GANTZ Paradise Lost 野球星人篇
『42:56:06』
「野球・・・星人・・・か?」
そこには、身長こそ小さいものの、その体格に似合わない程の巨大な棍棒を持った、ゴブリンのような生物がいた。
そして、そいつはポーズを決めて大声で叫んだ。
「野球星人、参上!!!!」
どうやら俺の予想は的中したようだ。
俺はホルスターからハンドガンを抜く。
その瞬間、砲身がⅩ字型に展開した。
照準は今のところ無視して、引き金を絞る。
・・・ギョーン・・・
しかし、ハンドガンからはギョーンと言うかなり間の抜けた音が鳴るだけであった。
「あれ?あれ?」
俺はハンドガンを見る。
引き金はちゃんと引いたはずだが・・・
・・・・バンッ・・・・
すると突然、野球星人のいた方から爆発音がする。
見ると、野球星人のすぐ横の地面が爆ぜ散っていた。
「何なんだ・・・この銃か・・・?」
すると・・・
「ウググググググ・・・」
野球星人が怒りの表情を浮かべてこちらに近づいてくる。
どうやら、今の先制攻撃(?)で怒ったらしい。
「うわ、何か怒ってる・・・」
俺は咄嗟の判断で逃げた。
すると野球星人も棍棒を振り上げ、奇声を発しながら追いすがってくる。
「ぐぎゃあああああああっ」
「うああああっ・・・」
そのまま、一心不乱に逃げる俺。
俺は土地勘はあまり良くない方だったが、とにかく逃げ切れるルートを探す。
すると・・・
「ん?ナオっ!?」
まさかの助け舟、秀吉がいた。
傍らには学ランを羽織った縦ロールの少女も居る。
「何をしておるのじゃ・・・・と言うより、何じゃ、その格好は!?」
「あー、いや、これは・・・って!そうじゃないっつの!!」
俺は後ろを顎でしゃくった。
「野球星人だって!ターゲットがいたんだって!!」
そう言って後ろを振り返ると・・・
「グエヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘ・・・・・」
やはりそこには野球星人が居た。
しかし、どうやら機嫌は直っているようだ。
先ほどまであんなに怒り狂っていたのが嘘のようだ。
・・・・あれ、でもなんか様子がおかしいな・・・・
俺は一瞬、嫌な予感がした。
何故なら、この時・・・
野球星人の標的は俺ではなく、縦ロールの少女に切り替わっていたのだから・・・
「キシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
そのまま、野球星人は縦ロールの少女に襲い掛かる。
「・・・・え?」
少女も突然の出来事に呆然とする。
俺も彼女を庇おうとしたが、恐らく間に合わないだろう。
すると・・・
・・・・ギョーン・・・・
後ろからまたも間抜けな銃声が鳴り響く。
その瞬間・・・
「・・・・・ギィィィィィィィヤァァァァァァァァァァァァァァァ・・・・・・・」
野球星人の腕が、木端微塵に吹き飛んだ。
作品名:GANTZ Paradise Lost 野球星人篇 作家名:プラスチッカー