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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅰ

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「ルビーズ!!」

「ひゃははは!!いいねその切り札を潰されたって顔!たまんねえよ!」

塵山は本当に俺を見下し、勝った気でいるようすだった。

「く…くくく…」

俺は思わず笑いだしてしまった。

「なんだ?負けそうになって気でも狂ったのかあ?」

楽しそうな塵山に、俺は首を横に振る。

「いや?貴様の早計な判断のお陰で助かったと思ってな!…」


「なっ、なに!?」

塵山は驚きと口を呆然と開ける。

「俺は!手札からジェムナイト・ルマリン(レベル4、通常、雷族、攻撃力1600守備力1800)を召喚!!」

「せ…1600?…そんなんで…」

「俺は手札から魔法カード!パーティカル・フュージョンを発動!このカードは、自分フィールドに存在するジェムナイトの融合素材となるモンスターを指定して墓地へ送り!融合召喚扱いとして特殊召喚することが出来るのさ!」

一見、フィールドのモンスターしか融合出来ないこのカードは、デメリットカードにしか思えない。

「俺はエクストラデッキから!ジェムナイト・パーズ(レベル6、融合・効果、雷族、攻撃力1800守備力1800)を特殊召喚!!」

地面の中から現れたのは研磨され美しい黄色の輝きを放つ黄玉(トパーズ)石、それは光り輝くと共に雷を纏う黄色の鎧を身に纏う騎士へと成り代わる。

「は!たかだか1800の雑魚モンスターに、俺のスクラップ・ツイン・ドラゴンは倒せないぜ!!」

「それはどうかな?…」

「何!?」

驚きに見開かれる、塵山の瞳、そして俺は確信する…勝った…と。

「ジェムナイト・パーズの特殊召喚に成功したこの瞬間!墓地の素材としたジェムナイト一体を選択し!パーティカル・フュージョンを除外することで!召喚されたジェムナイトの攻撃力は!選択されたジェムナイトの攻撃力分アップする」

「な!…」

「俺が選択するのはジェムナイト・ルビーズ!!、ジェムナイト・パーズに!ルビーズの攻撃力2500を付与する!!(1800+2500=4300)」

ジェムナイト・パーズの身体にルビーズの命を宿した紅玉が合わさりコアとなることで、パーズが巨大化していく。

「こ…攻撃力4300!?」

「パーズを雑魚と侮ったその愚かさを恥じるがいい!バトル!!ジェムナイト・パーズで!スクラップ・ツイン・ドラゴンに攻撃!!」

指示を受けたジェムナイト・パーズは、身軽で軽快な動きでスクラップ・ツイン・ドラゴンとの間合いを詰める。


「【瞬雷連斬】!!」

両腰に設けられた二刀一対の刀を引き抜き、雷撃が如き動きでスクラップ・ツイン・ドラゴンの巨大な身体を切り刻み、爆風を撒き散らす。

「う!!うわあああっ!!」(1700〜400)

塵山は何とか踏ん張り、にやける。

「はは!惜しかったな!!まだ俺は倒されちゃいないぜ!!そしてスクラップ・ツイン・ドラゴンも!スクラップ・ドラゴン同様に効果があるんだ!!」

「その必要はない…」

「何!?」

俺の言葉に塵山は、いかにも不服そうな声で叫ぶ。

「ジェムナイト・パーズが戦闘で相手を破壊した場合…そのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える…つまりは貴様に…3000ポイントのダメージだ!!」

幻影のように現れたスクラップ・ツイン・ドラゴンが、塵山の上に倒れこむ。


「ひ!!ひ!ひ!ひああああ!!!」(400〜0)

塵山の頭上に敗けの表示が踊り、決闘フィールドが消えてゆく。

「さあ!罰ゲーム!!ジェムナイト・パーズよ!!その悪しき者共の穢れを切り裂け!!!」

グラフィックの筈のジェムナイト・パーズは、小さく頷いて塵山と間合いを詰めて切り刻む。

「ぐああああっ!!!」

塵山は倒れ、その身体から力が抜けてゆく。

「これから貴様は罪を償うのさ…取り上げたデッキを全て帰すことだな…」

「は……はい」

魂の抜けた人形のように、塵山はうなずくと、僕の中から怒りは消えていき、僕は最初にバラけて散らばった武のデッキを掻き集め、観戦していた風香の方へ向かう。

「光輝〜!!ありがとう〜!!」

武は泣きながら飛び掛かって来たが、僕にそんな趣味はない。

「ほら!もう気をつけるんだよ?」

「ああ、ああ!気をつけるよ!!」

武はデッキを胸に抱えたまま家路に帰って行った。

「全く〜ヒヤヒヤさせんじゃないわよ!!」

海里が僕の背中をおもいっきりひっぱたいてきて、僕は余りの痛みに仰け反り、しゃがみこんでしまう。

「いてえな!!なにすんだよっ!!」

怒鳴る僕だが、海里はギロリと睨んでくると、僕は引いてしまいそうになる。

「なんか〜いつもギリギリな決闘するよね〜光輝はさ〜」

風香は腕を頭の後ろに回して呑気に歩み寄ってくる。
「悪いかよ」

僕はそういうと、風香は八重歯を出して笑う。

「にゃはは、見てる方が疲れちゃうからさ〜海里なんて〜」

「ちょっと風香っ!」

海里は慌てた様子で風香の口を塞ぐ。

「はあ…」

再び、塵山に目を向ければ…塵山は…。

「…お前達!盗んだカードを皆に返すんだ!」

そこには先程の塵山とは別人の塵山がいた…これは僕の能力の一つである。

僕には生れ付き、人の心が宝石の形にして見れる不思議な力がある…。

こうして見る事で、心の汚れを見つけ、それを決闘する事で浄化する…そんな役割を行う事になった。

心が汚れた人間は、悪に手を染める。それを未然に防ぎ、そして構成する…その為のジェムナイトデッキである。ジェムナイトデッキは僕の父と母の営むジェムナイト宝石店から、父が持って来てくれた大切なデッキなのだ…このデッキにも不思議な力が宿っており、悪の決闘に対し、普段の僕では到底あり得ないデュエルタクティクスを生み出してくれるのだ。

「光輝〜?」

僕が物思いに耽っていると、風香が顔を寄せて来るので僕は慌てて飛び退いた。

「ぬわわ!!なんだよ」

「んや?変な顔してたからさ〜にゃははっ!」

可愛い奴めッ!!僕は風香の頭をグリグリと腕で掴んで髪をぐしゃぐしゃにする。

「あーうー!お触りはだめだよ〜」

嫌がってる割には顔が笑顔だぜ欲しがり屋さんが!!等と心の中で絶叫していると、其処へ洋助が飛び込んで来る。

「こんな所にいたのか!!」

洋助は大分疲労しているらしく、息を荒げ汗を垂らしていた。

「汗臭…」

「こら海里!」

「大丈夫〜?」

普段なら怒るであろう洋助は、そんな僕達の反応に首を横に振る。

「それ処じゃねえっ!!シャークを知ってるよな!?」

知らない奴がこの学校にいるのかが怪しいものだ。

「神代先輩がどうかしたの!?あたしに恋した!?」
海里は、小学生の頃から神代凌牙の大ファンらしく、【あんなこと】があった後で更にファン熱があがっているようだ…彼女の凄まじい我が儘も、彼の影響なんだという。

「決闘で敗けたらしい…」

僕達はその言葉に耳を疑った。シャークが敗けた!?誰に!?

「ちょっと!!神代先輩が負ける訳ないじゃない!!デタラメ言ってんと絞め殺すわよっ!!?」

凄まじい形相の海里は既に洋助の首を、イカの触手のように腕を伸ばして締め上げていた。