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遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅲ

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「大丈夫…海里しかいないよ…」

ふははっ!いいだろ闇!等と、少し優越感に浸った僕は、恐がる風香の手を確りと握り前に進む。

「うぅ…」

涙を流していた風香も、自然と…海里がいる場所がわかったらしく、もう涙を流しては居なかった。しかし、一歩一歩進むにつれて胸のジェムナイトが警告を促す。


【行ってはならない…行ってはならない…行ったら戻れなくなる…】


黙れ、ジェムナイト!僕は心のなかで叫んで怯えるジェムナイト達を黙らせた。
「光輝…ジェムナイト達が怯えてるんだね?」

風香はそっと僕の胸元、デッキケースに触れた。

「大丈夫…あたし達が…やっつけるから…大丈夫…」

全然大丈夫には聞こえない、しかしそれだけで、ジェムナイト達の警告が和らぎ、穏やかになる…そして半開きの扉の前に立ち止まる。

「海里…この先にいるんだね…?」
そこは、午後に海里が文男を公開処刑が如く、無惨に打ち倒した場所…決闘場である…。暗闇を恐がっていた筈の風香は、戦士のような眼差しとなり、Dゲイザーを取り付け、デュエルディスクを展開する。

「風香…」


「手を出さないでね…リチュアと戦うのはガスタなんだから…」

ガスタ、リチュア、ジェムナイト、ラヴァル…僕達が使うこの4つのデッキには、忌まわしい記憶がある…それは、遠い昔…このカードの元になった4つの勢力による壮絶な戦争の記憶である。その戦争の中で…リチュアとガスタはお互いに深い因縁があり、それはカードとなった今でも繋がっているのだという。


「ぎゃはははははっ!!」

風香が扉を開けると、海里の下品な笑い声が響く。

「海里…」

風香と僕の睨む先に彼女はいた、漆黒のドレスに黒い三角帽子…風香が無理矢理着せたリチュア・エミリアのコスプレセットを着込んだ海里は、豪華な玉座に腰掛け、右片肘を右頬に当てて杖とし、僕等を睨み付けていた。


「やっときたか…ガスタの担い手…」

海里は僕など見ていない、じっと風香を睨んでいた。

「…海里を返して貰うよ!!No.!!」

風香が声高らかに叫ぶ、と、そんな海里の背中に巨大な蟻の姿が浮かび上がり、右片肘でついていた顔を上げると、その右頬には20の刻印が刻まれている。


「あははは!!許さない!?わたしは彼女の欲望を具現化しただけよ?友達が欲しいって言ったから友達(どれい)を沢山作ってあげた、家が孤独だといったから焼いて消した!…全ては彼女の為…そして最後はリチュア共の欲望…つまりは貴様の命だッ!!ガスタの担い手!!!」

海里は立ち上がり、人間とは思えない凄まじい力で玉座を掴んで客席まで投げ飛ばし、Dゲイザーとデュエルディスクを展開する。

「さあ…戦争を始めましょ?…どちらかが滅びるまで…」

「そうだね…始めよう…わたしが勝ったら海里を返してもらうからね…」

二人の少女は真ん中に立ち、睨み合い、そして身構える…。不思議と、風と水が激しくぶつかりあうような不思議な感覚が全てを包む。

「「デュエル!!」」


掛け声と共に、二人の頭の上にお互いのライフポイントを示す4000の表示が現れる。

「先行はいただくわ!!ドロー!!」

海里はデッキからカードをドローし、見ずに手札に加える。

「わたしは!手札から!フィールド魔法!伝説の都アトランティスを発動!!」

伝説の都アトランティス?…海里が自ら使うことのないカードを発動したことに、僕は戸惑いの色を見せた。


「海里のデッキを勝手に…」


風香は唇を噛みしめるようにして海里の後ろを睨んだ。


「ああん?あたしはあたしだよ!!このカードの効果によりフィールド上の表側表示で存在する全ての水属性モンスターの攻撃力、守備力は!200ポイントアップ!さらに手札とフィールドのモンスターのレベルが1下がる!!」


彼女のディスクがフィールドを読み込むとソリドビジョンの中が水に満たされ、そして目にしていた風景が…伝説の都へと姿を変えてゆく。海里は更に一枚のカードを手札から抜き取る。

「あたしは!リチュア・アビス(レベル2→1、効果、魚族、攻撃力800→1000、守備力500→700)を攻撃表示で召喚!!リチュア・アビスの効果で!シャドウ・リチュア(レベル4→3、効果、海竜族、攻撃力1200→1400、守備力1000→1200)を手札に加える!!」


フィールドに現れたリチュア・アビスは、愛くるしくデッキに潜り込み、シャドウ・リチュアを口にくわえて愛玩動物のような仕草で持ってくる。しかし海里は何時ものように取らず、奪い取るようにぶんどる。

「あたしはリチュアの儀水鏡を発動!!手札のシャドウ・リチュアを墓地に送り!イビリチュア・ガストクラーケ(レベル6→5、儀式・効果、水族、攻撃力2400→2600、守備力1000→1200)を特殊召喚っ!!」


「いきなりガストクラーケっ!?」

僕の驚きを余所に、リチュアの儀水鏡がフィールドに現れて砕けると、中からリチュア・エミリアの愛らしく無邪気な顔が姿を現す、そして砕けた儀水鏡の中から這い出すと、その下半身はまがまがしい烏賊の触手によって支配されていた。

「イビリチュア・ガストクラーケの効果によりあんたの手札から二枚を選択する!!あんたは手札の両端にいいカードを持つ癖があったわね…両端のカードを見せなっ!!」

ガストクラーケは風香の手札の両端からカードを奪い取り、海里の前に晒し、それを見た海里は顔をしかめた。

「ガスタ・ガルド(レベル3、チューナー・効果、鳥獣族、攻撃力500、守備力500)とガスタの巫女ウィンダ(レベル2、効果、サイキック族、攻撃力1000、守備力400)だと!?…」


「どうしたの?どちらもいいカードだよ?」


風香は海里ではなく海里を操るNo.を嘲笑うように囁いた。No.は海里の記憶からガスタ達の能力を知ったのだろう、海里は青ざめながらも口惜しさに歯を食い縛る。


「貴様!…謀ったのか!?」


「海里を操れるなら記憶を盗み見る事だってできるはず…それに君の性格は海里と違って完璧主義者じゃない…単純なアドバンテージを取るなら、有利な戦いを優先する…だったら?ガストクラーケを端から呼んでくるのは予想の範囲だよ?だから…君にやられてもいいように、ウィンダとガスタ・ガルドを両端に置いたの…ここまで予想通りだと、君の残りの手札も予想が付いちゃうんだよね〜。はたき落としと水霊術―「葵」だよね?」


風香の洞察力とタクティクスは大したものである、僕でも今の海里のように顔色を青くするだろう…彼女が中立に立つ理由は…【身内慣れ】しない為である。身内慣れしたプレイヤーは勝つ為に、身内の癖や仕草を勝ちに繋げようとしてしまう…海里を操っているNo.でも例外ではない。

「ぐ!!その目障りなガスタの巫女ウィンダをデッキに戻しなっ!!」


ガストクラーケの触手は、ガスタの巫女ウィンダを締め上げながらデッキにたたき返す。

「ほら!!一枚を伏せて、ターンエンドだよっ!!」

海里のフィールドに一枚の伏せカードが表示され、風香のフェイズに切り替わる。


「ドロー!!」