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とある死神の平行世界

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「はぁ…はぁ……。」


久しぶりにこんな嫌な汗かきながら走ったような気がした。
最近は逃げるという選択肢が初めからなかったからかもしらない。


「なにあんただけ先に逃げてんのよ!」


一息ついてこのまま寮に帰ろうとした矢先に後ろからやってきた。
この騒ぎの張本人様だ。


「ほら、あんたのお金で買った飲み物よ!」


そう言うと、大量の缶ジュースを一護に押し付けてきた。


「なんだか、これを受け取ることによって共犯者になっちまうような気がしてならねぇな…。」


「なによ~?あんたがお金入れた分の飲み物なんだから別に問題ないでしょ?」


理屈ではそうだが、その取り出し方に問題があるのだ。
頭ではそう考えるが、やはりこの暑さ。
身体は水分を欲しているようで、結局缶のふたを開けて飲んでしまった。


「あんたは今日なにしてたのよ?」


いきなりフリに驚きながら、


「補習だよ、補習!」


「あんた…バカだったの?」


「おい、それ失礼だろ!俺は6月にここ学園都市に転入してきて能力開発の単位が足りないんだよ!」


「ふーん…でも、それでも単位が取れない程時間がないわけでもなかったんじゃない?」


「いろいろ事件に巻き込まれてんだよ!言っとくけどな、お前もその一因の一人だからな!」


「あたしが何したって言うのよ?」


「はぁ……。」


ため息しか出て来ない一護は残りの飲み物を受け取って、帰ろうとすると…


「お姉様!」


なにやら上空から声が聞こえきた。
気になって顔を上に向けてみると、そこには常盤台の制服を着たツインテールの少女が降ってきた。
その少女の腕には、風紀委員《ジャッジメント》の腕章があった。
一体どうやって上空から現れたんだ?


「何上この殿方と一緒に談笑なさってたのですか?」


「勘違いしないでよ!別にこいつと楽しく談笑してたわけじゃないわよ!」


「私、楽しくなんて一言も言っておりませんの!あやしいですわ~…。」


なんだか個性的な子だなー。
一護は観客を気取っていると、


「あなたも!この私、白井黒子《しらいくろこ》に断りもなくお姉様にお近づきならないでくださいまし!」


「おう…悪かった。俺は黒崎一護だ。今後彼女とは一切こっちから関わらないようにしとくわ。」


なんだか、この子が絡むと面倒な事になりそうだし。


「それでいいのですよ!お姉様と一緒にいられるのはこのわたくし「ちょっと!それどういう意味よ!」


「どういう意味ってそれはあいつが…。」


「私に絡まれるのがそんなにいやなの?」


ほらこの通り面倒なことになった。
まったくどうしたものか?


「黒崎先輩!」


常盤台コンビが口論してる中、またしても後方から声をかけられた。
面倒なことならお断りだが、こんな呼び方をする奴は一人しかいない。


「おう、ツナか。」


「先輩は毎回毎回厄介ごとに巻き込まれてますね!」


今、一護に話しかけた人物。
沢田綱吉《さわだつなよし》一護のお隣さんの一人だ。
この間この街の治安を守る学生の集団、風紀委員《ジャッジメント》に入った。
要するに、そこの白井という女の子と同じということだ。


「んで、お前はなにしてんの?」


「ちょっとこの辺りの巡回してたところなんですよ。先輩は?」


「俺は補習の帰りだよ。」


そろそろ家に帰りたい。
本気でそう思う一護は、ツナにあいつらをなんとかしろという目線を送る。
その視線に気づいたのかどうかツナは白井をなだめに入る。
しばらくして、落ち着いた白井を連れて歩きだした。


「それじゃあ御坂さんに先輩、失礼しまーす!ほら、白井さんも行きますよ!」


「いいですかお姉様!もし次にこのようなことが…って、ちょっとツナさん!引っ張らないでくださいまし!」


ツナに引きずられながらも、白井の声はしばらく聞こえた。

作品名:とある死神の平行世界 作家名:スバル