機動戦士ガンダムRS 第2話 その名はガンダム
アーノルド・ノイマン曹長は、バジルール副艦長とともにアークエンジェルに戻っていた。
「無事だったのは、襲撃の際艦内にいたほんの数名です。
そのほとんども候補生ですが」
ノイマン曹長は、ラミアス艦長に無事だったものについて説明した。
「状況は?
コロニー側は、どう動いている?」
バジルール副艦長は、ノイマン曹長に状況を聞いた。
「分かりません。
自分は、ほかの生存者を探していただけですから」
しかしノイマン曹長も状況がわからなかった。
「通信もつながらないままです。
モルゲンレーテも『G』もいったいどうなっているのか分かりません」
ラミアス艦長の言葉にバジルール副艦長とノイマン曹長が表情を暗くした。
「こ・・・・エッ・・・・スト・・・・・『G』は、全機無事・・・・」
そのとき通信から希望の声が聞こえた。
※
キラは、ストライクガンダムの通信を開いていた。
「こちらX-105ストライク。
地球軍、応答願います。
地球軍、応答願います」
しかしニュートロンジャマーで妨害されているため通信から聞こえるのは、ノイズのみだった。
ガンダムが集まっている場所にトレーラーが続々と集まってきた。
そのトレーラーには、ストライクガンダムの換装パーツが入っていた。
ストライクガンダムは、ほかのガンダムと違い換装パーツにもメインバッテリーが搭載されているため換装パーツを搭載するだけで戦闘が可能になる。
そのためストライクガンダムの換装パーツが入ったトレーラーが優先して運ばれてきた。
運んできたのは、ほかのガンダムパイロットである。
これは、これ以上民間人に軍事機密に触れさせないようにするミゲル中尉の配慮だった。
「ストライカーパックをストライクに装備させろ。
そうしたらもう一度通信を開け」
「はい」
キラは、作業のためストライクガンダムの方に歩いていった。
※
サオトメは、大型通路内を通っていた。
その通路内でメビウス・ゼロとシグーハイマニューバにショットランサーを撃った。
メビウス・ゼロとシグーハイマニューバも迎撃したが外れて通路の壁に命中した。
サオトメは、一度通路にある柱に身を隠した。
「この辺で消えてくれるとうれしいんだがね、ムウ」
そして一瞬生まれた隙にショットランサーのマシンガンをガンバレルのひとつに命中させた。
メビウス・ゼロは、そのガンバレルを切り離し残りを展開した。
※
フラガ大尉は、大型通路内でガンダムサイガーの攻撃をかわしていた。
「クソ。
こんなところで」
フラガ大尉とクルーゼ中佐は、対装甲リニアガンと試製27mm機甲突撃銃で応戦したがはずれ通路の壁に命中した。
なおガンダムサイガーは、マシンガンを撃ってきたがフラガ大尉とクルーゼ中佐の攻撃に比べれば恐ろしいほどの精確さだった。
すると路にある柱が邪魔して攻撃できなくなってしまった。
そのとき一瞬だけ隙を作ってしまった。
そのため直後に現れたガンダムサイガーの攻撃を回避できずにマシンガンをひとつのガンバレルに命中された。
フラガ大尉は、そのガンバレルを切り離し残りのガンバレルを展開した。
※
ラミアス艦長は、先の通信で決断をした。
「艦を発進させるなんてこの人員と人数では、無理です」
しかしノイマン軍曹は、反論した。
「そんなことを言う前にどうすればできるかを考えて。
『G』は、全機無事なのよ。
それをこのままここでこもって奪取されるか破壊されるのを黙って見ていろでも言うの?」
そのとき無事だった候補生のジャッキー・トノムラ伍長がダリダ・ローラハ・チャンドラ二世伍長とロメロ・パル伍長をブリッジにつれてきた。
「シートについて。
コンピュータの指示通りにすればいいわ」
「はい」
3人がおのおのシートについた。
「外には、まだコロニー艦がいます。
戦闘などできませんよ」
なおもノイマン軍曹は、反論した。
「『G』があれば何とかなるわ。
艦の起動と同時に特装砲発射準備。
できるわね、曹長」
ノイマン軍曹は、おれ操舵席に座った。
「発進シークエンス、スタート。
非常事態のためプロセスC-30からL-24を省略。
主動力、オンライン」
ラミアス艦長が次々と命令を出した。
「出力上昇。
定格まで450秒」
ジャッキー伍長がアークエンジェルの起動までの時間を報告した。
「長すぎる。
ヘリオポリスとのコンジットの状況は?」
「生きてます」
ラミアス艦長の質問にジャッキー伍長が答えた。
「そこからパワーをもらって。
コンジット、オンライン。
パワーをアキュムレートに接続」
ラミアス艦長は、ヘリオポリスのエネルギーでアークエンジェルの起動時間短縮を図った。
「接続を確認。
ロー、正常。
定格まで20秒。
生命維持装置、異常なし」
ジャッキー伍長がアークエンジェルの状況を再度報告した。
「CIC、オンライン」
今度は、ダリダ伍長がCIC状況を報告した。
「補助システム、オンライン。
FCS、コンタクト。
磁場チェンバーおよびペレットディスペンサー、アイドリン正常」
今度は、ノイマン軍曹が状況を再度報告した。
それとともにアークエンジェルは、姿勢を正した。
「外装衝撃ダンパー、最大出力でフォールド」
ダリダ伍長がアークエンジェルの状況を再度報告した。
「主動力、コンタクト。
エンジン異常なし。
アークエンジェル、全システムオンライン。
発進準備完了」
ノイマン軍曹がアークエンジェルが発進準備を完了したことを報告した。
そしてモニターに「ALL OK NETWORK」の文字が浮かび上がった。
「気密隔壁閉鎖。
総員、衝撃及び突発的な艦体の破壊に備えよ。
微速前進。
アークエンジェル発進」
ラミアス艦長の命令とともにアークエンジェルは、発進した。
そして両艦首に搭載されている特装砲を展開した。
※
3つのガンンバレルを失ったメビウス・ゼロは、最後のガンバレルと対装甲リニアガンで応戦していた。
サオトメは、最後のガンバレルに接近して脚蹴りで破壊した。
後は、本体だけとメビウス・ゼロの本体に攻撃をした。
※
キラは、ストライクガンダムをコンテナの近くで座らせた。
するとトレーラーの荷台が展開して中には、ランチャーストライクパックが入っていた。
「どれですか、パワーパックって?」
キラは、ストライクガンダムに取り付けるパワーパックというものが判らなかった。
「武器とパワーパックは、一体になってるんだ。
そのまま取り付ければいい」
キラの質問にミゲル中尉が答えた。
※
フラガ大尉は、ガンダムサイガーのマシンガン攻撃を回避しながら対装甲リニアガンで応戦した。
※
ミリアリアがふと時計を見た。
「まだ解除しないのね、警報」
コロニー軍の侵攻から相当時間が経ったというのにいまだ警報が鳴り止む気配が無い。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第2話 その名はガンダム 作家名:久世秀一