぐに立て直す。

「速攻魔法!!スクラップ・スコールを発動!!俺はスクラップ・ゴブリンを指定し、デッキから!スクラップ・ソルジャー(レベル5、チューナー・効果、戦士族、攻撃力2100、守備力700)を墓地に捨て!ドロー!」

ドローしたカードを見た塵山は不気味な笑みを浮かべた。

「スクラップ・ゴブリンを破壊!」

スクラップ・ゴブリンが爆発し、一枚のカードを墓地からサルベージする。

「墓地に行ったスクラップ・ゴブリンの効果で、スクラップ・キマイラを手札に加える!さあ!メインフェイズ2をやりやがれ!!」

勝ちを確信したかのように、彼は声を張り上げた。

「く…ターンエンドだ…」

オレにはそれしか出来なかった、俺の手札は三枚、通常モンスターであるジェムナイト・ルマリン、死者蘇生、そして罠カードの輝石融合(アッセンブル・フュージョン)。そしてフィールドには攻撃力2500のジェムナイト・ルビーズと、伏せられている罠カードがある。

「俺のターン!!ドロー!!」

塵山はカードをドローし、最早ドローしたカードなど見てもいない。

「俺はスクラップ・キマイラを召喚!」

再び現れる塵の合成生物は獅子のような咆哮を挙げてスクラップの山を掘り返す。

「スクラップ・キマイラの効果で!スクラップ・ソルジャーを特殊召喚だ!!見せてやるぜ…究極のスクラップを!!!」

「究極の…スクラップ…!?」

俺は冷や汗を垂らし、身体が震えだすのを覚えた…はったりではない事が分かる。

「俺は!レベル4スクラップ・キマイラに!!レベル5スクラップ・ソルジャーをチューニング!!」

スクラップ・ソルジャーが五つの光の輪となると、その中にスクラップ・キマイラが入り込む。

「知らぬものは耳を傾けい!!究極にして最凶の穢れを今ここに…シンクロ召喚!!!」

大量の塵の山が降り注ぎ、それはスクラップ・ドラゴンの時など比べ物に成らない程に強大な量だった。

「現れろ!!究極のスクラップ!!スクラップ・ツインドラゴン(レベル9、シンクロ・効果、攻撃力3000、守備力2200)!!」

現れたのは双頭の塵の龍、その堂々とした佇まいは、俺の心に相当な衝撃を与えてきた。

「攻撃力…3000」

「火力だけで驚かれちゃ困るぜ!!?俺はカードを一枚伏せ!スクラップ・ツイン・ドラゴンの効果を発動!!スクラップ・ツイン・ドラゴンは!自分フィールド上のカードを一枚破壊する事で、相手のフィールド上に存在する二枚のカードを手札に戻す!!」

「何!?」

俺はフィールドの二枚、ジェムナイト・ルビーズと罠カード、ジェム・エンハンスに目を向ける。

「く!二枚を戻され、3000もの特大ダメージを受けるわけにはいかない…」

「もう遅い!!【穢れのアシッド・バースト】!!」
双頭の塵の龍はかま首を擡げて朧な光を宿す瞳をこちらに向けると、口に貯まった汚染に満ちたガスを吹く。

「罠カード!ジェムエンハンス発動!!」

すかさず俺は罠カードを発動する。

「このカードは!フィールドに存在するジェムナイトと名の付くカードをリリースし!墓地に眠るジェムナイトと名の付くモンスターを特殊召喚出来る!!俺はジェムナイト・サフィア(レベル4、通常、水族、攻撃力0、守備力2100)を守備表示で特殊召喚!!」

「うまくサクリファイスエスケープした積もりだろうが…おめえに勝ち目はねえよ!!俺は手札から!魔法カード【地割れ】を発動!!ジェムナイト・サフィアを破壊!!」

「く!!サフィアー!!」

ジェムナイト・サフィアは地割れに飲み込まれて消えて無くなり、今度こそ俺のフィールドはがら空きとなる。

「バトル!!スクラップ・ツイン・ドラゴンでダイレクトアタック!!【ニュートロン・ツイン・ストリーム】!!」


まがまがしい核の光が瞬く間に俺へと迫る。

「う!ううあああっ!!!」(4000〜1000)

俺の身体が宙を舞い、地面と激突しても勢いが納まらずに転がり、漸く止まる。

「光輝ッ!!」

海里が飛び出して行こうとするが、その手を誰かが凄い力で掴んで止めた。

「だ!誰よ!!」

振り返った海里が見たものは、風香だった。風香はゆっくりと首を横に振る。

「…邪魔になるよ、そういうのよくない…」

風香は普段では絶対にしない厳しい瞳を海里に向ければ、普段勝ち気で悪女と呼ばれる海里でも…流石に生唾を飲み込む程の緊張で動けなくなる。

「わ…わかったわよっ」

海里は無理やり風香の手を振りほどき、その場に座り込んだ。

「ぐ……」

俺は身体中の痛みと苦しみを噛み締めるように立ち上がり、目の前の塵山を睨む。

「は!俺はカードを一枚伏せ!ターンエンドだ!!」

塵山は伏せたカードを見下ろし、ニヤニヤと笑う。

「(俺がフィールドに伏せたのは罠カード【デモンズチェーン】…このカードは、相手フィールド上の効果モンスターの効果を無効にし、攻撃や表示形式の変更も行わせなくなるカード…つまりは次、奴が召喚したエースモンスターの身動きを封殺し、返しのオレのターンでバウンス、そしてフィナーレだ)」


何度も伏せられたカードをチラチラ眺めながらにやける塵山を遠めから見ていた風香は、思わず噛んでいた爪を砕いてしまう。

「あ…」

風香はのんびりと砕けた爪から垂れる血液を眺める。

「ば!!馬鹿〜何してんのよ!!」

海里はハンカチを取り出して親指に包んで止血した。

「でもこの決闘、光輝が勝つだろうね〜」

「え?…でも攻撃力3000よ?」

海里の言葉に、風香は余裕のある笑みを浮かべた。

「ん?…攻撃力3000だからって勝てない訳じゃないよ…もう5通りぐらい倒す手段を思いついたけど…」

「そ…そんなに」

風香の顔色を伺う海里は、そんな風香にはったりが一切ない事を悟る。

「く…オレのターン!!」

立ち上がった俺はデッキにカードを置き、そこに揺るぎなき正義の心を込める。

「ドロー!!!」

光り輝く一枚のカードを引き抜く。

「これは…」

俺が引いたカード…それはっ

「俺は手札から死者蘇生を発動!!墓地のジェムナイト・ルビーズを攻撃表示で特殊召喚!!!」

「罠カード発動!!」

再び地面を砕いて現れたルビーズが、漆黒の鎖に巻き取られて身動きが取れなくなる。