二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

遊☆戯☆王ZEXAL THE ORIGINAL Ⅲ

INDEX|8ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

「あははは!!自爆特攻!?自殺志願だなんて見上げたこん…じょ…」


風香はダメージを受けず、海里に優しい笑みを浮かべて立っていた。

「海里に教えて貰えなかったんだ?ダイガスタ・スフィアードがフィールド場に存在するかぎり…ガスタと名のつくモンスターの戦闘によって発生する戦闘ダメージは…相手が受けるんだよ?…」

ガルドの命の力を吸収したスフィアードの杖が光で満たされる。

「自らのダメージで滅べ…【スフィアー・ダメージ・リフレクション】!!」

スフィアードの杖から放たれた光が海里の身体を直撃する。

「ぎゃあああ!!」(2800〜800)

あまりの激しい光りに海里の背後に聳えていたNo.の影が激しく歪む。

「ガルドの効果でイグルを特殊召喚…イグルで…」

再びイグルがデッキの中から現れ、スフィアードの肩に止まる。

「風香!…やめて!!あたしたち友達でしょ!?」

海里は往生際悪く、風香へとささやきかける。

「ううん…友達なんかじゃないよ…親友だよっ!!」


風香は傷付き痛む身体を震わせながらもそう言った。

「なっ…なにいっ!」

「友達は数なんかじゃないっ…だから!海里は決して一人なんかじゃない!!…どんなに嫌われて!どんなに蔑まれる海里だって関係ないよっ!!あたしがいる!!……だから海里は一人じゃない!!」

決めるような一言だった、命を吐き出すような一言だった…そしてその瞬間、本の一瞬だけ、海里の口元が明るく微笑んでいた。


「…イグルでアタックッ!!」

イグルは、自らよりも更に小さな鳥から逃げるような仕草をする、蟻岩土ブリリアントに体当たりを食らわせ、消滅して光となり、ダイガスタ・スフィアードの力でその命の輝きを銀杖に集め、海里に向かって放つ。

「海里から!!でていけーーーっ!!!」

大きな命の輝きが海里の身体を貫き、背後の影が蒸発してゆく。

「ぎっ!!ぎゃあああ!!っ!!!」(800〜0)


海里はけたたましい獣のような悲鳴を挙げながら凪ぎ払われ、床を転がって倒れ…その後を追うように僕が支えていた風香の身体から力が抜けていった


「海里!!」

「風香!!」


洋助は海里の元へと走って身体を抱き起こし、僕は風香の体が地面に激突しないように気遣いながらゆっくりと寝かした。


「……ようすけ?…みんな…」

海里には身を動かす力はおろか目蓋を開く力すら無かった、そして話すのも精一杯な様子で口を動かす。

「……」

口の形も認識出来ず、どんな言葉なのかも分からない。しかし、海里は目尻から一粒の涙を溢し、笑顔のまま目を閉じた。

「海里ッ!!」


「大丈夫…単なる過労だね…」


様子を伺っていた闇はため息を漏らしてから、顔を僕と風香に向けてくる。

「…かいりは?…」

風香はうっすら目蓋を開いていた…その光は虚ろでぼやけており、見てはいない。

「無事だ…」


闇が歩み寄り、彼女の痛々しく骨折した右手を、ハンカチを巻き付けてあて布とし、ベルトを巻き付け固定していく。

「そっか…ごめん…身体がうごかないや…」


「動かさなくていいさ…」

闇はそう言って風香の頬を濡れティッシュで撫でる。

「君は、よく頑張った…だから…ゆっくりと休みたまえ…」

闇にいわれるまでもなく、風香は目蓋を閉じ、そのまま体から力が一気に抜けた。

「ふっ…」

声を荒げようとした僕の口を闇の手が塞ぐ。

「過労で寝ている海里と違って風香は重症だ…命に別状はないが…これ以上風香を喋らせて体力を使わせちゃならない…」


闇は殺気すら纏う視線を僕に投げ掛けて来たので、なんとも言えず、頷くしか出来なかった。

【パサッ】

そんな僕たちのそばにカードが落ちてくる。僕は思わず手に取ろうとしてしまう。


「それに触れてはダメだっ!…心を乗っ取られる」

寸前で闇が手を掴んで止め、警告を受けた僕は、洋助と目配せし、同じ事を感じたらしいうなずき合う。

「焼いちまおう」

洋助がなんとなく言ったのだろうが、明暗である。

「僕もそれでいいとおもう」

僕と洋助は同時に闇に顔を向ければ、闇も頷いたしかもかなり乗り気だ。


「奇遇だね、僕もそうしたかった所だよ」


闇は手品師のようにいつの間にか手の中にあったライターを片手に、カードへと歩み寄る。

「女王様!!」


そこへ、文男が駆けつけてくれば、闇は即座に身構える。中国拳法をやっていたというだけあって、達人のような見事な構えだった。
「失礼だな君は…僕は姉さんより腕っぷしが強いんだぞ?」

自慢する話しか!てか女性と張り合うな!恥ずかしい!!とは言わずに心の中で囁くだけにする。


「闇!!」

「気を荒立てるな…僕は探偵だよ…」

闇と文男は向き合っていた、暫しの静寂…それを断ち切ったのは文男だった…文男はタックルのような体勢で真っ先にカードへとその手を伸ばす。

「馬鹿が……」

闇は一歩身体を引いた姿勢から顎先を蹴り上げる。

「ぐふ!!」

しかし彼は倒れない…いや、事実倒れたのだが。カードの上に倒れたのだ…闇は体格的に小さい…気絶させた文男の身体を支える力などあるわけもない…。

「おっと…とっ!」

闇は文男の体格に突き飛ばされバランスを崩しながらも綺麗なバック転を決める…が、文男はそのままカードを下敷きに倒れた…。

「くはははは!!」

不気味に笑いながら立ち上がる文男…否、文男ではない…その頬には20の刻印が刻まれ…その足元にあった筈のカードは、忽然と姿を消していた。

「ふはは!!今日はこの辺りにしておくか…霧谷風香…貴様は必ず殺す!!ふはははは!!」

No.に憑依された文男は、負け犬のようにそれだけ言うと逃げて行く。

「ま!!待て!!」

僕は優しく風香を床に寝かせ、駆け出した。

「光輝!?…」

そして…共に駈け出そうとしていた闇の肩を叩く。


「風香をまかせた!!」


僕は走りながら闇に叫べば、闇は足を止めて風香の下へ行く。僕はそのまま文男を追い掛けた。逃がすか…風香と海里をあんな目に合わせた奴を逃がしたりするものか!…。
エレベーター前にたどり着いた僕は動いているのを確認するなり階段を駆け上がり、先回りした…。

【チーン】

「さあ!!オレとっ…」


僕は止まっていた、否―あまりの不思議な光景に動けなかったのだ…。エレベーターの中から出てきたのは文男ではなく、漆黒のコートを身に纏い、天を貫くような髪型をした、金髪の青年だった。外見や背丈からみて18歳前後程と思われる。

「………」


青年は此方を見ること無く僕の横をすり抜け、その足元で見慣れないロボットが追従しながらも、赤外線のセンサーカメラが僕を見つめてくる。


『カイト様、こいつもNo.を所持しているのでは?』


No.の名前を知っている!?何だこいつっ…等と考えていると、カイトと呼ばれた青年はクルリと此方を見つめ、殺意に似たような強烈な視線を向けてくる。


「違う…こいつはNo.を所持していない…」


そう言って背を向けると、さっさと歩いて行ってしまった。

「あっ…あの!…」